好きなものが買えるって僕には奇跡
二人の兄は、バイトをしていた。
その為、いつも家族そろって夕食を食べることが少なくなっていった。
いたら、いたで喧嘩になることが目に見えてるから僕にとっては好都合だ。
けれど、いつの間にか好きな物を買って楽しんでる姿を見て、僕は羨ましさを感じていた。
「ゲーム貸して」
「無理」
この繰り返しで、指をくわえて、兄がいないときに・・
結局、なぜかバレて激怒りされる。
「おさるが勝手に入るから鍵をつけて」と懇願する兄にまた、お母さんから怒られる始末だ。
最近、2番目の兄は、オシャレなんか決め込んでバカみたいだ。
1番上は遊びに夢中で帰ってこない。
バイトをすると素晴らしい世界が待ってるのか?
なんか1番下は損だ・・・
なにもかもが遅い。
お年玉だってそうだ。
1番少ない!!!
僕は、バイトがしたくて仕方なかった。
今、僕にとって奇跡なことが、きっと当たり前になって欲しいものが手に入る。
こっそり隠れてなんてしなくても
「僕のものだから自由に好きな時に使える」
奇跡が奇跡じゃなくなるように・・・
夢見る僕に
「お前じゃ無理!!」
「何で?」
「ドン臭いから」
バイトをしてることが自慢の兄が僕の夢を一瞬で壊した。