【映画#81】「恋人たちの食卓」『空の冒険』より
こんにちは、三太です。
1学期が終わりました。
今年度の1学期は色々とチャレンジさせていただくことが多かったです。
自分なりには頑張ってこれたかなとは思っています。
これから始まる夏休みでしっかりリフレッシュして2学期に備えたいと思っている今日この頃です。
では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「恋人たちの食卓」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの7作目です。
基本情報
監督:アン・リー
出演者:チュ氏(ラン・シャン)
ジアチェン(ヤン・クイメイ)
ジアチン(ウー・チェンリン)
ジアニン(ワン・ユーウェン)
上映時間:2時間4分
公開:1994年
あらすじ
味覚のなくなった元名料理長の朱さんとその娘たち、三人姉妹が織りなす恋愛と家族の物語。
朱さんは妻を16年前に亡くし、一人で三人の娘たちの面倒を見てきました。
逆に、三姉妹も一人になった父親をほっとけずに妙齢となっても家に残っています。
長女の家珍(ジアチェン)は大学時代の失恋からなかなか立ち直れず、次の相手を見つけることができていません。
次女の家倩(ジアチン)は身体の関係を続けている相手はいるのですが、どちらかというと恋愛よりも仕事に力を入れている感じです。
三女の家寧(ジアニン)はバイト先の友達の恋愛相談に乗るうちに、その友達の彼氏に好意を持ってしまいます。
この家族は日曜の夕食は一緒にとるということが決まっていました。
その日は朝から父親が腕を振るって料理を作ります。
けれども、みんな悩みがあって、なかなか食は進みません。
また、家珍の友達、ジンロンと娘のシャンシャン、母親のリャンおばさんもこの家族に深く関わってきます。
父親と三姉妹がどのように幸せを作っていくかのストーリーが見物です。
設定
・家族
・料理
・母のいなくなった家族
感想
とても良い映画でした。
少し一人一人の登場人物のオチのつけ方に強引さがあるようにも思えましたが、それを差し引いても見て良かったなと思えました。
自分の中で、これまで見てきた映画ベスト5には入ります。
特に料理をするシーンが素敵です。
父親である朱さんの料理の手さばきが小気味良くて、見ているだけで楽しめます。
野菜を切ったり、鶏をさばいたり、五感で言うと、聴覚で楽しめるような感じですごいなと思いました。
もちろん出来上がった料理は視覚的にも楽しめます。
これを見ていて、自分も料理をしたくなりました。
この映画はある場所(あるいは関係)に縛り付けられた人の話だと思います。
特に長女が死んでしまった母親の代わりとなって、身動きが取れなくなっています。
三姉妹共に父を一人にはできないという思いもあったでしょう。
おせっかいで、不器用で、でも料理に関してはスペシャルな父親。
けれども、ストーリーが進むにつれ、一人一人が今いる場所を乗り越えていきます。
その乗り越え方はいささか驚きがありましたが・・・。
そういう意味で言うと一番外に飛び出しそうで能力も高かった次女が、最後まで家に残っていたのは象徴的だったように思います。
他にもたくさん深く考えられそうなポイントがあり、懐の深い映画だと思いました。
三姉妹父と向き合う夏料理
その他
・家寧の部屋に「となりのトトロ」のポスターが貼られている。
・ウィキペディアより
→台湾・アメリカ合作映画。
→アン・リー(李安)監督によるホームドラマで、父親三部作の3作目。
『推手』『ウェディング・バンケット』に引き続き、父親役はラン・シャンが演じた。
『空の冒険』内の「恋人たちの食卓」登場シーン
短篇のタイトルの一つとして出てきます。
吉田修一が書いた「恋人たちの食卓」は大学四年生の長谷部航という語り手が大学に向かう途中、彼女であるビビアンとの思い出を回想する話です。
航はビビアンと付き合って二年で、ビビアンの実家がある香港に何度か行って料理を食べたことがあります。
この料理の光景が映画と近いなと思いました。
まずビビアンの父が元料理長、ビビアンは三姉妹(の末っ子)という設定が映画と同じです。
料理のときもビビアンの姉二人の夫もそれぞれ来て、家族みんなでテーブルを囲みます。
少し違うのはビビアンには母がいるということです。(映画では母親は亡くなっています)
逆に短編では航の父が亡くなって17年という設定です。(映画の16年に近いです)
吉田修一作品とのつながり
・実の両親の不在、ある場所に縛り付けられた人というモチーフは吉田修一作品とつながります。
以上で、「恋人たちの食卓」については終わります。
食の豊かさを感じられる映画でした。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。
画像の出典:Amazon「恋人たちの食卓」
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