勝又康仁 人事と組織開発 HR&OD

“だれもが自己実現できる社会をつくる”。 エン・ジャパンで評価・教育サービス責任者。専…

勝又康仁 人事と組織開発 HR&OD

“だれもが自己実現できる社会をつくる”。 エン・ジャパンで評価・教育サービス責任者。専門は、組織、人材開発。2022年春、茅ヶ崎移住。Ua値0.29、C値0.2の家。ここでの発言は個人の見解であり所属組織とは関係ありません。

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組織開発のレベルを高めるためにぼくが実践してきたこと

組織開発はアートである。このことは、以前にnoteに書いたことがある。 組織開発は多様な課題を対象としており、多様なアプローチをとるものだからこそ、その実践の輪郭はぼんやりとしており、曖昧である。妥当性が高いと思われたソリューションは想定した成果を出せず、むしろ、思いがけない副産物が生まれたり、あるいは、思いがけないアイデアが想像以上の成果を生むこともある。まったく思い通りにいかない。そういう意味で、ぼくは組織開発をアートという言葉で表した。 そして、このことが組織開発の

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    • 心的外傷を乗り越えられる社会づくりを

      心的外傷後成長(Posttraumatic Growth、PTG)という概念がある。心的外傷後成長とは、困難な経験や危機的な出来事からポジティブな心理的変化を遂げることを指す。米国心理学者であるリチャード・テデスキ氏とローレンス・カルホーン氏によって提唱された。 心的外傷後成長を遂げると、次のような変化があるという。 人生への感謝 内面的な強さ 他者との関係の深まり 新たな可能性の発見 人生や仕事の優先順位の変化 自分の人生に新たな意味や目的を見つける ぼくは

      • 人間関係の悩みはコミュニケーションスキルだけではどうにもならない問題

        人の悩みのほとんどは人間関係にまつわるものだ、偉大な心理学者はかつてそういった。組織開発に携わっているぼくとしても、社内の関係性にまつわるクライアントの悩みは深く首肯するところだ。そのため、コミュニケーションスキル向上をテーマとしたワークショップは枚挙にいとまがない。 その一方で、コミュニケーションスキルがほんとうに関係性の悩みを解決につながるのかについては、よくよく緻密に検討する必要したほうがよいと思っている。ほんとうにスキルだけで関係性の課題を解決できるのだろうか。

        • 唯識と成人の発達理論

          2024年下半期以降、三島由紀夫の小説をひたすら読んできた。『仮面の告白』、『金閣寺』といった有名どころはもちろんのこと、『英霊の声』、『鏡子の家』、『豊饒の海』全4巻などである。それ以外にも積読にはなっているが『太陽と鉄』、『美と共同体と東大闘争』など読み進めているものはまだあるのだが、平野啓一郎の『三島由紀夫論』を最後には読み切っていったんの区切りをつけるつもりだ。 ぼくが三島由紀夫を知ったのは、宮台真司の対談番組を見たのがきっかけだ。「からっぽ」をキーワードに宮台が三

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        組織開発のレベルを高めるためにぼくが実践してきたこと

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        • 時の流れに漂うエッセイ
          29本
        • これからの人材・組織開発の話をしよう。
          41本
        • Pick Up notes
          73本
        • この世界から“生きづらさ”をなくす
          18本
        • はたらく人の心の省エネマガジン
          7本
        • 茅ヶ崎移住記
          4本

        記事

          頑張らなければ生きれない社会とHRtech

          41歳の誕生日を迎えた。ぼくは誕生日というものに特別な意味を見出したり、プレゼントをねだったり、そういう性質ではないのだが、これまで生きれたことに、または、奥さん、子宝に恵まれたことに、当日の朝、しみじみと思いを馳せてみた。特に、ふたりの子どもは間違いなく、ぼくにとっての大きな生きがいだ。ふたりの横顔を見ながら、頑張ろう、と思えた。 頑張ろう、というのは不思議である。頑張って生きること。頑張らなければ生きられないこと。頑張らなくてもよい社会は構築可能か。あるいは、頑張らない

          頑張らなければ生きれない社会とHRtech

          結局、組織はトップ次第であるという言説と品性(インテグリティ)について

          結局のところ、組織はトップ次第である。組織のビジョン実現を妨げているのは、ビジョンを掲げている当の本人、組織のトップであることは少なくない(ように思われる)。つい、先日も同僚と、「なんとなくあの組織のトップは信用できない。組織の求心力を弱めているのは、当の本人ではないか」、そんな話になった。こうした話は、特別、ぼくのような人材・組織開発コンサルまわりだけのものではなく、みな働いていれば、実感のもてる話ではないだろうか。 組織のトップはもっともパワー(権限、影響力)をもってい

          結局、組織はトップ次第であるという言説と品性(インテグリティ)について

          【日本的組織開発論】『失敗の本質』に見る日本軍の集団主義的傾向と河合隼雄の「場の論理」

          『失敗の本質』を再読した。先日のnoteで触れた河合隼雄「場の論理」に関連して、さらに思考を深めるために、何かヒントが得られるのではないか、と思ってのことだ。 河合の「場の論理」とは、「与えられた「場」の平衡状態の維持にもっとも高い倫理性を与えるもの」であった。「場の中に「いれてもらっている」かぎり、善悪の判断を超えてまで救済の手が差しのべられるが、場の外にいるものは「赤の他人」であり、それに対しては何をしても構わない」という。 では、『失敗の本質』ではどのようなことが述

          【日本的組織開発論】『失敗の本質』に見る日本軍の集団主義的傾向と河合隼雄の「場の論理」

          組織はメンタルモデルで動いている

          個々人の異なるメンタルモデルが組織開発の障害になる。最近、そう思うことが増えた。特に、組織間の利害を調整しつつ、組織として一貫した戦略をもち、もっとも組織のパフォーマンスを最大化する。組織開発をそう定義した場合、上記の仮説が立ち現れる。 組織間の利害を調整するとはどういうことだろうか。たとえば、よくあるのは営業と製造現場でのやりとりである。営業は製造された商品が売れない、と主張し、反対に製造部は営業力がないから売れないと主張する。営業は製品に対する顧客からの細かい要望に丁寧

          組織はメンタルモデルで動いている

          なぜ、組織開発はうまくいかないのか~レヴィンの場の理論と河合隼雄の場の論理から考える~

          組織開発にすこしでも関心がある方は、クルト・レヴィン(Kurt Lewin)の場の理論(Field Theory)を知っている読者も多いかもしれない。レヴィンは、社会心理学者であり、グループダイナミクスや組織変革の研究で知られている。彼の場の理論は、主に個々の行動やグループの行動を特定の社会的な状況や「場」の中で理解しようとするものだ。 レヴィンの場の理論は、**B = f(P, E)**の式で表される。「B」は行動(Behavior)を指し、「P」は個人の性格や特性(Pe

          なぜ、組織開発はうまくいかないのか~レヴィンの場の理論と河合隼雄の場の論理から考える~

          組織開発はなぜ難しいのか

          20年と組織開発に携わってきたが、つくづく難しいなあ、と思う。どうすれば、組織は変わっていくのか、機能するのか、どの手法が最善なのか、と頭を悩ませ続ける日々を送っている。が、今だ明瞭な答えは見いだせない。あまりにも難しいせいで、そもそも組織に対して、少なくとも外部のコンサルタントという立場では、変化を起こせないのではないかとも思う。2020年にぼくたちの働き方を変えたのは、組織開発ではなく、新型コロナウイルスだった。あのときほど、無力を感じたことはない。ぼくはなぜ外部コンサル

          組織開発はなぜ難しいのか

          2023年のふりかえりと新年の抱負

          22023年が終わり、2024年が幕をあけた。 noteにおける記事の執筆が、もはや新年の抱負とふりかえりのためだけになされている感が否めない。が、まあ、それもよいだろう。今年も2023年のふりかえりと今年の抱負について書いてみたいと思う。 2023年のふりかえり新居におけるはじめての冬 もう遠い昔のように思えるが、2023年は新居に移り住んで、まだ、半年という時期で、はじめて本格的な冬を迎えたのだった。ぼくが建てた家は性能にこだわった自慢の一軒家だ。冬は晴れていれば、無

          2023年のふりかえりと新年の抱負

          守られない抱負と人生の有限性、あるいは人生からの贈り物について

          はやいもので今年ももう半分が過ぎようとしている。noteの更新もなんだかんだと滞ってしまった。 前回の更新では新年の抱負とともに、健康不安の払拭の必要性について書いた。人間ドックが要検査となりぼくにとってははじめての検査が必要だった。結果は、大きな病気などなかったのだが、あらためて自分の人生をどう生きるか、考えるきっかけとなった。 また、インプットに次ぐインプットという抱負も掲げており、この進捗も良好である。Twitterで #インプット2023 というハッシュタグで都度

          守られない抱負と人生の有限性、あるいは人生からの贈り物について

          2023年、どんな年にしようか。

          また年が明けた。2022年もまた激動の1年だった。毎年の恒例行事。ここに2022年のふりかえりと新年の抱負をまとめておく。 2022年のふりかえり自愛を込めた新年の抱負 昨年の新年の抱負を見返した。 そこに書かれていたのは自愛だった。思い返すと、2021年末は仕事にも、新居の建築にもエネルギーを使い、疲れ切っていたということをあらためて思い出した。 そんな抱負もむなしく、以下に記すように結局は激動の1年を過ごすことになる。 ロシアの特別軍事作戦開始 そんな自愛を決

          2023年、どんな年にしようか。

          変化をゆるめて、忘却にあらがう

          『忘却にあらがう 平成から令和へ』を読んだ。哲学者であり、批評家でもある東浩紀が5年にわたってつづった時評集である。 ぼくは、筆者が創業したゲンロンにもお世話になっており、時折、日々の合間をぬってこうした人文書を読む。普段はバリバリのビジネスパーソンであるため、直接的に仕事に関係ないのだが、ビジネスで凝り固まった頭に時折あたらしい刺激を送り込んでくれる。本書でもそうだった。 先日、以下のエッセイを書いた。ぼくのライフイベントやキャリアにまつわる話だ。 息子が生まれてから

          変化をゆるめて、忘却にあらがう

          ”祭りのあと”のキャリアステージ

          noteで以前、家を建てる話をしてきた。茅ヶ崎移住記のマガジンである。 工務店に問い合わせをしてから1年半、今年の5月末に竣工した。一生賃貸派だったぼくが、住宅性能に力を入れ二世帯という選択をし、多額の住宅ローンを組んだことは大きなライフイベントであった。 さらに、注文住宅は建設時がもっともリスキーで、その間に施主にもしものことがあっても団信は適用されない。そういう意味で、無事に家が建って肩を撫で下ろしている。 明確に大きなライフイベントのひとつが終わったのである。

          ”祭りのあと”のキャリアステージ

          人的資本経営にたちはだかるふたつの障害とは

          人的資本経営がますますトレンドになりつつある。ぼくも以前から着目していたテーマである。所属組織の公式noteでもそのことは書いた。 ダブついた財務資本を人的資本に投資し、よりイノベーションを起こすことが重要だ。ぼくが現場をまわってみても、各社、人的資本経営に向けて着実に動き出しているように思う。一方で人的資本経営にはいまだ遠い現在地にいる企業がほとんであることも感じている。この記事では、人的資本経営実践の現在地と今後求められるだろうことを書いていく。 人的資本経営に向けた

          人的資本経営にたちはだかるふたつの障害とは