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【作品#44(20・21の間)】「紙吹雪」『青春 コレクションⅠ』より

こんにちは、三太です。
 
もうすでに夏休みは始まっているのですが、これまでは夏休みとは言いつつ、部活動であったり、夏季講座であったり、何かと仕事がありました。
今週は全くの夏休みとなります。
(それほど意識はないですが)これまでにたまってるであろう疲れをリフレッシュできるよう過ごしていきたいと思います。

では、今回は吉田修一さんの個人全集全四巻の一巻目にあたる『青春 コレクションⅠ』の単行本未収録作「紙吹雪」を読んでいきます。

初出年は2007年(8月)です。
これまで紹介した作品で言うと『うりずん』と『静かな爆弾』の間に書かれた作品です。
(厳密に言うと『悪人』と『静かな爆弾』なのですが、公式HPの紹介順に依拠しています)

文藝春秋の『青春 コレクションⅠ』で読みました。


あらすじ

恋愛小説好きな私が主人公
私は恋愛小説は好きですが、現実の恋愛では理想と現実のギャップがあり、失敗を繰り返しています。
恋愛について考えは合わないけれど、話せる友達、杏奈はいますし、職場環境も悪くありません。
食事を誘ってくれる男の子もいます。
充実してないわけではないけれど、でもどことなく寂しい毎日を送る日々。
母からは遠回しに結婚の話もされています。
そんな私が自宅のアパートから日課のように行っていたある秘密の行為とは・・・

単行本未収録の作品。
初出は恋愛小説専門の小説誌『Feel Love』のVolume1。

出てくる映画(ページ数)
①「ハンニバル・ライジング」(pp.174-175) 

アクション映画好きの杏奈と、恋愛映画好きの私が、お互いに妥協して選ぶとなれば、あとはホラーか、コメディしか残っていない。あいにく今回は、面白そうなコメディ映画が見当たらなかった。
「面白そうじゃないコメディ映画って、何なのよ」と杏奈は憤っていたが、ないものはないのだから仕方がない。
で、結局、選んだのが「ハンニバル・ライジング」。まぁ、主演の男の子が美形だし、大好きなコン・リーも出ているからいいかと思ったのだが、さすがに上映後に入ったレストランでは、お薦めの「子羊の炭火焼」を食べられなかった。 

今回は1作ありました。 

感想

終わり方がとてもきれいでした。
吉田修一さんの作品では、どちらかというと終わりがオープンエンドな形が多い気がしていたので、そういう意味で言うと珍しい作品かもしれません。
あらすじには書いていない、「私」のいとこの話などが効いてきます。
いわゆる伏線が回収される感がとてもあるラストでした。
タイトルである「紙吹雪」もラストに関わってきます。

あらすじに書いた秘密の行為とは「マンションの覗き見」のことです。
私は向かいのマンションに同棲するカップルの部屋をどうしても覗き見してしまいます。
その様子はどことなく映画「裏窓」に似ていなくもないです。
そしてこの覗き見というモチーフは『おかえり横道世之介』にも出てきます。
何かしら吉田修一さんを惹きつけるモチーフなのでしょうか。 

向かいから覗き見られる夏料理

以上で、「紙吹雪」の紹介は終わります。
ここから単行本未収録作をコツコツ読んでいきます。

それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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