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#02 自己実現に必要な3つの感情

前回の記事では、自己実現を遂げた人の特徴を、マズローを参照しながら確認してきた。その特徴を備えるには、あまりにも難易度が高いように思われ、読者からは諦めにも似たため息が聞こえてきそうである。でもちょっと待ってほしい。ぼくはこれから自己実現のメリットを実生活に準えて詳細に説明をしていきたいと思う。それらのメリットを知っていただければ、読者のなかにも自己実現を諦めずにいてくれる方も出てくるのではないか、と思っている。

ぼくはプロローグで自己実現のメリットについて簡単に記載している。

“生きづらさを軽減”し、“よりよく生きる”こと。

では、生きづらさを軽減し、よりよく生きるとはどういうことなのか。どのようなメリットがあるのか。そのことを、前の記事の自己実現を果たした人の特徴から探っていきたいと思う。

前回は、マズローを引用して自己実現した人の特徴をかなりの数列挙した。この記事では、数ある特徴からいくつかをグルーピングしてとりあげ、日常生活のメリットの記載に落とし込めるようにしていきたいと思う。

今回、ぼくは自己実現した人の特徴を以下のようにまとめた。

①物事をありのままに見ることができる
②我慢をしすぎない
③自分ではなく問題を中心に捉える
④他者から自立している
⑤ポジティブで楽観的である

各項目を見ていただいただけでも、少なからずメリットがありそうなことはご理解いただけることと思う。ではさっそく各項目の日常生活における具体事例に落とし込んでいきたいところではあるのだが、その前に、自己実現を果した人の特徴を支える前提について、ぼくの考えを記しておきたいと思う。

ぼくは自己実現的な特徴をまとうためにはに以下の3つの感覚をもっていなければならないと思っている。

⑴自己重要感
⑵自己有能感
⑶自己好感

の3つだ。自己重要感は、マズローの欲求階層説の帰属の欲求と似ている。自分があるグループに属し、重要な存在であると実感することだ。自己有能感は、自己効力感に似ている。自分の意志に基づいて力を発揮すれば目の前の現実を変えられると思えるかどうか。または、ある問題やタスクに対して対処できると思えることである。そして、自己好感はその名の通りなのだが、自分の長所も短所も含めて自分のことが好きであるかどうかを問うていることだ。つまり、自分の素晴らしい特性だけを切りとって自己好感と言っているわけではない。

自己重要感、自己有能感、自己好感という3つの感覚をもってはじめて自己実現を果たされる。そして、その自己実現を果した人の特徴が前述した①〜⑤である、ということだ。

そして、この3つの感覚は①〜⑤の特徴と密接に絡みあっている。

例えば、自己重要感は、②と④に密接に関係している。自分が所属組織の中で重要な存在であり、充分に帰属できている感覚があるからこそ、自分を抑圧せずに振舞うことができ、組織を離れて個人としての自分を楽しむことができる(自立できる)。

自己有能感は、③と⑤と関係している。自分が目の前の課題に対処できるという自信があるからこそ、課題解決を目的とした行動をとることができる。自信がないと人は慎重になり、失敗をしないこと、面目を潰さないことのために行動するようになる。また、「自分ならできる」と思えることがポジティブで楽観的な姿勢を育む。

最後の自己好感は②と⑤に関係している。自分のことが好きであるという感覚が、他者も自分を好いてくれるだろうという自信に変わり、自分を抑圧して我慢をすることが減る。そして、多少、重要感や有能感が落ちてしまった時にでも、自分のことを好きでいられるということが、ポジティブで楽観的な態度を生むのだ。

このように、自己実現を果した人の特徴と自己実現の前提とした3つの感覚は密接に紐づいている。

そして、まだ触れられていない①は3つの感覚が揃ってはじめて実現する、と理解してほしい。人は嘘かと思うほど現実を歪曲して理解しようとする。それは、心理的な本能であり誰もがそのように防衛しているし、世界を生き抜くために必要な機能でもある。現実をそのまま理解すると心理的なショックが大きすぎて、ノイローゼになるのを防ぐために、現実を歪めて理解するのだ。とはいえ、現実を歪めることの代償もある。現実世界と歪めてしまった世界の差異が生きづらさを生むからだ。このことは、あらためてどこかで詳述しようと思う。

自己実現のメリットを書くつもりが、ずいぶん遠回りをしてしまった。とはいえ、この前提となる3つの感覚についての知識があれば、より自己実現のメリットを理解しやすくなるはずだ。という言い訳をして、次回はほんとうのほんとうに自己実現のメリットおよび具体事例を書いていこうと思う。

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