福島県磐梯町に移住した石田新さんのLOCAL MATCH STORY 〜地方移住で自分自身の生き方や感じ方を考えながら生きる〜
移住を経験し、地域で活躍されている人を紹介する「LOCAL MATCH STORY」。
今回は、福島県磐梯町に移住された現役地域おこし協力隊の石田 新さんをご紹介します。
そして、この記事は石田さんご本人に執筆いただきました。
自己紹介
石田 新
東京都八王子市出身
福島県磐梯町政策課(地域おこし協力隊)
私は現在、23歳となりました。
今年の3月まで東京の大学に通っていました。生まれて福島県に移住するまで、東京以外に住んだことはありませんでした。
小学生のころから高校生まで野球をやっていましたが、大学に入って一人旅を始めました。福島県に一人旅に行った際、現地であった方と交流の中で地方へ興味関心を持ち、自分自身の生き方や感じ方を考えながら生きるための手段として地域おこし協力隊になりました。
私が移住した地域はこんなところ
福島県磐梯町は、人口約3千人!
豊かな自然の中で動物たちとの距離がとても近い街です。
山の斜面に位置する坂の多い街です。この斜面は会津盆地を形成する山々の斜面に位置しています。大河ドラマで有名になった「八重の桜」の舞台となった会津藩とその居城である鶴ヶ城のある会津若松市に車で20分ほどで着きます。
また、猪苗代湖や磐梯山などの自然あふれる魅力はレジャーとして、夏冬問わずに楽しめます。磐梯町には会津仏教の発祥と言われる慧日寺跡があります。
この中でも私が特に好きなのは水です。
水道から出てくる水は日本百名水に選ばれた水です。飲むまでは半信半疑ではありましたが、飲んでびっくりし、納得しました。肌の調子もなんとなく良くなると感じ、本当においしいと思いました。
水がおいしいと色々な食べ物がおいしくなります。例えば、お米やソバ。そして何よりも私はトマトがおいしいと思います。
また、水のつながりでは、食べ物だけではなく、魅力的な滝が多く存在していることも素敵だと思います。
磐梯山を中心とした地学的な特措意を有していることは、多くの方が知っていることかと思います。だからこそ、地球が織りなすダイナミックな営みの上に生活が存在しているのを感じて暮らすことに、私は純粋にワクワクしています。
写真:「幻の滝」冬の間はここにつながる道路が雪に閉ざされるため見ることのできない滝です。水が豊富で地球のダイナミックさも同時に感じることのできるスポットです。
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なぜ移住しようと考えたのか
私が大学生の時、就職活動を行っていく中で私自身に大きな問いが思い浮かび、それを基に移住して 現在もそのことを考えながら生活しています。
その問いとは私がどのように生きたら幸せなんだろう」というものです。
私が移住するきっかけとして、東日本大震災が大きな転機となっています。
東日本大震災は私が中学校2年生の時にありました。
その後、私が大学生の時に一人旅を始めた中で、福島県に行きました。その際にお会いした女性が私にとって大きな出会いとなったと思っています。
その女性は福島県浜通り出身でしたが、震災の影響で会津に移住してきたそうです。仮設住宅にお住みになって、当時で7年目となっていました。私がお会いしたのは2018年の2月のことでした。
この時に、もちろん災害からの立ち直りというものが簡単なものでは決してないということはもちろんわかりましたが、それ以上に「安定した未来はないんだ。」と私は感じました。
私が生まれてからの23年間は地球の上での人間というものの生き方は多様に変化しました。それも、尋常ではないほどに技術の進化や生活の質の向上などがうたわれて、私が受けていた教育も時代とともに変化していきました。
私が今まで生きてきた世界の変化を見ていると、何が安定していて何が幸せなのかというところがものすごくあいまいに感じています。
だからこそ、地域おこし協力隊という働き方が、私の選択肢に出てきたのだろうと思います。
私は将来、自給自足の生活を行うという目標があります。
今年は住んでいる家の庭先に自分で開墾した野菜畑を作りました。
トマト、ミニトマト、きゅうり、ナスを作りました!
来年は更に広く開墾を進める予定です!
東京出身で移住してから、どちらのほうがいいという二元的な話は意味がないということに気づきました。東京には地方にない良さがあるし、地方には東京にない良さがある。それらをどちらも自分に合うように進めて行けばいいのだと思います。
私自身は地球にも自分にも無理をさせない暮らしができるように準備していきたいと思います!
移住するまでこんなことありました
私は就職活動の中で、とある県の警察組織に内定をいただいていました。中学生のころからあこがれを抱き、大学もそれに沿って選ぶほどに準備をしていました。
しかし、大学での学びの中で、魅力的な暮らしや文化などがこの世の中にはあふれていることを学び、地方への移住の検討を始めました。
その際、私の周りの方達は、「3年くらい社会人経験してからでいいんじゃない?」と言いましたが、私は23歳から25歳までの3年間こそ重要であると考え、地方移住という選択をしました。
もし、私がバリバリ犯罪者を取り締まる辣腕刑事。もしくは、一日で何百というお得意先を回り、経済を回しまくるようなサラリーマンになりたいと思っていたなら間違いなく今のキャリアは違うかなと思います。
しかし、私が目指しているのはオフグリッドで無理をしない生活でした。
実は私はHSPという特性を持っています。
特に聴覚、視覚が過敏です。通常の社会ではなんてことない刺激が私にとってはとてつもなくストレスになったりするものなのです。
故郷である東京は目指したい生活には少し遠く、さらに刺激は私を絶えず襲っていたため、私は無理をしなければ生きられない環境に小さな頃からいたと感じています。
だからこそ私は今思っても安定的で社会的な信頼の厚い警察官という職業を辞めてまでこちらに移住しているのです。
移住後のライフスタイル
地域おこし協力隊の平日の勤務日は、基本的に役場の時間と同じ時間で仕事をします。
朝8:30に役場に出勤。夕方16:30に退勤です。
もちろんこれは磐梯町の場合で、いろんな地域の市町村でそれぞれまちまちです。ご自身が興味のある地域をお調べください!
私は政策課。そしてDX戦略室という組織に所属しています。
町にあらゆる施策を実行していく部署です。
私は駅舎の利活用が主な業務です。そのため、様々な関係者と連携して業務を進めていく必要があります。
しかし、昨今のコロナの影響等により、思うように調整が進んでいない状況です。そのため、個人的にはこの1年を学びの1年としてやっていく予定です。
休日はだらっとしています。
これでいいという人もいるとは思いますが、私は少し多動な点もあり、やることがないとこれまたストレスとなってしまいます。
東京にいた時は大好きな神保町という街を散策していたのですが、今はそうはいきません。現在は買い出しを行ったり、床屋に行ったりといった感じです。
移住先での住まいについて
協力隊の場合、住まいは自治体が探していただけるケースが多いかと思います。私の場合、もともと入居予定だった物件の空きが無くなってしまったため、同じ協力隊の人とシェアハウスで過ごしています。
シェアハウスとはいえ、完全な2世帯住宅でびっくりするほど大きな住まいです。3LDK(一人で!)という持て余すほどに立派な住まいです。
トイレも広く、お風呂もきれいなお家で、おそらく協力隊としては異常に豪華な場所と感じています。
家賃は補助が出ていて、月々に私が一人で5万円ほど。もう一人と足して十万円と少しのはずです。後ほど書きますが、協力隊の難点・課題の一つがここにあります。
水道は地下水であることから東京と比べても安いのではないかと思います。
また金額以上に美味しさが勝ちます。
庭を開墾して作る野菜にも、その水をふんだんに使って育てたので味は抜群でした。
写真:庭を開墾し、水をふんだんに使って育てた野菜
移住先でのお金事情について
はっきり言ってしまえば、通常の初任給と比べてしまえば少ない額だなと思います。
もし警察官になっていたなら今よりも10万円ほど高いお給料であったでしょう。
しかし、その価値観を持っていない方が地域に興味を持つのだと思います。
今のところ、諸々の努力によって私は貯金では100万円ほどたまりました。3年後の目標を見据えて今やるべきことを考えているからです。
それに散財できる場所がありません!それが一番大きいのかもしれません。
とはいえ、大学生の私からすれば今のお給料もびっくりするくらいなので、お金をどのように使うかはそれぞれなのかなと思います。
移住先の暮らしで困ったこと
一番びっくりしたのは、情報インフラの選択肢の少なさです。
東京で少しでも安くしようと通信費の選択が、磐梯町では一個しかありません!
ただ裏を返せば、困ることはこれくらいしか思いつかないといったほうがいいのかもしれません。
あくまで23歳の男の一人暮らしでは…ということでの感想です。
地域おこし協力隊になるまでにやったこと
仕事を選ぶ中で、とにかく多くの経験ができること。自分の力でできること。自分の思ったように動けることを最優先に探していました。
もともと、協力隊だけを探していたわけではありません。私には地方創生だけではなく教育という関心分野もありましたので、協力隊以外にも様々な分野の会社も受けました。
そんな中で、都内でのイベントを友人に教えてもらい参加したのが磐梯町のイベントでした。
このイベントがきっかけで私は地域おこし協力隊になりました。
地域おこし協力隊の活動内容
私の任務についてご紹介します。
磐梯町には磐梯町駅という唯一の駅があります。
磐梯町駅は二つの駅舎を有しています。西口と東口です。私の任務の中には切符を売るという業務があり、これを覚えることも必要な作業です。全国にネットワークをつなぐ駅での業務ですから、切符を売るのも大変な作業です。
東口は近年町が建てたもので、冬にはスキー場へのピストン運送を行うバスがたくさん来る場所です。春には芝桜が映える丘もあります。
対して西口は趣のある建物です。
この中で、来年度から古着・古本屋さんを行います!
ごみの削減などのテーマもありますが、単純にこの雰囲気の中で本を売ってみたいと思ったことが発端ではあります。
ただ、後で書きますが協力隊という制度はなかなか新しい制度です。どのように使うかを考えていなければいけません。そこがつらいことではあります。
写真:磐梯町駅前で撮影
地域おこし協力隊の受け入れ体制や関係する人々
磐梯町では、協力隊は自治体の一員となります。
行政にいる中でとても重要だと思ったのは、町長の存在であると感じています。街や町長の取組みなどを見てから自治体の選択を行うのも一つの手と思います。
地域の人との関係構築
私が野菜を作れたのも近所のおばあちゃんがいらっしゃってこそです。
比較的話しやすい雰囲気を自分では持っていると思っていて話すことも好きなので、地域という東京よりは小さなコミュニティーの中にいても、自分らしくいられる性格であることはとても大切ではあります。
なかなか自己開示が苦手だったりする方も多いとは思いますが、そこは一歩頑張ってコミュニケーションを取っていくと、自分もかなり楽になるかと思います!
地域おこし協力隊の3年計画
協力隊として行う業務はとても3年では終わりません。
だから満足いくところまでとはいきません。それは致し方ないことです。
しかし、協力隊という制度を最大限に活用するにはやはり受け入れ企業の存在が必要不可欠なのだと思います。そこで、自分の任務の集大成として磐梯町の町おこし事業を行う会社を作り、自分が作った磐梯町でのつながりを生かし続けられるようにしていこうと思っています。
地域おこし協力隊卒業後にやりたいこと
私は他にも将来、みかん農家になりたいとも思っています。
さらに、教育の面でも探求学習を行ってみたいとも思っています。今現在もNPO法人にインターンしながら学んでいます。
来年度は磐梯町駅を学生による地域の拠点としていきたいと思っています。
今後、定住と私の夢が異なる場合もあるかもしれませんが、私自身やりたいことを頑張り、実現していこうと思います。
地域おこし協力隊の魅力
やりたいことのある人にとって、協力隊は魅力と思います。
やりたいことをやりたいと提案した際に、関係者の反応は一様ではないかもしれません。
しかし、少なくとも磐梯町ではやりたいと思ったことをどのようにすればいいのかを一緒に考えてくれる職員の方がいるので、地域おこし協力隊としては非常にやりやすい環境であると感じています。
地域おこし協力隊の大変なところ
地域の雰囲気や町役場の姿勢によって上手く進まないことがあります。
大切な3年間を使うので、そのような環境の場合は非常につらい3年間になってしまうのが一番の懸念点です。
そのため、特に自分からあれがやりたいこれがやりたいと提案することは何よりも重要です。それがないと、ただ、役場にいるだけの職員となってしまう可能性があるからです。
移住検討している方へメッセージ
一番大事なことは、地方はあなたにとっての天国ではありません!ということです。やりたいことを地方で行うときにはそこで生活を送っている方々がいるという視点が大切だと思います。
何があってもうまくいくとも言えません。自分次第でどうとなる物は、自分次第でどうにもならないということだって簡単に想像できてしまうのです。
ただ、これからはキャリアとしての協力隊の価値は徐々に上がっていくものだと思います。
昨今の新型コロナウィルスによる影響などのように社会の変容はこれからも何度でも起きるかと思います。自分のしたい生き方を作り上げることができれば、おのずと自分がやりたいことが見えてきます。
そうした時に、地域おこし協力隊という仕事が必要だと思ったときにぜひ探してみてはいかがでしょうか?
皆さんが自分のやりたいことで輝く姿が多くの方を元気にしていくんだろうと思います!
(終わり) 執筆時期:2020年9月
LIFULL 地方創生からお知らせ
地方移住マッチングサービス「LOCAL MATCH」のティザーページ公開
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地方移住マッチングサービス「LOCAL MATCH」2021年5月サービス開始
LOCAL MATCH は、未来の「仕事」「暮らし」「将来設計」を事前に描ける移住プラットフォームです。
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