【映画#58】「ピアノ・レッスン」『さよなら渓谷』より
こんにちは、三太です。
送る会、卒業式も終わり、いよいよ年度末が近づいてきました。
どちらも良い締めくくりとなりました。
あとは今年度の振り返りをして、来年度に向けて備えていきたいです。
そしてnoteはこれまで通りマイペースに続けていきたいなと思っている今日この頃です。
では、今日は『さよなら渓谷』に出てきた映画、「ピアノ・レッスン」を見ていきます。
『さよなら渓谷』の文章内に出てくる唯一の映画です。
ちなみに『さよなら渓谷』自体も映画化されています。
基本情報
監督:ジェーン・カンピオン
出演者:エイダ( ホリー・ハンター)
べインズ( ハーヴェイ・カイテル)
スチュアート( サム・ニール)
フローラ( アンナ・パキン)
上映時間:2時間
公開:1993年
あらすじ
1852年のスコットランド。
夫を亡くして未亡人となったエイダ。
新しい伴侶のスチュアートのいるニュージーランドへ娘のフローラと渡ります。
ただ、エイダはあまりスチュアートに対して心を開いていません。
そもそもエイダは自分でもよくわからないのですが、6歳のときに声を出さなくなっていました。
エイダにとって自分を表現する術はピアノしかありません。
けれどもそれでは意思疎通ができないので、二人の仲はフローラが取り持ちます。(フローラは母親の手話が理解できます)
スチュアートはいずれ心を開いてくれるだろうと待っていました。
そんな折、ひょんなことからエイダは現地に住んでいたべインズという男性にピアノのレッスンをすることになります。
はじめはべインズからの一方的な恋愛感情だったのですが、少しずつエイダも心を開いていきます。
そしてついに結ばれることになるのですが、その様子をスチュアートが目撃してしまいます。
「自分には心を開かないくせに・・・」
怒り狂ったスチュアートはとんでもない行動に出ます。
設定
・声が出ない
・三角関係
・19世紀の話
感想
なんだか不思議な作品でした。
まず謎だったのが、エイダがべインズに魅かれていった理由です。
正直私にはべインズが不気味な男にしか見えませんでした。
どこに魅力を感じたのでしょうか。
ピアノを弾く様子をしっかり見ててくれていたところですかね・・・。
そもそもこのべインズという男自体謎が深いです。
西欧人の顔なのですが、顔には原住民のマオリがするような刺青が入っています。
西欧人と原住民をつなげるような役割を担っていたということでしょうか。
エイダの娘のフローラは良い味を出しています。
エイダはどちらかというと暗い感じの役で作品自体も暗めな感じですが、フローラだけが明るくて元気な印象を周りに振りまいています。
また、19世紀の話だからか、登場人物の感情の振れ幅が大きいとも感じました。
エイダにしろスチュアートにしろ怒ったときの行きつく先が狂気です。
実際に浮気現場を目撃したスチュアートのやることはなかなかえげつないです。
そこらへんからも時代の違いを感じられました。
最後にエイダたちがニュージーランドを舟で去るシーンがあるのですが、こちらもなかなか衝撃的でした。
エイダの生への渇望を感じられるようなシーンでもありました。
振れ幅は狂気となりて春の雷
その他
・スコットランドの人だからかスカートが印象的。
ウィキペディアより
→第66回アカデミー賞において作品賞を初めとした8部門にノミネートされ脚本賞、主演女優賞、助演女優賞の3部門で受賞を果たした。助演女優賞を受賞したアンナ・パキンの11歳での受賞は『ペーパー・ムーン』でのテータム・オニール(当時10歳)に次ぐ史上2番目の若さでの受賞であった。
→女性監督として初、またニュージーランド出身の映画監督として初となるカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。また、アカデミー脚本賞、セザール賞外国語映画賞といった各国の映画賞も受賞した。
→べインズ役のハーヴェイ・カイテルは「テルマ&ルイーズ」でハル・スローコム警部役をしていた。
『さよなら渓谷』内の「ピアノ・レッスン」登場シーン
これは尾崎俊介が語りのシーンです。
以前に俊介たちが起こした事件で加害者(俊介)と被害者(水谷夏美)の関係となった夏美とこの映画館で三年ぶりに偶然顔を合わせます。
そして、夏美のあとをついていき言葉を交わします。
そのあと俊介は夏美と少しずつ関係を結んでいきます。
そういう意味で言うと、物語の展開上かなり重要な位置を占めている映画かと思います。
このあと映画のラストのシーンの描写も出てきて物語とクロスしていきます。
吉田修一作品とのつながり
・三角関係
・『さよなら渓谷』の転換点を占める
以上で、「ピアノ・レッスン」については終わります。
『さよなら渓谷』のキーポイントで映画が使われていました。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。
画像の出典:映画ドットコム「ピアノ・レッスン」
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