見出し画像

【映画#86】「恋人までの距離」『空の冒険』より

こんにちは、三太です。

今年はずっと大河ドラマ「どうする家康」を見ています。
そしてなんと今月の100分de名著は安部龍太郎さんの解説で司馬遼太郎『覇王の家』が取り上げられています。
こちらも家康ということで、大河をふり返りながら歴史小説の醍醐味を味わえることを楽しんでいる今日この頃です。

では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「恋人までの距離」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの13作目です。


基本情報

監督:リチャード・リンクレイター
出演者:ジェシー(イーサン・ホーク)
    セリーヌ( ジュリー・デルピー)
上映時間:1時間40分
公開:1995年

あらすじ

ウィーンに向かう列車の中で出会った男女。
男性はアメリカ人のジェシー、女性はフランス人のセリーヌ
食堂車で会話を交わす中で、意気投合し、セリーヌはパリまで帰る予定でしたが、予定を変更し、ジェシーとウィーンの街に降り立ちます。
ウィーンの街で二人は一日を過ごすのですが、恋の話や人生の話、生や死について語り合う中でお互いの価値観を確かめ合い、より仲を深めます。
しかし、次の日にはお互いに故郷へ帰ることとなっており、二人には別れの時が刻々と近づいているのでした・・・。

設定

・列車での出会い
・ウィーンの街並み
・恋の始まるワクワク感

感想

とても素敵な映画でした。
まず列車での男女の出会いというのが良いですね。
お互いに本を読んでいて、何気ない感じから会話が始まります。
そして、本来なら列車で少し話してお別れだったのですが、ジェシーがセリーヌを口説き落として、一緒にウィーンに降り立ちます。(後からセリーヌは最初から降りようと思っていたということを言いますが・・・)
このときの口説き文句がとても素敵でした。
「10年後、20年後の未来、結婚した相手に嫌気がさしてきたときに、俺との一日の思い出があれば、やっぱり今の相手が良かったって思えるよ」というようなことを言っていたのですが、そもそも未来から考えるのが素敵だなと。

ウィーンでも二人はお互いのことを知るために色んな会話をします。
その会話のもう最終盤。
レストランで友達に電話をかけているという設定で、お互いが今日の一日や相手のことをどう思っているかを話していきます。
ここでの会話には相手に対する思いが詰まっていて、胸が苦しくなるほどでした。(それぐらい良いということですが)
恋は始まっているのかもしれませんが、どちらかというと終始これから恋が始まるワクワク感に包まれた幸福な映画だと思いました。
本当はもう会わないでおこうと言っていたのですが、最後別れ際に「やっぱり半年後に同じ場所で会おう」と言って二人は別れます。
そして、映画の続編は2つあるようです。
このまま良い思い出として終わってもいいかなと思いつつ、このあと何か展開があるなら見てみたいという思いもあり、少しアンビバレントな思いに悩まされています。

列車にて男と女秋高し

その他

・ウィキペディアより
→第45回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (監督賞) を受賞した映画。

『空の冒険』内の「恋人までの距離」登場シーン

ヨーロッパの電車の座席というのは基本的に向かい合わせである。今回のように一人旅だとどうしても知らない人と向かい合わせになる。正直、気詰まりである。「でも、だからこそ『恋人までの距離』みたいな物語が生まれるんですよー」と、恋愛武闘派のライターT嬢などは簡単に言うが、万が一相手がジュリー・デルピーでも、こちらがまったくイーサン・ホークではないのだから状況は変わらない。

『空の冒険』(p.161)

これは「ラ・ボル、フランス」というエッセイの一節です。
列車に乗っているところで映画が引用されます。
ヨーロッパの電車の形状が伝わってきます。
ただ、映画ではジェシーとセリーヌは向かい合わせに座ったわけではなく、真ん中の通路を隔てて、座っていました。
それでも、セリーヌは夫婦げんかが嫌になって席を移ってきたわけで、やはりこの座席の配置は重要だったのでしょう。
ちなみに吉田修一さんに恋愛に発展する出会いは残念ながら起こりませんでしたが、また別の素敵な出会いがあったことがこのエッセイを読むと分かります。

吉田修一作品とのつながり

・ちょっと今回もよくわからないです・・・。

以上で、「恋人までの距離」については終わります。
恋の始まるワクワク感に満ちた幸福な映画でした。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「恋人までの距離」

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?