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歩行速度と寿命の関係
歩行能力は寿命と関連があり、歩行速度や歩幅が優れている人の方が寿命は長いとされています。
今回は歩行能力と寿命の関連性、高齢者の歩行能力の維持・改善や体力向上のためのトレーニングについて紹介したいと思います。
加齢による歩行能力の低下と寿命
歩行能力の低下や歩行頻度および歩行距離の減少は身体活動の減少や体調不良を表すとされています。加齢による歩行能力の低下は顕著であり、20歳時の歩行能力を 100%とすると、80 歳時における能力は40~60%低下するという報告もあります。
寿命に加え、筋力低下に起因する歩行能力の低下は転倒リスクが高まることに繋がるとされていますので、健康に過ごすために歩行速度を維持・改善することは非常に大切であると言えます。
高齢者における歩行能力改善のためのトレーニング
健常な高齢者では下半身のパワートレーニングを行なった結果として歩行時の歩幅が増加し、立った状態の股関節や膝関節がしっかり伸びきり、足関節を動かす力の変化が歩行速度を改善するなど、歩き方の変化が現れます。
特に速筋線維と言われるタイプⅡ筋線維が減少しやすいと言われているため、速度を上げて行うパワー系のトレーニングは非常に重要です。
特に上記の歩行能力の改善には、下肢伸展動作を用いるスクワット、歩行時の片脚支持の際に働く大殿筋を使い、片脚支持でのバランス能力を養うことのできる、ランジエクササイズは効果的です。
トレーニング行う際の注意事項
実際に高齢者がトレーニングを行う際に最も重要なことは、体力特性や状態を把握し、より安全かつケガを生じないように行なうことです。
速度を上げたパワートレーニングを最初から実施すると動作が安定しない場合も予想されるため、まずは低~中強度でフォームの安定やトレーニングに慣れることを目指します。
例えばスクワットでは、まずは椅子から立ち上がるようにして動作を行うことで、転倒の可能性が低くなります。フォームが安定してきたら、パワー発揮を意識して速度を上げたり、身の回りの物を使って負荷をかけたりすることもできます。
加えて、ランジのような片脚支持のエクササイズでは、よりバランス能力が求められるため、実施の難易度が上がります。
そのため、まずは手すりなどにつかまり、安定させた状態からランジ動作を行い、フォームが安定するにつれて徐々に支えを減少させ、可能な範囲でパワーを意識して、速度を上げていくということも効果的な流れです。
是非安全に配慮いただき、可能な範囲で歩行能力の改善にアプローチできるようなパワートレーニングも実施していただき、さらに歩行能力に限らず総合的な体力向上のためのトレーニングも実施していただければと思います。
フォームや負荷の程度がわからない場合は、絶対に無理をせず運動指導できる方に見て頂くことを推奨致します。
動ける身体を維持して毎日を楽しく過ごしましょう♪