![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/56242717/rectangle_large_type_2_4ab11a4826c3b8de1496ebcc99db910b.jpg?width=1200)
【藤田一照仏教塾】「移動する学林 in 仙台(2018年5月)」参加レポート
(このノートは、2018年に開講された「藤田一照仏教塾 "移動する学林"」の仙台開講のレポートについて、まず別のSNSに投稿されたものをnote向けに再編集して移植したものです)
§
藤田一照さんの仏教塾「移動する学林:Lifeshift Village」の仙台開講最終日、および同日に行われた特別イベント「小笠原和葉 × 藤田一照:禅とボディワークの出会いから生まれるもの~Presence Breakthrough Method meets Zazen」に参加してきました(2018年5月26日@東京エレクトロンホール宮城)。
この「移動する学林」では、昨年まで「仏教的人生学科 一照研究室」のタイトルで開講されていた仏教塾をもとにしてできた本、『青虫は一度溶けて蝶になる~私・世界・人生のパラダイムシフト』(春秋社刊)をテキストとして用いて、仏教"を"学ぶ、というより、仏教や禅の教えを補助線にして、「仏教"で"自己を学ぶ」ことを大切にし、私たちがいまここで生きている在りかたを仏教から眺めた目線で体感し、これからの私たちの生きる方向性のシフト(Lifeshift)が促される学びが展開されています。
4月28日に開かれた「仙台学林」第1回を、いささか長い文章ですが拙文にて振り返ってみましょう。
§
(5月仙台学林へ向けてのhomework)
1) 「IのOS」ではなく「WeのOS」で起こった、あるいは起こした、あなたやあなたの周りの行為や出来事を日々探してください。そして、「学林」塾生専用Facebookグループページでシェアしてください。
2) 毎日10分以上、継続して、接地性(Groundedness)と垂直性(Uprightness)を感じつつ、自然な呼吸の流れを感じる瞑想(呼吸に干渉しないでただ味わう、特に息と息の合間を大切にして)をし、出来た・出来なかっただけではない、きめ細かな感想をメモしてきてください。立ち上がってきた感覚、感情、思考、洞察、そのことが周囲の眺めや人間関係に及ぼす影響といったものです。実験的精神で取り組んでください。
homework 1については、仙台学林メンバーページにてシェアすることになっていましたが…残念ながら学林当日までどなたからも投稿がありませんでしたが、講義前半のグループ・ディスカッションの時間のその場で、塾生各々の日々の生活の中で起きた(起こした)、「WeのOS」が駆動する中での出来事の実例が持ち寄られ、3~4人ずつのスモールグループの中で各自から寄せられた実例の中から、全体にシェアし、また一照さんともシェアしたいことを1つ集約する…という、仏教塾ではおなじみのスタイルでのグループワークが行われました。
小グループの討議に入る前に、身心の緊張を解きほぐす"Icebreake"のワークとして、5月仙台学林に入る前に一照さんがウパヤ禅センター(ニューメキシコ州サンタフェ)にて参加されていた「Being with Dying」ワークショップ・プログラムでヨーガの先生から教わってきた「簡易版・太陽礼拝」を実修。全身で伸びをするような動きで身体の中の空気がそっくり入れ替わる…動画で説明できないのがもどかしいですが(笑)、とても気持ちよくリフレッシュできるのでオススメです。一照さんにお会いできる機会があったらぜひ教えてもらってください。
§
海と波、流れと渦
「WeのOSが駆動する上での出来事」…って何でしょう?
自分ひとりの力だけではどうにも動かせないようにみえる問題に直面したときに全く思いもかけないようなところから救いの手が差し伸べられたり、いくら頑張っても解決できない課題について、頑張って頑張り疲れたところでふとしたことから解決へのアイデアが降ってきたり…。あの井上陽水さんがいみじくも「探すのをやめた時に、探しものが見つかることはよくある話だ」と唄っているようなことですね。皆さんにも、この様な出来事があったでしょうか?
では、どうしてこのようなことが起こるのか?
WeのOSとは、閉じられて分断された「この私」の個々別々(のように見える)のそれぞれは、実はあなたも私も、一照さんも陽水さんも、飛行機も東京エレクトロンホールも…一切が<わたし>で全てが<世界>であるという実際の事実、「(仏教的な)縁起」という"つながりのヴィジョン"を指し示す概念です。(詳しくは"青虫本"を読んでいただければ…)
その<縁起>の考え方について、青虫本では"海と波の喩え"で図示されています。
海の実際をよくよく観察してみれば、風や気圧、海流の向き、海底の様子や月と地球の位置関係…など、無数無量の要因が重なり合って様々なかたちや大きさの波が海から立ち上がってくる。一つひとつの波は海の無限の深さと拡がりから切り離されて存在することはできない。
この無量の因の動的関係性の中から、すべての経験が"その都度"立ち現れては、その経験がまた次の因となって作用する…この縁起のネットワーク(縁起=ネットワークなので、厳密に言うとここには言葉の重複がありますが)を、一照さんはこの講義では「流れと渦」という喩えでも解説してくださいました。
渦もまた、流れの全体性から分離して存在することができず、因と縁の様々な関係性の中で偶さか渦を結ぶ、そのようにして私たちも存在しているというWeのOSのヴィジョンに身心をやわらかく委ねてみた時に、思ってもみなかった方向へ人生はあたらしく開けていくのかもしれません。
§
一花開世界起
ハイデッガーの「世界内存在」という哲学概念も引用しながら、人と世界の関わりは「世界ぐるみの自己」、人の存在があたらしい世界(状況)をつくり、つくられた世界に人は巻き込まれながら、またあたらしく書き換えられていく…。
『一花開世界起(いっかひらいて せかいおこる)』
臨済宗の公案集「碧巌録」や、「正法眼蔵 梅華」などに由来する禅語。
立居振る舞い、話す言葉、考えかた…「身口意」の三業のレベルでのほんのわずかな変化が、あたらしい世界を立ち上げている。それを分断の方向か、つながりの方向か、どちらの方向へ立ち上げていくのか。
日々開ける世界とのあたらしい関わり方、それを身につけるための「現代の八正道」としてのart(技芸)とwork(行)のありかたとは?…これが、次回「名古屋学林」のテーマになってくるでしょう。
§
ソマティックワーク:Outside-in, Inside-out
講義後半のソマティック・ワークの時間、まずは4月から5月へ向けてのhomeworkとして取り組んできた「接地性(Groundedness)と垂直性(Uprightness)」を感じる瞑想を椅子に座って行いました。
特に、いまここに生きていることに落ち着いて安らうGroundingの感覚や、個々別々の「I」の殻が緩み自他の境界があいまいになって、なだらかなグラデーションで「We」へと続いていく感覚にフォーカスした、
「Outside-in,Inside-outのワーク」
を一照さんのご指導で実修しました。
二人一組で行ない、着座した一人の両肩にもう一人が手を置く。
●「私の手が、あなたの肩に触れる」が、Outside-in。肩に手を置く側は、手の平に意識を向ける。
●「あなたの肩が、私の手を支えている」が、Inside-out。この時には、手の甲に集注を向ける。
ふたつの方向性で、感覚と文字通りの「タッチ」がどのように変わってくるのかを味わいます。
私は、Inside-outで肩に触れている時には手が上のほうに浮き上がっていくような感じがしました。
一照さんは、Inside-outで触れてもらっている時に、手が肩から離れてもしばらくは肩に手が置かれているような感覚が残っていたそうです。
塾生の皆さんはいかがだったでしょうか?
"学林"以外でも一照さんの坐禅会やワークショップなどでOutside-in,Inside-outを体験したことがある方もいらっしゃることでしょう。どんな感じがしましたか?
§
ワークショップのjam session
仙台学林には、アレクサンダー・テクニーク教師やヨーガの先生など、ボディワークの指導経験が豊富な方も参加してくださいました。
今回のテーマ「Groundedness、触れる/触れられる」に沿って、お二人の参加者が事前打ち合わせなしの即興でミニ・ワークショップをご指導くださいました。
まず、川村かなえさん(クリスタルボウル演奏家、音響振動療法家)のご指導によるワークは、足の裏が床(地面、大地)にしっかりと支えられている感覚を受け取りながらゆっくりと歩いて、その感覚を膝から腰、上半身から手の先、頭のてっぺんまで、順に上のほうへ伝えて、最後には自分の外側にあるもの(机や椅子、壁など…)に伝えたり、他の参加者どうしで共有しあう瞑想でした。
他の参加者がこのワークに取り組む様子を見まわして眺めながらゆっくりと歩を進めていると、すれ違ったある方の目が一瞬「きゅっ」と上目になったのに気づきました。
"感じること"と、"感じていると考えていること"との峻別は非常に難しくて、つい頭で考えてしまうときは、目線が上に上がります。
かなえさんのinstructionは優しくて繊細。静かで神秘的な雰囲気の中で、細やかな感覚にまで注意を向けやすいワークを指導してくださいました。
§
続いては、この日行われた学林特別イベントのゲストで、学林本編にも飛び入りで参加してくださっていた小笠原和葉さん(意識・感情システム研究家、プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド®(PBM)創始者)が、同じ"歩く瞑想"を、足の骨格と筋肉、腱構造に着目する切り口でご指導くださいました。
足の親指側と小指側の2つの縦アーチと、親指の付け根から小指の付け根までの横アーチ。また、踵の骨の幅が下底に、足指の横アーチが上底になる安定した台形構造で体重を支えている様子を、各自で実際に足の裏を触って確認したり、一照さんの足の裏にペンでアーチの線を描いて(!)図示したり。足の構造という端的な"事実"を知って、それに任せていくと、より安心してグラウンドしていける…。
§
特別イベント:Presence Breakthrough Method meets Zazen
学林本編から引き続いて、和葉さんをゲストにお迎えした特別イベント、
「禅とボディワークの出会いから生まれるもの~Presence Breakthrough Method® meets Zazen」
が行われました。
一照さんとの対談の中で、現在"ブームになっている"マインドフルネスがはらんでいる問題点について、「アタマインドフルネス」という言葉を使って「どうやったらマインドフルな状態になれるかを頭で考えようとしてしまうこと」を指摘しました。
マインドフルネスを「身体の物語」として読み直し、身体の構造という事実に着目しながら、いまここに安心して存在している時の生理的な感覚状態をワークを通して育てていくプログラム「プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド®」のエッセンスを最も端的に感じられる、「肺の大きさを感じるワーク」を実修しました。
上端は鎖骨の辺り、下端は横隔膜までの肺の大きさを、二人一組で身体の片側ずつ触れるだけで、身体が肺の大きさを思い出して、呼吸がラクになっていく。そうすると、肩こりがある人などは筋肉の緊張が緩んだり、あるいは手で触れて肺の大きさを確認した側だけ目が大きくなったり視界が明るくなったりすることもある!
また、「トラウマ療法にみる"心と身体のつながり"」というお話では、潜在意識と顕在意識を架橋するものとしての身体(神経系の反応)にアプローチして、身体を癒すことでトラウマを手放していくクオリティについての解説もしていただきました。
§
仙台学林・参加者の声
大人気の仏教系ポッドキャスト「藤田一照・仏教で人生はもっと面白い!?」の収録が仙台学林の会場で行なわれ、一照さんが仙台学林の雰囲気を振り返って語っていらっしゃったり、二人の塾生が感想をコメントしてくださっていますので、こちらをお聴きください。
また、学林本編から特別イベントまで、終日参加してくださいました小笠原和葉さんも、個人のblogで仙台学林の振り返りの記事をupしてくださっています。そちらもぜひご覧ください。
定禅寺通りのケヤキ並木がつくりだす清新でおいしい空気の中で、「賢く愉快に人生を生き切るための智慧を学ぶ学び方を学んだ」仙台学林。とても素敵な学びの場でした。
仙台最高でした。ありがとうございました!
いいなと思ったら応援しよう!
![ひろさん](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130373620/profile_1ec4fa769e081fa0bf519268551b49b7.png?width=600&crop=1:1,smart)