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【映画#104】「白蛇伝」『犯罪小説集』より

こんにちは、三太です。

新年が始まり、淑気に満ちた雰囲気があったのですが、石川県の能登の地震で一気にその雰囲気は吹き飛びました。
1日の特番はすべて震災関連に切り替わりました。
マスメディアはもちろん、SNSにもたくさんの情報が流れてきます。
こんなときにメディアリテラシーが問われているように思われました。
被災地のいち早い復興を祈りつつ、自分の持ち場でできることをしていきたいと思います。

では、今日は『犯罪小説集』に出てきた「白蛇伝」を見ていきます。
『犯罪小説集』に出てくる映画2作のうちの2作目です。


基本情報

監督:藪下泰司
声の出演:森繁久彌
     宮城まり子
上映時間:1時間18分
公開:1958年

あらすじ

許仙(シュウセン)が数年前に市場で出会った白蛇。
しかし、やむを得ずその白蛇を手放すことに。
数年後、白蛇が美女の白娘(パイニャン)となって、青年となった許仙のもとへ。
惹かれ合う二人の仲を裂こうとする妖怪嫌いなお坊さん。
二人の愛を手助けする許仙が飼っていたパンダミミー(レッサーパンダ)とその仲間たち。
二人は無事結ばれることができるのか。
日本初の総天然色・長編漫画映画。

設定

・動物が人間に変身
・アンビバレントな人物
・愛の物語

感想

キャラ設定も含め、不思議な物語でした。
特にお坊さんのキャラが謎です。
妖怪が嫌いなので、パイニャンに攻撃を加えてくるのですが、一方シュウセンの体の心配もするのです。
いやいや心配するんだったら、二人の邪魔をしないでという感じなのですが・・・。

          左がパイニャン、右がシュウセン

もう一つ面白かったのは、パンダの強さです。
シュウセンを助けに蘇州に行ったパンダとミミーはそこでチンピラのブタやアヒルに出会います。
ミミーは簡単にやられるので、そのままパンダもやられるのかなと思ったら、見事にやり返します。
そもそもパンダの名前がパンダってなんなんでしょうね・・・。
そのほかにもパイニャンとお坊さんの戦闘シーンや龍王とナマズのエピソードなど見所がたくさんあります。

白蛇が女となりて冬の虹

その他

ウィキペディアより
→中国の四大民間説話のひとつ『白蛇伝』を題材にした、日本最初のカラー長編漫画映画(アニメ映画)である。

→宮﨑駿は主人公の許仙を演じた森繁の演技に深く感銘を受け、1997年公開の自作『もののけ姫』の制作に際して自ら森繁の元に足を運んで依頼し、乙事主役として出演させた。この経緯は『「もののけ姫」はこうして生まれた』内の映像でも確認できる。

『犯罪小説集』内の「白蛇伝」登場シーン

声をかけられ目を覚ますと自宅の前で、先に降りたらしく早崎の姿はすでにない。
田所はやけにはっきりとした夢を見ていた。おそらく車内で白蛇の話をしたからだが、夢の中で自分が『白蛇伝』の主人公になっていた。
この『白蛇伝』というのは、元々中国の有名な民話なのだが、一九五〇年代に日本初の総天然色アニメーション映画として制作されており、一時期アニメーターを夢見ていたことのある田所は、この古いアニメを観たことがあった。
夢に出てきたのはまさにこのアニメで、中国は西湖の畔に暮らす少年が幼い頃大切に飼っていた小さな白蛇を大人たちに叱られて泣く泣く捨てるところから物語は始まる。
その後、人間の女となった白蛇が主人公に恩返しにやってくるという異類婚姻譚で、妖怪だと正体が知られて退治されるという悲恋になる。

『犯罪小説集』(pp.345-346)

これは「白球白蛇伝」(はっきゅうはくじゃでん)という短篇に出てくる一節です。
早崎というのはこの話の主人公で、野球の才能があり、プロまで登り詰める人物です。(ただし、その後色々と起こります)
田所はその早崎のファンだったのですが、ひょんな出会いから知り合いとなります。
その二人が飲みに行って帰ってくるシーンです。
そもそも以前にも作品紹介のところで指摘したのですが、「白蛇伝」というタイトル自体がこの短篇のタイトルにも生かされており、大きく影響を与えています
また、引用にはあげていないのですが、白蛇のイメージはこの後も短篇の中に出てきます。(p.365)
「白蛇伝」は短篇を創作する際の大きな源泉となっていることが伺えます。

吉田修一作品とのつながり

上に書いたことがつながりと言えそうです。

以上で、「白蛇伝」については終わります。
動物たちが大活躍するアニメーション映画でした。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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