2024年に読んだもの
初めての人は、初めまして。既に知っている人は、こんにちは。伊東と申します。
今回は2024年に読んだものということで、毎度おなじみ1年間の振り返り記事です。
本当はもう少し本の感想を書いたりして更新頻度を上げたかったんですけど、思いのほか忙しかったりモチベーションが上がらなかったりで年1更新に落ち着いてしまいました。
能書きはこれぐらいで、どうぞ。
振り返りの前に
今年は105冊読みました。
ラノベと一般で比率的に半々ぐらいです。
この中で印象に残った本を中心に抜粋していきます。
ネタバレは極力避けてます。(著者名は敬称略)
特に好きな本
君の話 (ハヤカワ文庫JA) 著:三秋縋
その恋は、出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた
存在しないはずの記憶を植え付けられた男の人生の話です。こう書くとなんかめっちゃホラーだな……。SFなんだけど。
どう心に残ったのか説明するには自分の言語化する能力が足りてないんですけど、虚構を愛したことのある人間ならばきっと、この物語が救いになり得るのではないかなと思います。
三秋縋、自分が大学生の時に流行りに流行っていたんですよね。この作品以外にもたくさん面白い作品があるんで、そちらも調べて読んでもらえたらなと思います。
地球最後のゾンビ -NIGHT WITH THE LIVING DEAD- (電撃文庫) 著:鳩見すた
少年とゾンビ少女の王道(?)ボーイミーツガール
表紙を見た瞬間、「あっ、これ好きなやつだ」ってなりました。フォロワーさんが2023年に読んでたんだったかな。そこはうろ覚え。
ゾンビ(終末)モノ兼ロードノベル兼ボーイミーツガールです。タイトルから想像できますね。できるか……?
割りかし淡々と進行するので暗い気持ちにはならないのが良いですね。
死生観的な部分が琴線に触れたので、期待以上に面白く感じた作品でした。
夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫) 著:町田そのこ
思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋――
『52ヘルツのクジラたち』で2021年に本屋大賞を受賞した町田そのこのデビュー作です。
短編集なんですけど、デビュー作とは思えないぐらい完成度が非常に高い。
特に好きなのは『波間に浮かぶイエロー』で、読んだら予想だにしないところから感情をぶん殴られた感動で思わず泣いてしまいました。自分、人の温かみが感じられる話に弱いんですよね。
女性ならではと思えるような視点も多く、純粋に読んでいて面白い話ばかりでした。
また、同著者の『コンビニ兄弟』シリーズも心が温かくなるのでオススメです。
砂漠 (実業之日本社文庫) 著:伊坂幸太郎
明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語
これは読書メーターにも感想書きました。(以下で一部抜粋)
珍しく伊坂作品で素直に面白いと思える小説だったなぁという感じ。伊坂作品、大体不快な要素がデカくて印象悪くなりがちなので。(『オーデュボンの祈り』とか『重力ピエロ』とか。よく出来てるとは思いますけどね。)
あとがきが特に秀逸で、まさに「モラトリアムの贅沢さと滑稽さ」を感じられる小説。各キャラクターは相変わらずの伊坂節でげんなりしてしまうやつもいるけど、それを含めていい味が出ていると思います。「学生時代を思い出して懐かしがるのはいいけど、あの頃に戻りたいと思ってはいけない」まさにその通りで、大学卒業後の数年間ずっとそんなことばかり考えていたあの頃の自分に読んでみろよと差し出したい作品でした。
隻眼の少女 (文春文庫) 著:麻耶雄嵩
第64回日本推理作家協会賞、第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞した絶品の超絶ミステリー
これを買ってきて写真をSNSにうpしたら普段ミステリを読んでるアピールをしない層の方(失礼な言い方ですみません)からも反応を頂けたので嬉しくなりました。
麻耶雄嵩作品だと『神様ゲーム』と『さよなら神様』はどっちも後味悪かった記憶があるけれど、これはそうでもなかったです。ノックスの十戒をギリギリ破るか破らないかみたいな攻め方してるので本格ミステリ好きには地雷かもですが……。
序盤中盤終盤ずっと面白いのですが個人的に好きなのは18年後を描いた第二部です。というか、そこからが謎解きの本番ですからね。
ノベルゲー的な媒体でも映えそうな、ちょっとしたキャラ萌えも感じられるいいミステリ小説でした。分厚いので読む方は根気を入れてどうぞ。
六人の嘘つきな大学生 (角川文庫) 著:浅倉秋成
最終選考の課題は「六人の中から一人の内定者を決める」こと
2022年本屋大賞ノミネート作品。映画化もしていますね。(未視聴)
俗な言い方をすれば就活ミステリー作品です。就活の嫌な思い出が蘇るので読みたくない人も多そうですね。
大抵の人(自分も含めてます)って、その人の一側面だけで物事を判断しがちなんですけど、この作品はその辺をちゃんと掘り下げてて、そういう意味では人間描写のいい小説で結構自分には刺さっちゃいましたね。ミステリではあるけれど、しっかりとした成長物語でもあるので、そういうのが好きな人にもオススメしたいです。
流行っているだけあって、エンタメとしても良く出来ている作品だなと思いました。
電気サーカス (アスキーメディアワークス) 著:唐辺葉介
新規の瀬戸口信者、ちょっと来い
週刊アスキーで連載していた小説をまとめたものらしいです。服役中のホリ○モンが毎週楽しみにしていたとかなんとか。
舞台はインターネットでテキストサイトが流行っていた頃。多分、今から大体25~30年ぐらい前。
これも読書メーターに感想書きました。(以下で抜粋)
唐辺葉介(瀬戸口廉也)氏の文章はやっぱり面白いです。ただいかんせん長い。一気に読むと、自分では俯瞰しているつもりが自然と主人公の視点に寄っていって気持ち悪くなる、そんな感じのダウナーで退廃的な一人称小説でした。
とはいえ、終盤に近付くにつれそれらの退廃的な視点も真人間寄りになっていくため、読み終わると妙な物哀しさと清々しさが得られる。これが氏の経験を元にした小説であるなら、氏の作品が好きな人には読んでおいてほしいなと思います。
みんなでこの誰にでもありえたかもしれない人生の追体験をしよう。
セピア×セパレート 復活停止 (電撃文庫) 著:夏海公司
全人類の記憶をロックした身代金テロの真相は
『なれる!SE』や『ガーリーエアフォース』で有名な夏海公司の単巻ラノベですね。今作はSFサスペンスとのこと。
自分のデータのバックアップがあって3Dプリンターで出力した肉体に転生(転生モノではない)できる世界で、そこで亡くなって復活したらテロ首謀者にされてた主人公がその謎に迫る、みたいな話。クソ雑な説明でごめん。
これね、正直めっちゃ面白かったです。僕が夏海公司の書く小説が好きってのもあるんですけど。もう既に設定から面白い。気になったなら是非買って読んで下さいね。ダイレクトマーケティング。アフィリエイトはないからブラウザはそのままに別タブで自分で調べてね。
ちなみに、一風変わったTS要素もあるよ!(ネタバレ)
明日の子供たち (幻冬舎文庫) 著:有川浩
児童養護施設を舞台にした職員と子供たちの物語
去年も1冊取り上げましたが、やっぱり自分は有川浩のお仕事小説が好きですね。今作もしっかりとした取材の下で書いているんだろうなと。リアリティに納得というか、共感・想像しやすい部分とその当事者たちの心情を巧みに表現していて物語としても違和感なく、腹落ちしやすい部分が多かったです。
あんまり話題にならないけれど、こういった社会問題(雑な表現で申し訳ない)を取り扱った小説って、読むことでもっとちゃんと生きようって前向きな気持ちになれたり、じゃあ自分でも少し調べてみようかなって思えたりするので世界が広がる感じがして好きなんですよね。いや本当に。ダシにしてるとか知識欲的な部分が刺激されてるだけなのではと言われたら否定は出来ませんけども。
こういった小説で改めて自分の世界が恵まれているとも実感できたりするので、自分にはたかが小説ってバカには出来ないです。
天才少女は重力場で踊る (新潮文庫NEX) 著:緒乃ワサビ
「わたしとあなたが恋をしないと、世界が終わる」
『白昼夢の青写真』で有名な……ってこれ何回も言ったし何回もネットで見ましたね。この謳い文句、便利すぎる。
一般向けの皮をかぶったタイムリープSFラブコメですかね。非常に読みやすくて面白くてキャラ萌えもあって非常に完成度の高い一冊。
正直、ブログの方でも取り上げたし、ノベルゲーム界隈の小説も読むタイプの人ならもう大体読んでると思うんで、改めてここで紹介する必要はないんですけど、備忘録も兼ねて残していますのであしからず。
ゲームシナリオライターの小説は結構チェックしてるんでまたここで取り上げる機会があるかもです。(実際上でも紹介してるし)
宮澤くんのとびっきり愚かな恋 (電撃文庫) 著:中西鼎
性に奔放な彼女と過ごす、青くてちょっぴり危険なラブストーリー。
奇才・中西鼎のラノベです。ガガガ文庫の『たかが従姉妹との恋』でハマって同作者の本少し読み漁りました。大体面白いです。
初恋相手が有名なビッチになってたけど、なんだかんだ付き合えるようになりました。どうする? みたいな話です。BSSもあるよ! あまりにも雑すぎる紹介。
というか、このラノベエロすぎです。マジで今時の中高生がこのラノベで異常性癖に目覚めたらどうすんねん。性癖破壊する気だろこの作者。
冗談は置いといて、このラノベ普通にセックスとかします。18禁じゃなくて大丈夫なんですか? と思いますけど、そういう話なんで描写削ったら台無しです。削らなかったことに感謝。ありがとう電撃文庫編集部、ありがとう中西鼎。お前も18禁ゲームシナリオライターにならないか?(願望押しつけ)
登場人物はナチュラルクズが多いですが、やっぱクズの恋愛模様(これ恋愛か?)は面白いです。個人的には表紙に載ってないヒロインに頑張ってもらいたい。お前が勝ってくれたらな……そしたら俺はもう満足だよ。(届かぬ願い)
今一番続きが楽しみなラノベの一つです。
終わりに
振り返り書くの面倒くさいなぁと思ってたんですけど、書いてるうちに楽しくなってしまいました。
実際にここで紹介した本を読んだ方がいらっしゃいましたら、私に感想などを教えていただけると嬉しく思います。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。ここまで読んでいただきありがとうございました。