Giftは寄付する喜びを広げています。
「Giftって何してるん?」
昔から答えに困る質問の一つだった。先日、Giftの説明会を開いた。その時もやはり同じように聞かれたのだった。
「Giftは寄付する喜びを広げています。」
最近はこう答えるようにしている。もちろん、これだけでは伝わらない。だから募金箱を置いていた経験やNPOの価値、NPOと寄付者のコミュニケーションの事例などを交えながら伝える。
そんな努力もあって、最近では伝わったなぁと感じることも少し増えてきた。ここで少しだけ、この言葉が生まれるまでを振り返っておきたい。この文法を開発したことは僕らにとって大きな意味を持っていたから。
全てを捨てるところからのスタート
僕と小山が中心に活動を進める体制になってからもうすぐ2年ほどになる。2019年の2月に里山でNPOを対象に行われた合宿があった。その時に声をかけてもらって、しばらくGiftから遠ざかっていた僕に声がかかった。
その頃、Giftはというと募金箱をやめるか、やめないかの決断を迫られていた。立ち上げたメンバーがいなくなり、中心に動かしているのが小山だけになりつつあったからだった。
当時、久しぶりに小山と会った僕が最初にした提案は「Giftを解散しませんか?」というものだった。
募金箱事業は上手くいっているとは言い難かった。手数料を取らずに設置回収のためにがむしゃらに声をかけ、体力の続く限りNPOさんの代わりに資金を集めてくる。その活動に共感してくださった方が僕らに寄付をしてくれるというスタイルだった。
もちろん、Giftは疲弊していった。
もはや、小山以外に募金箱を置こうとするものはいなかった。それでも彼女はやめなかった。なぜやめないのか問いかけるとこう答えた。
「これまで私たちを応援してくださった寄付者の方に申し訳ない。仮に払ってくれた金額を返せたとしても、それは気持ちに応えたことにはならない。」
実際、Giftの想いはこういうところにあるのだろうと感じる。寄付をしてよかったと思ってもらえるためにはやはり寄付者の期待に応えていくことが必要だと思う。
それが僕らの幕開けだった。
対話か。寄付か。
僕はNPOの仕事というのは対話することだと思っている。こういう問題があるけどあなたはどう思いますか。私たちはどうやって協力していけるでしょうね。そんな風にコミュニケーションをしていくとが最も大切なことだと思っている。
そんな想いもあってか、やけに僕はこれまで対話の場作りにこだわってきた。そして、その場に来た人がGiftに関わるようになった。すると自然と寄付という言葉があまり語られないまま、Giftの活動が進んでしまうこともしばしばあった。
対話の企画が悪いんじゃないけど、自分が何者だったのかを忘れてしまっていた面もあると思う。Giftは「寄付してよかった」という体験を広げることにエッセンスがある。僕はただ、自分が寄付をもらうことに抵抗感があっただけだということを認めなくてはならない。
その寄付か対話かの落とし所を探った時間は自分たちが何者だったのかを思い出すためには決して無駄ではなかった。それでも多くの人を傷つけ、僕自身も傷つき、疲れ果てた。だから一言で自分たちが何者かを思い出せるようにしたいと思った。
僕の中にはみんなに謝りたい気持ちとそれでも側にいてくれたことに感謝したい気持ちが今も複雑に絡み合っている。
ファンドレイジングデザイン講座誕生
2020年6月からファンドレイジングデザイン講座というオリジナル講座を開始した。これはファンドレイジングをするための講座ではなく、寄付者の寄付体験をより良いものにするための考え方やアイデアを共有するものだ。
この講座、現在では20団体ほどが受講してくださり、その団体の中からキャンペーンやクラウドファンディングにチャレンジしてくださっている団体もある。
この講座を続けていく中で「Giftとはなんだろうか?」という問いに僕らは答えを出そうとしてきた。いろんな言葉が生まれては消えて行った。文法開発とも呼べるこの時間を経て、「寄付してよかった」という喜びが広がっていく社会に近づいているという実感を抱くようになってきた。
そして、その体験をそのまま言葉にした。
Giftは寄付する喜びを広げています。
僕たちは団体として自分たちができないような理想を描くのではなく、自分たちの実感に近いものを言葉にしていった。そうすることで一行の言葉になった。
講座からトレーニングへ
そんな実感をさらに深めていくために講座の改善を試みた。でも、ある時、気づいた。多分、これ以上、知識が増えたとしても劇的に何かが改善されるわけではない。
なぜか。
知っていることとできることは違うからだ。
僕自身はコミュニティオーガナイジングという社会運動のトレーニングを受けたり、実施したりしてきた。その中でワークショップ形式で体験してみると知識は技術に深まっていく。
今の僕らが実施する講座では知り得たとしても身にはつかない。
素朴に考えれば、いわゆる営業職と呼ばれるみなさんは商品の知識を得たり、話し方を練習したりするのは多分常識のはず。でも寄付集めはその練習をするというか想いを共有しようということが先行している気がした。
そこで僕たちは来年の春くらいにNPO向けの新しいサービスを立ち上げようと思っている。名前はF,Lab。ファンドレイジングの講座ではなく、トレーニングを提供するサービスだ。
僕たちGiftの次のステップが見えてきた。活動自体は4年くらいになるけど、今年の6月くらい再スタートを切った感じもする。寄付する喜びを広げる僕らの活動はまだ始まったばかりだ。
どうぞ、引き続き見守ってくだされば幸いです。
<お知らせ>
1、Giftの報告会&クリスマス会なるものが実施されます。オンラインですので、お気軽にご参加ください!
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