転居のタイミング・転居先探し・われらが未来
「最近、親が心配」に加えて「転居どうしたらいい?」と聞かれることも増えてきたので、これまた語り部のように同じ話を繰り返しているためnoteにしたためておくことにしました。長文ですが、ご参考になれば!
「転居するなら早いうち」
…というのは、初代ケアマネさんの指南。My母は認知症であったので、新しい暮らしに早く慣れた方がよいこと、人間関係ができると働いているスタッフも愛情を持ちやすいから、といいうことでした。ものすごく説得力があり、納得したものの、my母はまったく転居する気などなく、そのまま3年過ぎました。
認知症の症状が進んだことよりも、転倒が増えたことが、家族も腰を上げたきっかけに。そして、昨年移転をし、現在本人は「もっと早く移転すればよかった」と言うほど快適に過ごしています。おいおい、、、と拍子抜けしましたが、ここに行き着くまで、子は相当努力しなくてはなりませんでした。いわば“転居マネジメント”です!
必須条件を挙げてみる
転居の条件は、以下の3つの組み合わせで決まりました。
予算 ×
本人の暮らしやすさ(体調・性格)×
家族の訪問しやすさ
【予算】
まずは月々に支払える予算を決めました。年金、貯金、子の負担の可否、、、
長生きしてね、というあたたかい眼差しから、いったいいつまで?というかなしい苛立ちに豹変するのを避けるため、この冷静さは必須です。うちの場合はmy母がお金の管理がずさんのため既に父他界から私がお金の管理をしていたので、資金の全体像が見えやすかったのは楽でした。My母からの「お金のことは、やっち達に任せるから」という信頼発言も助かりました。
【本人の暮らしやすさ】
本人にはっきり自覚があればいいですが、自覚していれば「転居しない」などとは言わないもので、、、ここは転居マネジメントをする者が判断をしなくてはいけません。本人の体調(病状)や性格に合うかというのは転居先の肝です。
My母の場合ははっきりと一つのネックがありました。
それは、”人と一緒に風呂を入りたくない”というもの。
若い時からそうなので、高齢者施設になって集団で風呂に入るというのはハードルが高過ぎました。また、極度に男性を怖がることがあるので、風呂のつきそいに男性の介護士がいる、というのも可能であれば避けたい。
また、認知症が進んでいるので、自分の歴史とまるで関係のない土地に住むというのは陸の孤島に置き去りにされた感が高まると考えました。My母は一緒に近所にドライブに行くと、「お父さん(my父)がここに連れて行ってくれた」「友達とここを散歩した」などと思い出話をしていたので、記憶スイッチのある土地を離れない方がよいと判断しました。
【家族の訪問しやすさ】
これは優先順位としては低いかもしれませんが、会いに行くのが楽になれば必然的に家族の負担も減るメリットがあります。
これらの条件を定めておくと、施設選びがスムーズです。
my母の場合は心理的ストレスが激昂につながり、それが認知症の進行を促進する可能性があるので「本人の快適」を判断の軸にし、認知症の受け入れがあり、その中で費用に収まる、my母の住居の近くの施設、という優先順で決めました。
候補を絞り込み、かならず見学に行く
高齢者の住まいには、たくさんの種類があります。今はシニア向け分譲マンションもありますが、基本は要介護で検討する施設がほとんど。介護度によって種類が異なるので、まずは「高齢者住宅の種類」を知ることからスタートです。”高齢者向け住まいの概要”で検索すると、厚生労働省などがまとめた一覧が出てきます。
そのほか、地域包括センターや自治体の施設にある「介護保険」のサービス内容や事業所が紹介されているパンフレットを入手するのがおすすめです。
次は介護施設検索サイトの利用。“みんなの介護” “LIFULL介護”などたくさんあります。注意が必要なのはそれぞれ対象地域の全施設を網羅しているわけではありません。またGoogle Mapで「高齢者施設」と検索してもピンで出てこない施設もありました。
自分の例では、いろいろな種類の施設形態を理解した上で、まずは「特別養護老人ホーム」にしようと決めました。
その後複数の介護施設検索サイトで「特別養護老人ホーム」と地域検索して選び、一気にパンフレットを送ってもらいました。その施設のこだわりや費用などを確認して比較一覧をつくり、見学する候補を3カ所に絞り込みました。
これも初代ケアマネさんの助言ですが、「施設長さんとは必ず会って、どんな方、どんな方針か、気が合うか確認した方がいいですよ」とのこと。やはり日々の方針や気配りにその施設長さんのカラーが出るからとのことです。納得です。
見学に行って、個浴が可能か、どんな雰囲気かなど確認しました。そこでわかったことは、特別養護老人ホームではほぼ個浴は対応が難しいことがわかりました。さらに、このコロナ禍で家族の面会も限られていました。風呂は集団、家族とも会えない、となったらmy母が絶望だ!と言い出すことは容易に想像がつきました。
そこで方針を変更して「サービス付き高齢者住宅」を探すことに。これまた「サービス付き高齢者住宅」は、その経営スタイルによって、提供するサービスが異なります。なので、本当にひとつひとつ確かめないとなんとも判断ができません。デイサービスが併設していたり、オプションサービスがついていたり、認知症は受け入れ不可だったり。本当に多様で、ありがたい反面、吟味にさらに時間がかかりました。
結局、my母の転居先には、以下のような条件のサ高住が奇跡的に見つかりました。
・認知症受け入れOK
・個浴OK
・女性の従業員が多い
・家族の宿泊OK
・実家からも駅からも近い
・一応予算内
このような奇跡の条件を満たす施設は1カ所しかありませんでした。というわけで、my母にはこの施設でほぼ契約を進めた段階で移転の話をして、見学に連れて行きなんとなく納得してもらい、不安な期間を1週間ほどとできるだけ短くして、即引越しました。引越しはまるで夜逃げか!?というドタバタ劇だったのですが、またの機会にしたためます。
誰にとっても幸せな未来
結果、my母の転居はうまく行ましたが、ふと、こんな風に転居マネジメントしてくれる娘がいてよかったねえ、、とmy母が羨ましくなりました。自分が高齢になったときには、こんな役を引き受けてくれる人はいないわけで。
自宅でずっと暮らしていきたいですが、認知症&足腰が悪くなって、かつ体は元気、といいう場合、粘らずに施設暮らしにしないとな、と思います。my母の今の暮らしを見ていると安定して幸せそうです。自分が高齢になったときの問題は、資金が続くか、ということと、ケアマネとやりとりできる自分でいられるかどうか?
将来的に、介護にかかる費用が全体的に減ったり、個人が信頼できる“老いコンシェルジュ”のような存在が当たり前にいたりすると、誰にとっても老いた未来が安泰だなあと夢想します。
お金さえあれば幸せな老後、ではなく、誰にとっても幸せな老後、という方がいいじゃないですか。
制度やサービスの改善、技術革新も大事ですし、老いる側も人任せにしない心構えや、老いがまだ先であっても人の一生の在り方として関心をもつことが大事だなと思っています。
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