眠れぬ夜明けのために

朝の4時半。まだ夜が明けないうちに目が覚めた。起きても寒いので、
布団の中で1時間ほど粘ったが、眠りにつけそうもないのでそのまま
起きる。

以前にも時々、こういうことがあった。仕事でひどくストレスや不安を
感じたときに寝付けなかったり、眠りが浅くなったりした。今はそういうことではない。たぶん、単に体も頭も疲れていないから、神様は寝かせてくれないんだろう。

とりあえず部屋で一服する。これだけ体も頭も疲れないと、煙草が美味いのは就労移行支援から帰ってきた時と、こうして起き抜けに吸う時だけだ。
それが頭で分かっていても、相変わらず煙草の本数が減ることはない。口から吐き出す紫煙を見て思う。

結局、不安で寂しいから金が減り、健康被害が増えるだけの喫煙を止められない。就労移行支援のグループワークでこういう悩みを打ち明けても、何の解決にもならない。この目の前の白い煙の一つ一つが自分の寂しさなんだと
分かるだけだ。

一か月前に東松山の山奥で丘の上から飛ぼうとしていた自分は、どこへ行ったんだろうと可笑しくなる。でもこれが現実だ。仕事を辞めれば、単なる
定型発達障害のおっさんでしかない。

ふと想う。あとどれくらい自分は生きるんだろう。20年か。上手く事が運べば、30年か。いずれにせよ、精神年齢がせいぜい30代半ばの人間が
これから老人になるというのは、つらいことだ。こういうつらさを抱えて
生きているのは自分だけじゃないと知ってはいるけど、それが心で分からない、感情で分からない。

思えば今日まで、よくもまあ行き当たりばったりの人生を歩んできたものだと思う。ASDやアスペルガーが先のことを考えられないというのは本当だと思う。一か月先のことは誰よりも考える。けれど、一年先、数年先、将来のことは考えられない。

たぶん、守るべきものがあるから、人は将来を考えるのだと思う。守るべきものが自分だけなら、人は何とかなると考えてしまう。こうして、半世紀もの間、何とかなってしまった男がここにいる。ほんとうはそれも偶然と幸運にしかすぎないのに。

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