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変わっていく、の面白さ 【書道の話】

子どもの夏休みの宿題をきっかけに、ほぼ毎日30分、字を書いている。
いつか、歌舞伎の題名を書いてnoteの記事のタイトル画像にしたい、という野望があるのだが、まだまだ先。

市販の墨液を使って書いている。
このごろ、練習の終わり時間が近くなったら、墨液を足さず、一滴ずつ水を加えて薄めていく。
書いたあと、乾いていく過程での表情の変化が面白い。

墨の付き具合で、不均一なグラデーションみたいに乾いていく。

狙って作れない、留めておけない景色が面白い。


原液でそのまま書いたのが、こちら。

これはこれで。お題は、馳、利、難、諸、罪、節。


空の色でも海の色でも、そして墨の色でも、刻一刻と変わる景色を眺めていると思い出すのが、長唄『春興鏡獅子』の歌詞。

〽時しも今は牡丹の花の、咲くや乱れて散るわ/\散りくるわ/\、ちりくるわちり/\ちり散り掛かるさまの面白うて寝られぬ、

演劇界 平成3年 12月臨時増刊 新春特大号『歌舞伎名作舞踊』

書いたそばから変化は始まる。
未熟ゆえに文字だって同じように書けない上に、どんどん薄める墨で、色も乾き方も均一でない。
どれもこれもたった一枚の、たった一瞬
面白くて面白くて、見飽きない。

お題は「吾が道一以て之を貫く」。
絶対的な理念で万事を貫き通すこと(「論語」)だそうです。


毎朝、なかなか起きないムスメに声をかけたり、夕方、時間に追われて食事の支度をしているとき、これいつまで続くんだろう、と思ってしまう。

つい忘れてしまう。
ムスメはいつの間にか、一人で「おやすみ」と寝室へ行けるようになった。
旦那が「俺も写経をやってみよう」と言い出した。

時間は留まらないから、すべては小さく変化している。

変化といえば、色が変わっても油断せず、時間どおりきちんと茹でましょう、と教わったのが、カニ。
寒くなってきたので、カニでもいかがですか。

カニは、茹で始めてすぐに色が変わるけれど、しっかり茹でましょう、とのこと。