【作品#34】『作家と一日』
こんにちは、三太です。
学校では2学期の期末考査が近づいています。
今はずっと文法の授業をしています。
単語の品詞について教えているのですが、とりあえず文法用語を伝えていくことで精いっぱいになっています。
もっと読解にどう文法知識を使っていくのかなどまで伝えられたらよいのですが・・・。
まだまだたくさん勉強する必要があるなと思っている今日この頃です。
では、今回は『作家と一日』を読んでいきます。
初出年は2015年(10月)です。
集英社文庫の『作家と一日』で読みました。
あらすじ
ANA機内誌『翼の王国』連載のエッセイ集第三弾。
「風邪を引いた猿」「草食男子はブルーベリー狩りへ」「深夜の友情」など24編のエッセイがおさめられています。
いずれのエッセイも基本的には旅行や旅に纏わる話で、ずばり旅先での話やあるいはそこに付随するエピソードなどが述べられます。
一つ一つのエッセイはそれほど長くなく、すらすらと読めます。
公式HPの紹介文も載せておきます。
出てくる映画(ページ数)
①「永遠と一日」(pp.29-30)
②「ベニスに死す」(pp.42-43)
③「殺人の追憶」
④「グエムル」(p.51)
⑤「男はつらいよ」(第30作)(p.106)
⑥「恋する惑星」(pp.107-108)
今回は以上の6作です。
①「永遠と一日」と⑥「恋する惑星」は既出なので、②から見ていきます。
「永遠と一日」については、あるシーンが自分の見ている光景と似ているという話です。
ワンシーンの光景をよく覚えておられるなぁと思うのと、逆に映画のワンシーンを持ってくるところに吉田修一さんの映画好きの感じが出ているように思います。
吉田修一さんは映画「恋する惑星」が好きなんですね。
引用で説明されているシーンについては、自分は特段意識して見ていなくて、メモにも残っていませんでした。
もう一度見たいなとも思っています。
感想
金ちゃん、銀ちゃんという名前の猫や2歳差の弟、新幹線車内での両親との苦い思い出など、これまでのエッセイに比べ、吉田さんの家族や友人がたくさん出てくる印象がありました。
吉田さんのエッセイを読んでいると、「自分は時間に追われているなぁ」ととても感じます。
意味のある時間を求めすぎていて、リラックスできていない気がします。
自分の生き方を少し見直すことができたようにも思いました。
「成田空港リムジンバスのスタッフさんへ」というタイトルのエッセイが大好きです。
話の内容としては、海外旅行先のタクシーで少しぼったくられる経験をして、落ち込んで日本に帰ってきた吉田さんが成田空港リムジンバススタッフのホスピタリティにあふれた対応を目の当たりにするというものです。
読んでいると泣きそうになりました。
そして、吉田さんの目の付け所がさすがだなと思わされます。
別に日本人が凄いと声高に主張しているわけではなく、シンプルに日本人としての良さが滲み出る文章でした。
また、人だけでなく、映画への着眼点も素敵だなと感じました。
以前にも取り上げたことのある「恋する惑星」という映画が今回も出てくるのですが、そこで取り上げられるシーンとそのシーンから読み取れる内容に吉田さんの色が出ていて、これは素晴らしいなと感じました。
「豆乳、揚げパン、牛肉麺!」という吉田さんが台湾で推したいものをどんどん紹介していくエッセイがあるのですが、このエッセイを読みながら台湾の街をめぐってみたいなと思いました。
これはめちゃくちゃ楽しそうです。
満たされた時間味わう冬の空
以上で、『作家と一日』の紹介は終わります。
吉田修一さんのプライベートの様子が今まで以上に見えたエッセイ集でした。
では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。