2023.2月(10冊ログ)
毎月、読んだ本から「10冊」紹介しています。
1. #私のことだま漂流記 #山田詠美
山田詠美さんの本格自伝小説。もぉ~ほんっと、かっこいい!細部にわたってかっこよすぎる。読書欲を最高潮に満たしきってくれました。
もし今いじめられていたり、友達がいなかったり、生きてるのがしんどい思春期の子がいたら、まずこの本を読んでほしいです。活字離れが進むと「腹わた」の気持ちを表現した言葉に救われる可能性が低くなるという点で悔やまれます。破天荒であろうと、罵詈雑言であろうと言葉がうつくしく、欲求をちゃんと呼び起こして立ち上がることで生きていく世界を知った方が良い。目の前の大人は誰ひとり、こんなことを教えてくれないから。
最後の最後に「女流」という表現について書かれている。女性ではなく、女流。女流作家の文学史に残る山田詠美さんの小説家としての気持ちに涙した。まじでかっこいい。これからも書いてください。ずっと読みます。
2. #ベストエッセイ
1年の中で新聞・雑誌等の媒体に発表された中から日本文藝家協会にて選りすぐった、珠玉エッセイ集です。
悼む・月・光・宇宙・親子・喪失のメッセージが多かった気がします。私はお笑い芸人田中卓志さんのお母さんのお話がシンプルでとても好きでした。そして山本文緒さんの生前の思い出が語られていた章で想いを馳せることができました。それにしても美しい日本語が使われていて、文学作品の品格を感じました。
3.#だいたい人間関係で悩まされる #幡野広志
31個の人生相談に、著者#幡野広志 さんが応えています。こんなの誰が想像できるだろうか、の解決の展開の連続です。
子どもが20歳でニート、虐待、暴力、人格否定、借金、モテたい、カミングアウト、弱者と強者、うつ病、復縁・・。こういう話にものすごくシビアに真正面から捉えて、ばっさりドライに現実を紐解いて突き付けて、勇気に変えてくれる問題解決が本当にすごい。誰かに話を聞いてもらっても愚痴っても何も変わらないから、全員これを読んだらいいと思います。
4. #それは 、恋愛障害のせいかもしれません
#愛着障害 末代まで続くスパイラル。目の前の人から離れられない苦しさがあるなら、この本を読むと気持ちが整理できると思います。
おそらく、きっかけは「私には価値がない」「私は関心を持たれない」
という現象によって、なんとか愛されること、関心を引くことに必死で心も体も壊してしまう現象なんですよね。
専門的なことはわかりませんが、強い思い込みを本を通じて整理して、あとは全く違う扉を開ける勇気をもてるといいなと願います。案外、まったく利害関係のない誰かに救われるんですから。救われたいと苦しむ気持ちがすこしでも穏やかになりますように。
5.#感情戦略
アメリカベストセラーの翻訳版。感情をコントロールできるようになる考え方が書かれています。自己啓発本の極みみたいな本でした。ちょっとこれはかなりレベルが高いと思います。
ざわつく感情をコントロールしたい人というより、メンタルを鍛えたい!みたいな人におすすめです。理系脳であり、論理的に理解したい、正義感を通すための自己向上が必要、体系立てて腹落ちしたい・・そんなことを考える人にはぴったりだと思います。私、ずっと「厳しい!それは怖いやつ!」って言いながら読みました。軽くストレス発散したと思います。ハマる人は確実に思い当たるので、すごく良い本だと思います。
6. #息が詰まるようなこの場所で
息が詰まった。東京のタワマンに住む人たちのそれぞれの話。いつも幸せの基準を人との比較に持ち、SNSを見てはため息をつき、戦い、その気持ちを家族にぶつけ、子どももその犠牲になります。
自分のアイデンティティをマンションや街に投影して承認欲求を満たす人の気持ちとして表現されていますが、たぶんどこに投影するかでしかないのでは。外からはわからない、見せない混沌の日常、それゆえの嫉妬、それでもこの場所で生きていくことの意味を見つける家族の葛藤がリアルでした。
7.#夜明けのすべて
PMSの苛立ちをぶつけた同僚の男性はパニック障害でした。でもその男性がいつしか「ぼく、PMSに興味があるだけで、藤沢さんには興味がないから。」という素晴らしい発想で彼女を助けようとします。
お互いの症状に優劣をつけようとするお互いの嫌悪感が雪解けを迎えるまでがすごく納得できるやりとりで、お互いの気持ちをざわつかせない異性としての仲間だからこそできることってあるんだと思います。
そしてこの2人を迎える職場の社長が、彼らの包み込み方を教えてくれる、あたたかい物語でした。1年後に映画化が決定しています。
8.#孫氏の兵法
兵法は戦略であって、戦う方法だけではないんです。まず、「戦うべきか、戦わざるべきか?」を決める事から始まって、できるだけ戦をせずに勝つことを計画する、と理解しました。
命を落とさない2500年前の戦は、今、会社を存続させるために、仕事を続けるために、誰かを守るために、生きていくために必要なことと同じでした
。願い(不確定要素)をできるだけ排除し、知恵者の策で進める事。リーダーのカッコよさ全開でした。
9.#話し合いの作法
「無駄な会議を減らそう」って定期的にブームが来ますよね。無駄な会議って、その場の発言の量で決まると思います。1人が話すならチャットで送ればいいし、同じ人だけが話すなら人数を減らしましょうよ。
しかし残念ながら、他社と話し合いをすることで生み出されることが社会に役立つことでもある。なので対話を学んでください。向き合って話し合うことをやめてしまうというのはあまりに悲しい。社会人スタートから個人プレーだったフリーランスが今AIに仕事を取られている現実がある。対話の延長に他社と一緒に創造することができれば、人間の仕事はなくならないと思います。
10. #一汁一菜でよいという提案
「一汁一菜」とは、ご飯と味噌汁を作り、味噌汁を具沢山にすればいい、ということです。なんだか安心する気持ちになりますね。
「台所が作る安心」という章が好きでした。台所に大人が立っている、おいしいものを作る音が聞こえる、おいしそうな匂いがしてくる、部屋があたたかくなる、その安心感が子どもに伝わる。
今日も台所に立ったみなさま、おつかれさまでした。
あなたの存在が家をあたたかい場所にしているんだと思います。
おわり。
今月も読んでくださってありがとうございました。来月も書きますので良かったら遊びに来てください。
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