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【映画#53】「釣りバカ日誌12」『悪人』より
こんにちは、三太です。
中学1年生を教えているのですが、今はヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出」という教材を扱っています。
いわゆる定番教材の一つです。
2年生では太宰治「走れメロス」、3年生では魯迅「故郷」がそれに当たります。
定番であるからこそ色んな授業の仕方があるのですが、今回は指導事項も意識して「語り手に着目する」ということを主軸に授業を行っています。
どのように授業が展開していくか、目の前の生徒とともに作り上げていこうと思っている今日この頃です。
では、今日は『悪人』に出てきた映画、「釣りバカ日誌12」を見ていきます。
『悪人』に出てくる7作の映画の内の7作目、ラストです。
基本情報
監督:本木克英
出演者:浜崎伝助「はまちゃん」(西田敏行)
鈴木一之介「スーさん」(三國連太郎)
高野研一郎(青島幸男)
木戸梢(宮沢りえ)
脚本:山田洋次
上映時間:1時間50分
公開:2001年
あらすじ
鈴木建設の高野常務が定年前に辞表を出し、郷里の山口、萩に戻ります。
そこで、晴釣雨読を行い悠々自適の生活を送ろうとしていた矢先に病気にかかってしまいます。
高野を支える姪の梢。
仕事を名目にして、日本海の海で釣りをするために山口を訪れるスーさんとはまちゃん。
しかし、どうやら高野の病気はかなり深刻そうです。
高野を支える医師とこずえとの恋愛。
はまちゃん達の釣り道楽。
決して描かれているものは軽くないですが、その状況を柔らかなユーモアが包んでいく作品です。
設定
・シリーズもの
・淡い恋愛
・場所は山口県の萩市、魚はふぐ
感想
ユーモアたっぷりで面白すぎました。
特に、はまちゃんのふぐの魔人とか最高でした。
もちろん至る所にちょっとずつある笑いも楽しかったです。
そして、今回は山口の萩が舞台だったのですが、城下の景色は美しかったです。
一人一人のキャラも立っています。
ネタバレしてしまいますが、スーさんの弔辞が素晴らしかったです。
本当の弔辞を読んでいるような名演技だと感じました。
さすが三國連太郎さんという感じです。
そして、はまちゃんの自由さ。
仕事中に釣り具をいじっているくだりはとても自由で開放的です。
それから印象的なのははまちゃんのマシンガントークです。
あんなにべらべらべらべら面白いことや言い訳が出て来るのがすごいですね。
もちろんそういう役柄だと言えば、そこまでなのですが・・・。
何より会社のヒエラルキーを軽々と超えていくはまちゃんが痛快です。(はまちゃんは平社員、スーさんは社長。でも二人は釣り友達)
シリーズの12番目なので、もちろんこれまでの流れ等はあると思うのですが、それを知っていなくても楽しめました。
ただ、やはり知っているともっと楽しめるのかなとも思うので、1から順に見てみたいと思います。
ヒエラルキー軽々超えて河豚をくう
その他
ウィキペディアより
→映画内で浜ちゃんがフグを捌くシーンがあるが、山口県ではフグを無免許の者が捌くことは禁じられている。
『悪人』内の「釣りバカ日誌12」登場シーン
威圧感を与えない程度に近寄ると、男たちの会話が聞こえてくる。
「そう言えば、この前、『釣りバカ』観に行ったけんな」
「一人で?」
「まさか、息子と二人で」
「お前、息子連れて、あげん映画に行くとや?」
「子供、けっこう喜ぶとぞ」
「マジで?うちのガキなんか、まんが祭り以外全然興味なかとけどな」
二十代半ば、見かけは大学の友人同士と言っても通用する。そんな二人がスーツを選びながら互いの子供の話なんかをしている。
これは馬込光代が語り手のシーンの一節です。
光代は紳士服店で働いており、そこで店員としてこの会話を聞きます。
読んでもらえばわかるように実は直接的に「釣りバカ日誌12」は触れられていません。
ただ「釣りバカ」と出てくるだけです。
けれども、この会話の時期は2001年の12月頃であり、調べてみると2001年8月18日公開が「釣りバカ日誌12」だったので見ることにしました。
このシーンのあと光代は微笑ましく二人の背中を見つめます。
祐一との出会いによって光代の心が少しずつ緩んでいく様子を表す一つとして「釣りバカ日誌12」が使われていると感じました。
吉田修一作品とのつながり
・ちょっと今回はわからなかったです・・・。
以上で、「釣りバカ日誌12」については終わります。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。
画像の出典:映画ドットコム「釣りバカ日誌12」