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2023年に読んだもの

初めての人は、初めまして。既に知っている人も、noteの方では初めまして。伊東と申します。

普段は細々とノベルゲームや小説を嗜み……もとい消費しております。簡単に言えば、いっちょ前に文句だけつけてクリエイターをイライラさせている消費豚、ですね。

自分は他にも『はてなブログ』さんに自己満足の記事を残しているのですが、本に関してはこちらの『note』にまとめた方が管理が楽だろうなと思ったため、今回からこちらに記事を残すことにした所存です。まぁ本のことは読書メーターを見れば一目瞭然ではあるんですけどね。おおまかに脳内の整理も兼ねて残します。

能書きはこの辺で、タイトル通り以下に2023年に読んだものに関するまとめをしたためました。どうか最後までお付き合いください。


振り返りの前に

今年は大体250冊ぐらい読みました。
ラノベと一般(その他)で比率的に6:4ぐらいです。
この中で気に入ったものを以下でいくつか抜粋していきます。
ネタバレは極力避けています。(著者名は敬称略)

特に好きな本

武士道シックスティーン (文春文庫) 著:誉田哲也

今は新しい表紙のものが出ているが、旧版のこれが好き

まさに王道スポーツ小説。
警察小説の名手、誉田哲也の描く女子高生とは!? 同著者初読です。
映画があるらしいです。(アニメの方が映えそうだなぁと思ったのは内緒)
剣道
は数えるぐらいとはいえ試合を観たことがあり、その当時「本当に一瞬の攻防で、経験者でもなけりゃ何やってんのかほとんど分からないなぁ」と感じた記憶があります。ちなみに、自分は未経験側(中学で体育の授業で4~5回やっただけのレベル)です。
今作ではその「なにやってんのか」をリアルに描写し、言語化しています。
二人の女子高生が主人公であり、二人の視点で物語が進行するというノベルゲームを嗜む人間には馴染みのある形で、二人の成長と友情(これを友情の一言で片づけるのは違う気もするが)が描かれています。
これだけ聞くとお堅い小説なのかな? って感じられる方もいるかと思いますが、割とサラッと読めます。というのも、この小説の主人公達、めちゃくちゃキャラが立っています。
武蔵の信奉者で強さは力と考える 香織 
つかみどころのない性格でお気楽不動心な 早苗
この二人が中学時代の最後に神奈川で行われた小さな大会の試合で戦うところから、物語は始まります。
香織は全中2位の猛者で優勝して当たり前、かたや早苗は中学から日本舞踊の代わりに剣道を始めた変わり者、本来レベルの違いすぎる二人ですが、香織はあろうことか早苗の前に敗北します。
二人はその後中学を卒業し、同じ高校で再会しお互いに全国大会を目指して邁進していくのですが、これ以上ここで語るのは野暮ってものですね。かくいう私は、この二人の物語のその先が気になりすぎて、一気に読み切ってしまいました。
正直、この巻だけでも面白いんですけど、この小説は
武士道セブンティーン
武士道エイティーン』   ← ここでいったん完結
武士道ジェネレーション』 ← アフターストーリー
と続いて、全4冊完結となっております。
もし、この記事で興味をもっていただいて1巻を読んで気に入って下さったなら、全巻読んでいただきたいです。
個人的にはエイティーンが一番好きです。正直、感動で泣きました。
ジェネレーションでは主人公が二人とも大人になっており、女子高生ではないので注意が必要ですね。『武士道』に関する掘り下げと二人のその後が気になる人向けです。


空飛ぶ広報室 (幻冬舎文庫) 著:有川浩

文庫版には2011年の東日本大震災に関し特別編が収録されている

航空自衛隊広報のお仕事小説。
私は有川浩(有川ひろ)の書く小説って、基本的にめちゃくちゃ読みやすい一般向けのラブコメだと思ってます。
この作品に関してはドラマも話題になった超有名作なので、知らない方はお手数ですがあらすじをご自身で調べて下さい。
お仕事小説を読んだとき、学生の頃はなんとなく共感してた人が多いと思います。自分もそうでした。それでも楽しく読めていました。自分の中でエンタメの域を出てなかったんでしょうね。
ですが、社会人として数年働いた今、お仕事小説を読むと深い共感が得られるようになりました。まぁ作品によるといえばそうなのですが、学生の頃よりも楽しく感じる部分もあれば、社会に出てから分かる人の悪意って部分もあって(自分の職業のせいかも)、感情を動かされる率が高いなと感じるようになりました。
もっと真剣に仕事に向き合ってみようかなとか、知らなかったことを知る努力をしようだとか、特定の職業に敵対意識を持ってる人間と分かり合おうとしていただろうかとか、色々考えさせられました。
あとは単純にラブコメ以外のところを見ても面白いです。キャラが立ってるのは当然のこと、これリアリティとエンタメ性の両方を大事にして両立させた意欲作ですんで、興味がありましたら文庫版を是非。


Iの悲劇 (文春文庫) 著:米澤穂信

Iってなんだろうね……田舎?

そしてだれもいなくなった。
直木賞作家米澤穂信の描く日本のお役所ミステリです。田舎の地方公務員の闇が垣間見える作品で、あまりにもどうしようもない現実に乾いた笑いが出ます。
同著者の『氷菓』シリーズとはまた違った趣で、社会問題にも言及したリアル寄りのミステリなので、普段ラノベしか読まないよ……って人には少し重たいかもですが、特に都会生まれ都会育ちの人間は読んだ方がいいかもですね。「仕事辞めて田舎に住んでみたい~♡」みたいな舐めたこと言えなくなること請け合いですので。
最後まで読んで唸らされたので個人的には高く評価しています。


凍りのくじら (講談社文庫) 著:辻村深月

結構分厚くてビビります

思春期の自己の内面を言語化し尽くしたSF(少し、不思議)な物語。
かがみの孤城』で2018年の本屋大賞を受賞した辻村深月の小説。ドラえもん藤子・F不二夫先生へのリスペクトがとにかく半端ないです。
主人公である女子高生の成長と内面を丁寧に言語化したSF(サイエンスフィクションではない)小説です。マジな意味でSFではないです。SF読みたいならハヤカワ文庫JAから選びましょう。
なんかネタバレに引っ掛かりそうでろくな感想出てこないんですけど、序盤に関しては、達観しすぎて痛い女子高生のウジウジした内面とその元彼のクソみたいな話をひたすら読まされて発狂しそうになります。読みやすいのだけが救い。
中盤以降は内面の描写から主人公の人となりや家族関係などが繋がり始め、物語が進んでいくので着地地点がこの辺かな~みたいに推察できるんですけど、終盤はガチで驚きと感動で泣きました
これ、特にひねったギミックじゃないのに気づかなくてですね、情報の出し方が上手いのと情報から目を逸らさせるのが上手いのか、単純に自分が愚鈍なのか……多分両方ですね。
読み終わった後に序盤を読み直してみたら普通に気づきがあったりしました。作品への向き合い方に関して反省し、「こういう本もあるんだよ」と自分の心の本棚にスッと差し込んでおきました。


鴨川ホルモー (角川文庫) 著:万城目学

これは新表紙だけど旧表紙の方が好き

これラノベだろ! 京都が舞台の大学対抗謎サークル痛快バトル。
プリンセストヨトミ』で有名な万城目学のデビュー作。映画化・舞台化もしているらしい。(※追記 『八月の御所グラウンド』にて直木賞受賞)
何を隠そう自分も大学時代に京都に住んでいたので、これを読んだらめちゃくちゃ大学時代のことを思い出して、死んだ。(今は天国で記事をしたためている……嘘です)
自分の行ってた大学(この文章を見て察しはついているだろうが、もちろん関西最高学府ではない)が出てくるのでエモ~って感じです。感想ぐらいちゃんと言語化しろよ。
普通にスポ根のノリで読めます。ついでに学生時代サークルで他大学と交流したり、サークル仲間と年中「ガハハ!w」ってやってた人だと、さらに面白く感じられてお得です。本当かよ。
続編である『ホルモー六景』は短編集です。マジで大学通ってる時に読むべきだった作品です……。


いつか憧れたキャラクターは現在使われておりません。 (ガガガ文庫) 著:詠井晴佳

表紙とタイトルに惚れて買いました

その日、俺は「初めて」を見た。
ガガガ文庫から2023年発売の新人賞受賞作品。瑞々しい感性で描かれた青春ファンタジー小説です。主人公が19歳なので青春を脱する年齢に近いですが、青春の置き土産を回収する過程も、ある意味青春だよね……ってことで一つ。
思春期の頃の痛い自分と今の自分で、その中身——あなた自身のキャラクターは変わっているのか。人には設定こそなくともその人格を形成したバックボーンがあると思います。性格・呼称・役割・立ち回り、似たような人は探せばいるかもですが、どれも同じ人は二人といないはずです。
そういったキャラクターに関する考え方とその人と人との関係性・これからの自身の生き方を、物語の熱量とキャラクターの持つ強さで語るのがこの作品です。
新人ならではのギラギラしためちゃくちゃ重い想いがノってる、登場人物の人生を通して著者の伝えたいことを表現している小説だからこそ、私はどうしても惹かれてしまいました。
ラノベの定義から論じるのは不毛なのでやりませんが、私が一番好きなラノベレーベルはガガガ文庫です。こういうのが読めるからガガガ文庫の新人賞漁るの辞められねぇ。今年は
ドスケベ催眠術師の子 (ガガガ文庫) 著:桂嶋エイダ
っていう怪作も出てきてて、これもめちゃくちゃ面白かったです。去年だと
わたしはあなたの涙になりたい (ガガガ文庫) 著:四季大雅
がバケモンでした。


世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫) 著:杉井光

言わずと知れた2023年のベストセラーです

あなたの見る世界は『透きとおる』
さよならピアノソナタ』『神様のメモ帳』『楽園ノイズ』などで知られる杉井光の放つ渾身の一作。電子書籍化不可能かつネタバレ厳禁という大層な肩書を持つミステリ
流石にこんなの読まされたら舌を巻くね。ただただ本当に凄い作品。
マジで「買って読んでください」以外に言うことないです。


なめらかな世界とその敵 (ハヤカワ文庫JA) 著:伴名練

表紙に惹かれました

面白いSF短編が読みたいならこれ!
著者はここ数年で日本SF界で知らない者はいないぐらい有名になられた方だそうです。SFはとっつきにくいかな……って考えている方、ご安心を。私でも読み切れたぐらいなので、ここまでこの記事を読んで下さっている方なら全く問題ないでしょう。内容もガチで面白いです。
特に好きなのは『美亜羽に贈る拳銃』『ホーリーアイアンメイデン』『ひかりより速く、ゆるやかに』です。ジュブナイル的な部分が強く感じられる短編が多くて全体的に好きな話ばかりでした。
興味を持った方へ1つだけ軽く説明すると『ひかりより~』は、修学旅行帰りに乗り込んだ新幹線ごと低速化した世界に閉じ込められた学生たちを取り戻すために奮闘する人々の話です。
これだけ聞いたら逆に興味出ませんか? 買いましょう。


好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く (メディアワークス文庫) 著:瀬那和章

新表紙はフライ先生で旧表紙は川井マコト先生とどちらも甲乙つけがたい

恋はいつだって、私たちの心をさらっていく——。
発売10周年だそうです。神戸の街を舞台に、三姉妹それぞれの視点で描かれる等身大な恋物語です。
神戸の街は旅行で二度ほど行ったことがあるのですが、街並みはエモいし手の届く範囲になんでもあるし(主に書店やゲームショップのことを指している)、こういう街に住みたいな……なんて考えたこともあります。
等身大な恋物語ってありふれすぎてて退屈なんじゃない? って心配する方もいるかと思いますが、この作品は1つ1つの物語がしっかりオチており、さらに描写されなかった部分については視点を変えて補完されたりするので、全部読み切った後には読み始めのとき以上に物語に深みを感じます。
私が好きなのは表題作である『好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く』です。章の終盤まで「なんだよこのクソ女……」とか思っててすみませんでした。


シャインポスト ねぇ知ってた? 私を絶対アイドルにするための、ごく普通で当たり前な、とびっきりの魔法 (電撃文庫) 著:駱駝

表紙の娘は主人公ではないです

——さぁ、輝こう!
既巻は3巻。続きは1年以上音沙汰なし。ちなみにアニメは2022年夏に放送されています。(未視聴)
俺を好きなのはお前だけかよ』で有名な駱駝の描くアイドルモノ。分かりやすさを一つのテーマに掲げて書いたというだけあって、アイドルというものに馴染みがない人でも物語の全体像が捉えやすく、なおかつラノベとしてもキャラが立ってて読みやすいです。
主人公は相手の嘘が分かるという特殊能力を持った凄腕マネージャーで、弱小アイドルをトップアイドルである『絶対アイドル』にするという目標の下、個性溢れるメンバーの個々の問題を解決し、アイドルとしてもグループとしても成長させるという王道ストーリーになっています。
キャラの話やアイドル名・グループ名などはネタバレに繋がりかねないため、ここでは割愛させていただきます。気になった方は読んでみて下さい。特に私は2巻と3巻が好きです。
なお、アニメはライブ感が大事なのに宣伝が中途半端かつ、リアタイ環境が限られているという不利を受けたため、とても完成度の高いアニメだったにもかかわらず、当時は全くと言っていいほど話題になってなかったそうです。ですが、軽く調べた限り評判はめちゃくちゃいいです。
アニメは観てないですが、私の好きな曲は
ワンダー・スターター
TOKYO WATASHI COLLECTION
の2曲です。こちらも気になった方聞いてみて下さい。特に後者はアニソンっぽさ抑えめなポップアイドルソングでお気に入りです。


どうせ、この夏は終わる (電撃文庫) 著:野宮有

表紙とタイトルに惹かれて購入

人類最後の夏——それでもぼくらは恋をする。
長崎を舞台に描かれる、切実なきらめきを秘めたひと夏の物語
俗に言う終末モノです。ここ最近多いライト文芸に近い感じであんまりラノベっぽくないですね。(ラノベっぽいってなんだよ)
この中で好きな話は第2話の『初恋は意外と死なない』ですね。クソゲーに一生懸命になる人間の話に惹かれがち。(余談ですが『走馬灯のセトリは考えておいて (ハヤカワ文庫JA) 著:柴田勝家』の『姫日記』とかも狂おしいほど好きです)
終末モノってわりと使い古されてるイメージなんですけど、この作品はしっかりと長崎っていう街を舞台にしてて、その街に生きる人々の群像劇としてサラッとその後を匂わせるぐらいのところで落としてるので、しつこくなく希望を感じる物語になっています。こうすることで悲壮感は薄めなまま、かけがえのない日常をちゃんと感じられるようになっていて、そこがエモい。ノベルゲームやってるときの気分に似てて印象に残りました。


終わりに

初めて振り返りを詳しく書いてみて楽しかったんですけど、思った以上に時間がかかってしまったので、今後もやるかどうかはその時のモチベーションと相談ですね。

実際にここで紹介した本を読んだ方がいらっしゃいましたら、私に感想などを教えていただけると嬉しく思います。

それではまた次回の記事でお会いしましょう。ここまで読んでいただきありがとうございました。


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