人付き合いに疲れたら・・・【反応しない練習/草薙龍瞬】
実家の親との関係性に悩んだ時に出会った本【大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ】からの、草薙さんの著書です。
反応する前に「まず、理解する」
以前、親の一言一言(特に実母)に動揺したり、傷ついたりしていた頃は、とにかく心の距離が近過ぎたんだと思った。お互いが相手を思いやるあまり相手の領域にまで足を踏み込み、踏み込まれた方も心の境界線を引いていないからその気持ちをダイレクトに受け過ぎる。受け過ぎるが故に消化しきれず、それは相手への不満となって少しずつ蓄積し、ある一定の期間をおいては爆発する・・・ということを何年も繰り返してきた。
そもそも、相手を思いやっているはずなのに、このモヤモヤはどこから生まれてくるんだろう?私がまだまだ大人になりきれていないのだろうか?親に甘えているのだろうか?
・・・こんな感じで、終始、原因探しをしてはいつの間にか嵐の時期は過ぎ、喉元を過ぎればまた何事もなかったように接することはできるけれど、解消はしていない・・・というループ。でも、本書を読んでその問題は解決した。問題は、「行き違いが起きる原因」ではなく、お互いの行き違いの気持ちに「いちいち反応してしまうこと」だったのだ。
例えば、
この時点で、理解されていないと感じる悲しみを「怒り」に変えて、なんとか誤解を解こうとか、わかるように言い返してやろうとか思うから疲弊する。
しかし、その心模様を、相手に対してぶつける前に自らが理解することで、余計なストレスを感じることはない、というのだ。
そこが悩みや問題の原因なんだな、と理解できると次に進むことができる。それは、相手に言い返そうとして余計に傷ついたりすることなく、母に理解されていない悲しみの原因は何なのだろう?と一歩前に進むことができる。
・母にわかってほしいと思っている自分がいること。そして、「なぜわかって欲しいと思っているのだろうか?」と内省する自分
・母とはそもそも考え方が違うのだから、理解を求めることがそもそも難しいのではないか?と気付ける自分
・こちらの伝え方や接し方に問題はなかったのだろうか?と顧みる自分
母に言い返すことで余計な諍いを招くより、精神衛生上、よっぽど前向きになれるのではないだろうか?
良し悪しを「判断」しない
また本書では、人が悩んでしまう理由の一つは「判断し過ぎる心」にあると言っている。「判断する」ということが私たちの心を縛りつけ、苦しみや悩みを生んでいるのだ、と。
・あの人がやっていることは正しい/正しくない
・今やっていることは意味がある/意味がない
・誰かと比べて優劣の気持ちを持つこと
・このプロジェクトはうまくいくだろうか?などの不安
などなど、人は、自らがもともと持っている判断基準によって、周りの出来事や自分の気持ちをジャッジしようとする。個々人の価値観は三者三様なのにも関わらず、外部で起きた出来事を自分の価値観で判断しようとするから悩みが起きるのだ、と著者は言う。
「こうあるべきだ」という決めつけ、「こうでなければならない」という思い込み。これらが悩みを作り出しているのだ、と。
つい言ってしまう「いいね!」
これは、ネガティブな表現での思い込みにとどまらない。SNSなどで良いと思った時、もしくは善かれと思った時に「いいね!」をする。この「いいね!」を表明する時でさえ、その心の裏には「こうであるべきだ」に照らし合わせて「いいね!」と言う意思表示をしているかもしれないからだ。
〝気づき言葉〟で自由になる
つい反応してしまう心、そして、それを表現してしまう癖。この癖を自分から切り離すことができたら、「判断する」という悩みの根源を生む必要もなくなる。その方法はとてもシンプル。判断してしまった自分に気づくこと。その瞬間に〝気づき言葉〟をセットにすることを心掛ける、とのこと。
例えば、知人との何気ない会話でこんな言葉が出てしまったとしよう。
「あの人の着こなし、センスないよね」
自分なりのファッションへのこだわり。そんな判断を正当化するために「判断」してしまった、その直後。
「まあ、これも判断だけどね」
という言葉を添える。(主観に過ぎないことだから言っても仕方ないのにね)を自分に確認させる〝気づき言葉〟で、思い込みや決めつけから自分を解放するのだそうだ。これならすぐ真似できそう!!
ブディズム
誰の心にも、
・期待してしまう自分
・もっとできるはずだと思う自分
・こうであったらいいのにと思う自分
が存在していて、そんな少し先の未来の自分と現状の自分とを比べて落ち込んだり、悲しんだり、悩んだりする。
そうではなく、今ある自分のままを一旦受け入れ、理解し、そこからより良くなる生き方を心がけていけばいい。無駄に反応することなく、淡々と、今できることを積み重ねていく。目の前のことにいちいち即座に反応してしまう私にとって、大いに学ぶべきところがある一冊であった・・・!!