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頑張らなければ生きれない社会とHRtech

41歳の誕生日を迎えた。ぼくは誕生日というものに特別な意味を見出したり、プレゼントをねだったり、そういう性質ではないのだが、これまで生きれたことに、または、奥さん、子宝に恵まれたことに、当日の朝、しみじみと思いを馳せてみた。特に、ふたりの子どもは間違いなく、ぼくにとっての大きな生きがいだ。ふたりの横顔を見ながら、頑張ろう、と思えた。

頑張ろう、というのは不思議である。頑張って生きること。頑張らなければ生きられないこと。頑張らなくてもよい社会は構築可能か。あるいは、頑張らない人生に意味はあるか。いろいろと考えさせる。

そういえば、ぼくのメンバーが先日こんなことを言っていた。「社員が頑張らなくてもよい組織をつくれないか?」、そんな問いだった。ぼくは、人が頑張るなかで成長していくことに意味を見出す傾向が強いので、考えたこともない問いだった。なるほど、社員が頑張らなくてもまわる組織か。

タレントマネジメントシステムをはじめとするHRテックは、それを目指しているように思える。タレマネは、ある意味、適材適所を模索しているシステムである。とにかく、人に負担をかけずに、その人がもっとも楽に仕事ができる、または、もっともポテンシャルを発揮できるように、テクノロジカルに人と組織の問題を解決する、そんなメッセージが含まれているのではないか。

ただ、道は険しい。タレマネ導入企業であっても、また、データ蓄積段階で適材適所は夢の話だし、そのフェーズを過ぎたとしても、人事が実現したいことと現場のそれが異なり、タレマネが推進されない、といった古典的な、組織内の関係性の問題があることも聞く。また、前述のとおり、仕事で頑張ることがなくなったら、人はどうなるのか。自ずと成果があがって、自己効力感もたかまって、人は幸せに暮らすのだろうか。そんな単純な話ではないはずだ。

適材適所で、人が頑張らなくてもまわる組織。それを完全に否定する気はない。でも、そんな安易な理想郷が技術的可能性だけで実現するとは思えない。ぼくは、技術万能主義、盲目的な理想主義、そうした風潮に異議を唱えるものである。

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勝又康仁 人事と組織開発 HR&OD
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