ラストマイル【ネタバレなし】期待してから見るべき難攻不落のノルマ
映画「ラストマイル」を初日に見ました!
同じ世界線にあるドラマ「アンナチュラル」「MIU404」はリアルタイムで視聴して以降も何度も見ています。
MIU404はシナリオブック(脚本)を読みながらドラマを視聴し直したほどです。
アンナチュラルは今作の公開まで長らくシナリオブックが発売されていませんでした。
ただ、『月刊ドラマ』という脚本家界隈の方々が読む冊子に第1話や最終話が掲載されたことがあり、買いました。
私はこんなところを注目して見て来た、という観賞前の予想とその感想を綴ります😆
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もしあなたが、
ラストマイルのストーリーを考えるよう依頼されたらどうしますか??
クライアントからの要望はこうです。
ここには、
実は絶望的に難しいハードルがいくつも立ちはだかっています。
とにかくアンナチュラルが邪魔なのです。
名脚本家、野木亜紀子さんはどう乗り越えていくのかが見どころでした…!!
【3選】難攻不落のノルマ3選
《1》 アンナチュラルが邪魔!!
アンナチュラル・MIU404・ラストマイルのコミュニティが、お互いに情報交換をすることができないのです。
まず、
MIU404だけは機動捜査隊の物語です。
事件現場にいち早く到着するため、移動も自由自在。
ストーリーを動かす上でも機動力抜群です。
一方で、アンナチュラルは扱いづらいことこの上ありません。
なにしろ、UDIラボから外に出ないキャラクターだからです。
ユキオトコに沈められることなど、本来であれば法医学者には滅多にないのです。
そもそも捜査機関ではありません。
原則として、MIU404から捜査状況が報告されることはありません。
それだけではありません。
最も情報から隔離される存在。
それが、今作の主人公たちである物流会社の社員。
つまり、
主人公達は警察や法医学者が解明した死因や犯人を聞かされることはなく、知る術がありません。
アンナチュラルがラストマイルと接点を持つことは、
極めて困難と言えるのです。
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《2》 ミコトや志摩・伊吹が邪魔!!
過去2作品は、全10話程度をかけて視聴者に感情移入させてきたキャラクター達です。
そこに、ポッと出の知らない2人を主人公にしたところで、
三澄ミコトが出た瞬間、視聴者の意識はミコトに全振りされます。
つまり、ミコトは脇におさまる人物ではありません。
ミコトや志摩・伊吹を脇に追いやれる程の絶対的主人公を据え置かなければならないのです。
よって映画がスタートするということは、
「三澄ミコト登場までに主人公への感情移入を完了」させるカウントダウンでもあるのです。
私だったら、中弛みしがちな開始45分くらいで志摩・伊吹を登場させ、
クライマックスに向かう前、75分くらいでミコトを登場させます。
それがラクだからです。
そして、彼らが登場するまでに、
世界観の説明と、キャラクター紹介をした上でストーリーにのめり込ませておくことが絶対条件です。
その上で、矛盾が生じます。
今作は、「劇場版アンナチュラル」ではありません。
あくまで主人公はラストマイル。
活躍させるべきは、ラストマイルチームです。
しかし、見に来るファンは全員アンナチュラルorMIU404のファンです。
彼らの活躍を期待しています。
ファンを満足させつつ、活躍をさせるわけにはいかないという矛盾を孕んでいるのです。
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《3》 社会問題&働く人々の姿を描くはず
野木さんの脚本は、社会問題が取り入れられています。
さらに、過去作「空飛ぶ広報室」や「重版出来」をはじめとする職業モノが素晴らしいのです。
物流業界を描くと聞いて、
真っ先に蘇ったのがアンナチュラル4話「誰がために働く」のしあわせの蜂蜜ケーキ。
過重労働を題材にしており、今作もそのような話になっていくのではないかと予想しました。
【3選】予想した対応案と感想
《1》 絶対的主人公を作るお手軽設定
ミコトと志摩・伊吹を凌駕するキャラクターを簡単に作る方法は2つです。
◯ ミコトたちの登場をワンカットにする=ファンサービスのみ。
割と他の方の感想記事を見ていると、
「ミコト達の出番が少なく物足りなかった」という意見を散見します。
私は逆でした。
ワンカットしか登場しないと思っていたので、
複数回登場したことに驚き、感動しました。
◯ 主人公を犯人にし、最後に殺す。
加害者の深掘りを行うMIU404との親和性が高くなります。
また、途中で自害・殺害・事故等により謎の死亡をすることでアンナチュラルとも接点が持てます。
しかし、これでは「劇場版アンナチュラル」から抜け出せないのではないかと考えます。
こうやって見せ場を作るのか、と感服しました。
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《2》 活躍をさせずにファンが喜ばせる方法
ミコトが死因を究明すればファンが満足する、とは思えません。
他の法医学者がやっても結果は同じだからです。
つまり、UDIラボ・4機捜のチームワークを描く必要があるのです。
しかしここでも問題があります。
ファンが求めているのは、ドラマの時から変わらない空気感。
しかし確実に変わっているはずなのは、久部くんの立場。
ドラマの時点では医大生だったため、現在は卒業しているでしょう。
変わらない空気の中で、どう時間の変化(成長など)を描くのか。
ここはかなり難しかっただろうなと思います。
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《3》 主役の初登場をどう期待させるか?
私だったら、
志摩・伊吹を登場させ、満を持してミコトを登場させると思います。
理由はミコトの方が3部作の中で頂点に君臨すると考えるからです。
彼らが登場するとしたら、
「くるぞ、くるぞ…、遂に・・・
来たーーーーーーーーッ!!!!」
と、登場を予感させる前段が必須です。
実際に観賞してみて、
音楽やカメラワークなどそれぞれの手法で期待を煽るように設計されていました。
なるほど、こういう見せ方があるのか…! と感動しました。
満足したところ
なにより、物流業界の社会風刺が利いているところ。
ここは、やはり野木脚本だなと感服しました。
また、連続爆破事件が起きた時のストーリー展開はある程度予想ができます。
犯人の動機は、物流会社を恨むステークホルダーからの復讐か、
社長や工場長など特定の人物を恨む人物からの復讐。
もしくは、
偶然引き起こされた稀な事故。
さらには、
主人公達は全く関係がなく、
本当の狙いは下請けの会社や生産元、被害者達を恨む者からの巻き込まれ事故。
最悪の場合、
物流会社の自作自演。
つまり、パターンはある程度絞られてしまいます。
しかしそれをいかに裏切り、人の心を揺さぶるかが腕の見せ所です。
例えば、
主人公が自分語りをするシーンは非常にダレやすいシーンとなります。
しかし、緊迫したシーンにしてみるなどこう見せるのか、と思わされたり、
それは予想しなかった! と思う展開の連続に衝撃を受けました。
ホラー要素も含まれており恐怖でもありました😅
もちろん、野木さんが出した答えだけが正解ではないはずです。
しかし、
「うわぁ〜…! こういう解答の仕方があったのか!」
と度肝を抜かれまくりでした💫
【最後までご覧くださりありがとうございます!🍀】
イラストを描くことが好きで、石原さとみさんを描いてみました👇👇
ぜひ、もう1記事覗いていただけたら嬉しいです😆😆