個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方 ~自分のありたい姿の実現のために~
今回ご紹介する本:澤円著 「個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方」 ※今回はAudibleで聞きました。
こんな方におススメ
・本当にやりたいことがあるのに現状でとどまっている人
・やりたいことが見つからない人
・ニューノーマルの働き方に対して興味がある人
・自分に付加価値をつけたいが、方法がわからない人
概要 ここだけ読んで内容把握
これからのニューノーマルの時代において、働き方はより個人の力に依存してゆくと考えられております。コロナショックのあおりを受け、業績不振により、企業はリストラによる人員削減、最悪の場合倒産を迎え、いきなり失業をするリスクが浮き彫りになりました。これからの時代は、会社や特定の団体に頼らない自身の力に頼る生き方が望まれるのです。ニューノーマルの働き方、生き方を豊かに楽しくする秘訣は、ありたい自分(Being)を自分で発見し、それを言語化することで、まず自分がどのように生きていきたいのかという自分軸を作ることだと著者は説きます。このBeingがはっきりとしていれば、「あなたってこうだよね?」という他人の評価や「○○社の課長」という会社の評価など、外部からの評価(他人軸)に振り回されることなく強い個として生きることができるそうです。
強い個としての生き方ができたら、自分のありのままを発信することができます。今はインターネットで個と個が自由につながる時代であり、発信の手段は様々です。この時、「○○ができる」ということを発信するのと同じくらい「○○ができない、わからない」ということも大切だそうです。この発信によって人から情報や知識を得られるわけですが、その有機的なつながりが新たな価値を生むこともあると著者は説きます。
今までは組織に寄りかかる生き方でも問題ありませんでした。しかし、今まで潰れないと思われていた大企業が目に見えないウィルスによってあっけなく潰れてします時代には、Beingを定義し自分を強い個として仕上げ、ほかの強い個同士で繋がることで新たな価値を生み出す仕組みを流動的に作っていくことが何よりも大切だといえます(下図参照)。そのような価値観を、本書で手に入れられると思います。興味のある方はぜひ本書を手に取ってみてください。
各論 第1章「Think 当たり前を疑う」 読解
優先順位は 個>組織 ~強い個のつながりが価値を生む~
これからの時代、個として何ができ、何を生み出すのかが大切だそうです。組織に寄りかかる生き方では組織の外にモノサシを持たず、結果として自分の能力や生み出せる価値をわからずに生きていくリスクがあります。さらに組織をベースに行動すると、意思決定に時間がかかりすぎてしまう点も問題になるそうです。これからの時代は"ありたい自分(Being)"を明らかとして、「強い個」同士が有機的なつながりを持ち、新しい価値を創造していく時代になると著者は説きます。
今までは組織の中で一生懸命に働き出世することが安定した人生を送るための"当たり前"だったと思います。この当たり前はすでに当たり前ではなくなっているのです。当たり前を疑い、Beingを中心とした人生の組み立てをしてきたいものですね。
Being(ありたい自分)の作り方
Beingを作るには、まず自身が考える「ありたい姿」を言葉で説明することから始めるとよいそうです。それには学歴や性別、他人の評価などの外部の軸をいったん無視して、自分と向き合い、自分勝手にありたい姿を望むことが重要だそうです。
著者は自身のBeingを具体的に定義する際に、「あこがれの存在」を定め、その存在に近づくようにしたそうです。著者はもともと文系出身だったそうですが、007シリーズのQやバットマンシリーズのアルフレッドペニーワースというエンジニアたちに対して「なんかかっこいいな」という漠然としたあこがれを持ち、"エンジニアのように本質を見定め、解決策を打ち出す存在になりたい"というBeingを定義したそうです。そしてエンジニアに転向し、後に訪れるインターネット時代に乗って一気に頭角を現したそうです。
Beingを発見する際には人に手伝ってもらうこともできるのですが、定義は必ず自分自身で行うことを心掛ける必要があるそうです。さもないと、他人の評価「あなたってこうだよね?」に振り回され、本当になりたい自分がぶれてしまう恐れが出てくるからだそうです。
Beingを決める際に、「やりたいこと」が見つからないときはどうする?という疑問を持たれる方も少なくないと思います。そういう「やりたいこと、ありたいこと」が見つからない場合は、興味のあることを片っ端からやってみる。もしくは映画、アニメなどの好きなキャラクターの性質を分解してみて、自分がそのキャラクターのどの要素に惹かれるのかを言語化していくと、自ずとありたい自分を少しずつ同様に言語化できるようになるのだそうです。まずはBeingの定義を実践してみてはいかがでしょうか?
優先順位は 個人で始める>出世 ~組織内でバトンが回ってくるのを待つ時代じゃない~
自分がやりたいこと、ありたい姿になる手段として、組織の中で出世し、自分の裁量を増やすことも考えられます。しかし著者はこの方法は時代遅れであると示唆しています。仮に会社の中でやりたい仕事があっても、その仕事を回してもらうまでには自分のやりたくない仕事、ありたい姿と異なる仕事をしっかり遂行し、業績を上げていなくてはならないからです。さらにこのような状況を整えていたとしても、Beingにマッチする仕事が回ってくる可能性は非常に低いと考えられるのです。なので、社内政治、根回しなどに時間をかけるのはもったいない。そうではなく自分がやりたいことを個人で始めることが大切だと本書では述べています。
また、仮に運よくBeingにマッチする仕事を与えられたとしても、組織、つまり会社はあっけなく潰れてしまうという事実をコロナショックで目の当たりにした方も多いと思います。それ以外にも技術革新などでも既存のビジネスが不要となる時代です。これからの時代においては組織に依存するよりも、Beingを重視した生き方の実践が求められると著者は言います。
それでもBeingが確立できない場合は? ~片っ端からなんでもやってみる~
Beingがなかなか見つからないとき、細かいことを考えずに"とりあえずやってみる"という感覚で新しいことをどんどん始めてみることを著者はおススメしています。最初は「大変なことを引き受けちゃったな」と思うかもしれませんが、結果的には自分のプラスになっているそうです。挑戦のたびに、新しい発見ができる上、"やりたいこと"、"やりたくないこと"がなんとなくわかってくるそうです。この感覚を軸にBeingを作ることができるようになるそうです。"バッターボックスに立たないとヒットは打てない"ということを心掛けると新しい挑戦ができるようになるそうなので、このような気持ちを持たれてはいかがでしょうか?
アウトプットが何より大切
アウトプットは、専門家しかできないのでしょうか?著者の答えはNOです。アウトプットを続けることで、その分野の知識を無意識のうちに吸収するようになっているというのです。つまり、自分がやりたいこと、学んでいることを、途中経過でもいいので発信していくことが非常に大切だと著者は述べています。教えることで、自分の勉強にもなり、さらに分からないことを"分からない"と発信することすら、新たな学びにつながるというのです。つまり、"分からない"と発信すると、その分野に詳しい人が教えてくれることがあり、そこからより深い学習と、コラボレーションのきっかけが生まれてくるとのことです。
日本には恥の文化があり、完璧じゃないと情報を発信できない風潮があります。痩せてからジムに行く、英語を話せるようになってから留学に行くといったように。でも、それはむしろ逆で、やせるためにジムに行き、英語を話せるようになるために留学するという順番のはずです。なんでも詳しくなってから情報発信しているのでは時間がかかりますよね?勉強していること、興味があることをどんどん発信してみてはいかがでしょうか?
第1章感想
第一章だけでも非常に読み応えのある、学びに満ちた内容だと思いました。コロナショックを受け、「今のままで本当に大丈夫なんだろうか?」「組織に依存しない生き方の実践をしてみたい」そう思われている方は、ぜひ本書を読んでいただければと思います。第2章以降の書評は、また後日配信していきます。お楽しみに。