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映画感想『東京リベンジャーズ2』血のハロウィン編 運命/決戦
*この文章は2023年7月にAmebloで投稿したものを加筆修正しています
*ネタバレを含みます
面白かった。もう一度見たい。
場地圭介の圧倒的な存在感
場地圭介を、永山絢斗が演じている。
とにかく怖い。迫力が凄まじい。
タケミチ(北村匠海)にタイマンを申し込まれて、
「お前ごときが俺に勝てると思ってんのか」と凄むところ、
終盤、キサキ(間宮祥太朗)を殴り飛ばして、
三番隊はパーちんの場所だと言い放つ眼の力に、冗談抜きで震え上がる。
そうかと思えば、
チフユ(高杉真宙)との出会いのエピソードが、
怖さと真逆で噴き出してしまうぐらい可愛い。
エピソードを聞いたタケミチの「…ごめんちょっとよくわかんない」というコメントどおり、この瞬間では、軽く挟み込まれたほっこりエピソードに見える。
しかし、ここまでで描かれる場地の魅力は、クライマックスで効いてくる。
後編は終盤に向かって、
場地(永山絢斗)の圧倒的な存在感が全体の熱量をガンガン上げていく。
前編の、キレやすくて他人の言葉に耳を貸さない、孤高の空気感からの、後編の終盤での〈実は〉も、すごくいい。
チフユとの出会いのエピソードで一気に立体的に魅力的になった場地が、その温かさと豪快さと愚直さゆえに、マイキー(吉沢亮)と一虎(村上虹郎)の間で引き裂かれていく終盤は切なく胸にくる。
一虎の不思議なキャラクタ
場地圭介が、強烈なキャラではあるが解釈しやすいのに比べると、
村上虹郎が演じる一虎は、難役だと思う。
登場は、そのルックスと特徴あるアクセサリ、非情なやり口から、
とてつもなくヤベエやつ出てきたぞ、と感じる。
一方で、前編で描かれる、事件前の一虎のキャラクタは、
いい意味でそうとう雑魚っぽい可愛らしさだ。
マイキー(吉沢亮)と離れる原因になった事件の前後で、
一虎の変貌を、どう見たらいいのか。どう表現しようとしているのか。
一虎が、単に自分を正当化しまくる変なやつ、に見えるとスケールが小さくなる。
そうなると、彼に翻弄されるマイキーも場地も小さく見えてしまうだろう。
かといって、過去と別人すぎると、それはそれで違和感がありそうに思う。
劇場版の登場人物の中で、最も難しい役なんじゃないだろうか。
村上虹郎が見事に、色気のある声と造作の可愛らしさを活かして、事件後の一虎を、ルールも情もない不可解なモンスターに変化させている。
一虎は全体として手段は稚拙なのに、うろのような目が恐ろしい。
奥が見えない、分からないから恐ろしい。
観る側(ワタシだけかもしれないが)は、どこかで期待する。
事件によって、進むも戻るもできず泥沼の中で絶望的に足掻き続けたはずだよね、それは一虎に、人間らしい弱さと痛みを感じる心があったからで、
きみは今も、一虎だよね、と。
それを、村上虹郎の一虎は跳ね返して裏切り続ける。
ドラケン(山田裕貴)が劇中で一虎に、「よくわかんねぇ」と言う通り、何がどうなってここまで拗れたのか。
終盤の一虎の言葉や動きのひとつひとつに、とりつく島を探し続けずにいられない。
マイキーの足首を掴んだ一虎の、「殺せよ…」という一言に辿り着くまで、ずっと。
吉沢亮の凄絶な美しさ
マイキー役の吉沢亮も、後編とても良かった。
馬乗りで一虎を殴り倒すシーンでは、タケミチも、ミツヤも、ドラケンも、止めなくちゃと思うのに動けない。
展開としては、あるある。
それでも、マイキーの修羅のような姿がスクリーンから溢れて、息を呑む。
タケミチはマイキーを止めるためにタイムリープしたはずだけど、これ…、止められるかな?ってスクリーンを見ていて思うほどの逆上。
ここは、近年見た映画の中でも思い当たらないほど、美しい一瞬があった。
刺された場地が声をかけた瞬間の、振り返ったマイキーの目つきの凄さ。
光の当たり具合と、振り向く角度から作られる凄絶な美しさ。
それまでの一切を薙ぎ払う、画の力に、まいった、と思った。
『東京リベンジャーズ』の劇場版1作目は正直に言えば、「イケメン祭りだな〜」というライトな感想が強かった。
『血のハロウィン編』は、永山絢斗と村上虹郎が入って、一気にキャラクタが膨らんでいた。
そこに吉沢亮のマイキーの壮絶な美貌も加わって、後編は特に、時間があっという間だった。
*タイトル画像は、某遊園地のコラボ企画のボードを撮ったものから作成しています。映画の内容とは関係ありません。