中島聡

エンジニア、起業家、サイエンス・ライター。自分が創業者として米国に作った会社を2回売却…

中島聡

エンジニア、起業家、サイエンス・ライター。自分が創業者として米国に作った会社を2回売却($56M, $320M)。 シアトル在住。メルマガ「週刊 Life is Beautiful」連載中。工学修士・MBA。

マガジン

  • Singularity Society Magazine

    • 252本

    シンギュラリティ・ソサエティは、中島聡x夏野剛の呼びかけにより設立された、「未来の創造者」たちの団体。ソサイエティの会員のnoteをまとめています。

  • 人工知能入門

    私のメルマガ「週刊Life is beautiful」からの抜粋です。

  • 永遠のパソコン少年

  • 今週のざっくばらん

  • ガチな起業話

    この度、2000年に起業し、2004年にスクエニに売却($56M)した後2007年にMBOで再び独立した会社Xevo inc.(旧名 UIEvolution)を、2019年にLearに売却($560M)することに成功しました。 滅多に出来ないような貴重な体験をしたので、一連の出来事を創業者の立場で、時系列で書いてみることにしました。

最近の記事

人工知能入門:バックプロパゲーション

私は、難しいことを誰にでも(可能であれば中学生にでも)分かりやすく解説することに、使命感さえ感じています。 私自身、今でも勉強が大好きで色々なことを勉強していますが、その過程ではなかなか理解できずに苦労することもあります。そんな場合には、さまざまな教材に目を通して勉強しながら、時間をかけて手探りで答えを見つけるしかありません。特に私にとっての「理解」とは、単に公式や定理を覚えたりすることではなく、「直感的に理解する」ことなので、とても手間がかかります。 そんな中でも、「直

    • 人工知能入門:RAG

      今週は、RAG(Retrieval-Augmented Generation)について解説します。LLM(大規模言語モデル)は、大量のテキストデータを学習データとして与えたニューラルネットであるため、単に優れた言語能力を持つだけではなく、大量の知識も保有しています。人工知能の研究者の中には、ニューラルネットの学習プロセスとは、データの圧縮以外の何物でもない、と指摘する人すらいます。 そのため、LLMは、学習データに含まれる事柄について質問されると、正しい答えを返して来ますが

      • 人工知能入門:Text Embedding Vector、「似ている言葉」の話

        今日のテーマは、ChatGPTで使われているLLM(大規模言語モデル)の基礎となる技術、Text Embeddingについて解説します。自然言語(人間は話す言葉)を扱う上で、「どの言葉がどの言葉に似ているか」を判断する際に使われる仕組みです。 私たちは、毎日のように「あの人は、芸能人の誰々さんに似ている」「このラーメンのスープって、中華三昧のスープに似ている」のように、何かと何かを比較して、「似ている」とか「似ていない」と評価しています。私たちの脳は、そんな判断を瞬時にする

        • 小説:オンラインゲーム「H・O・P・E」

          第一章届いた荷物を開けると、そこには「ようこそUBIプログラムへ!」と一言だけ書かれたカードと共に、一つの「グラス」が丁寧に梱包されていた。詳しい説明は、グラスをかければ分かる、ということなのだろう。 友也は梱包を開けて、グラスを手に取った。子供の頃に遊んでいたグラス(その頃はVRグラスと呼ばれていた)と違い、とても軽くて薄い。明かに最新式だ。 大学受験に失敗し、就職もせずに、UBIと呼ばれる社会保障システムの恩恵に預かることになった友也に、なんでこんな高価なグラスを受け

          ¥500〜
          割引あり

        人工知能入門:バックプロパゲーション

        マガジン

        • Singularity Society Magazine
          252本
        • 人工知能入門
          3本
        • 永遠のパソコン少年
          13本
        • 今週のざっくばらん
          26本
        • ガチな起業話
          4本
        • エンジニアのための頭の体操
          5本

        記事

          Satoshi Nakamotoのインタビュー

          GraphAIというデータフロー型プログラミングを可能にするオープンソースライブラリを開発している過程で、サンプルとして作ったアプリ、interview_jp(リンク先でソースコードを読むことが出来ます)は、任意の有名人の名前を指定すると、その人のインタビューを質問も含めて作ってくれる、AIエージェントです。下は、これを使った、Satoshi Nakamotoのインタビューです。groq上のllama3に英語で文章を作らせた上で、gpt3.5で日本語に翻訳しています。 Sa

          Satoshi Nakamotoのインタビュー

          Sp

          祈るのをやめ、胸を叩いて自分を責めるのをやめなさい。私が望んでいるのは、世界に出て、人生を楽しむことだ。 歌い、楽しんで、私が君のために作ったすべてを満喫しなさい。暗くて寒い、自分で建てた神殿、それを私の家と呼ぶのをやめなさい。私の家は山々、森、川、湖、海岸にある。それは私が住み、君たちへのすべての愛を表現する場所だ。 惨めな人生を私のせいだと責めるのをやめなさい。私は君に、何か悪いところがあるとか罪人だとか言ったことは決してない。 私が書かなかった聖典を読むのをやめな

          オンライン・ゲーム「H・O・P・E」、第二章

          友也がUBIプログラムから提供されたオンラインゲームを楽しんだ翌日の朝、霞ヶ関の会議室で、サーバーに繋いだパソコンの画面をプロジェクターに写しながら、一人だけその場に不釣り合いなTシャツを着たエンジニアが、同席する背広を来た人々に向けて説明をしていた。メンバーの多くは明らかに霞ヶ関の官僚だが、そのうち二人は議員バッチをつけた初老の政治家だ。 「昨日の0時までの段階で、UBIグラスでログインした被験者は、現時点で865人。そのうち、UBI受け取りの手続きを完了した被験者は、3

          ¥400

          オンライン・ゲーム「H・O・P・E」、第二章

          ¥400

          オンライン・ゲーム「H・O・P・E」、第一章

          届いた荷物を開けると、そこには「ようこそUBIプログラムへ!」と一言だけ書かれたカードと共に、一つの「グラス」が丁寧に梱包されていた。詳しい説明は、グラスをかければ分かる、ということなのだろう。 友也は梱包を開けて、グラスを手に取った。子供の頃に遊んでいたグラス(その頃はVRグラスと呼ばれていた)と違い、とても軽くて薄い。明かに最新式だ。 大学受験に失敗し、就職もせずに、UBIと呼ばれる社会保障システムの恩恵に預かることになった友也に、なんでこんな高価なグラスを受け取る権

          ¥100

          オンライン・ゲーム「H・O・P・E」、第一章

          ¥100

          NounsDAO の終わりの始まり

          「DAO(Decentralized Autonoumous Organization)とは何か?」を理解するために、去年の4月にNTFを購入して参加したNouns DAOですが、とうとう「fork」という手段によって分裂することになりました。私も悩みましたが、fork側に合流し、(ragequit と呼ばれる方法で)資金回収をすることにしました。 DAOは、プログラマブルなブロックチェーンにより可能になった、運営が自動化された組織のことです。従来型の会社や国と違って、ブロ

          NounsDAO の終わりの始まり

          GPT4と捕鯨について討論してみた

          私:日本がIWCから脱退したことに関して、日本人としてとてもがっかりしています。 (GPT4が演じる)捕鯨団体関係者:IWCからの脱退にがっかりされていること、理解できます。しかし、私たちは捕鯨を続けるべきだと考えています。捕鯨は日本の文化であり、長い歴史があります。また、持続可能な捕鯨を行っているため、海洋生態系に悪影響を及ぼしていないと考えています。さらに、日本はIWC内での合意形成が難しいと判断したため、脱退を決定しました。私たちは、国際社会との対話を続けながら、日本

          GPT4と捕鯨について討論してみた

          少女と青い光

          あつしは、数学が得意だけど、女の子と話すのは不得意な高校1年生。 ある日、あつしが帰り支度をしていると、彼の隣に不思議な表情を浮かべる少女が立っていた。彼女は長い黒髪をして、その瞳は碧い海を彷彿とさせる深いブルーだ。 「あつしくん、ちょっと話してもいい?」 あつしは動揺して上手に返事が出来なかったが、彼女は気にせず話し続けた。 彼女は、彼女だけが知る不思議な秘密を持っていた。それは、彼女が満月の夜に、海辺に現れる「青い光」を見に行くというものだった。 「あつしくん、

          少女と青い光

          暗号通貨とは何かを中学生にも分かる様に説明してみる

          これは、私がVoicyに投稿したものの中で、もっとも評判が良かったものの一つです。

          暗号通貨とは何かを中学生にも分かる様に説明してみる

          EVシフトの現状を中学生にも分かる様に説明してみる

          Note と Voicy が連携したのを記念して、音声のみのNote を試しに作ってみました。

          EVシフトの現状を中学生にも分かる様に説明してみる

          クリプトデバイドとは

          クリプトデバイドとは、クリプト(暗号通貨)の世界で活動する人たちと、そうでない人たちの間の大きな隔たりのことを意味します。その隔たりは、デジタルデバイドと呼ばれる、デジタルデバイスを使いこなせる人とそうでない人との隔たりよりも遥かに大きく、(この記事を書いている2022年4月の時点では)簡単には乗り越えられない大きな壁として、存在しています。 最初に私がこの言葉を使ったのは、メルマガ「週刊 Life is beautiful」の4月12日号ですが、メルマガのままだと一般の人

          クリプトデバイドとは

          Voicy はじめました

          以前から Podcast で発信することには興味があったのですが、編集の手間などを考えると、時間的に無理だと考えていました。 しかし、今回、Voicy の運営元から誘われ、試しに一つ配信してみると、配信者向けのアプリがとても使いやすく、これであれば、配信にあまり時間を使えない私にも十分に可能だと感じました。 とりあえず、ここまで5つ配信したので、順に内容について紹介します(小見出しがリンクになっています)。 1. Voicy はじめました 最初のご挨拶です。メルマガと

          Voicy はじめました

          デジタル庁への三つの提言

          先週になって、日本のデジタル庁が「デジタル社会の実現に向けた『新重点計画』の策定に向けてのご意見」を募集していることに気がついたのですが、残念ながら期限を過ぎてしまっているし、そもそも質問項目が役に立ちません。私なりに言いたいことはたくさんあるので、一通りここに書いておくことにします。 日本でデジタル化が進んでいない原因は複数ある上に、それらが複雑に絡み合っているので分かりにくいし解決しにくいのが現状です。なので、まずは、それらを可能な限り独立した問題に分割し、それぞれに対

          デジタル庁への三つの提言