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なぜ、10万年にわたって自分の子どもたちがリスクにさらされなければいけないのか

2020年8月に、大きな事件が起こりました。北海道寿都町の片岡春雄町長が高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致のための文献調査に手を挙げると発表したのです。いわゆる「核ゴミ問題」ですね。

これ、全国的にはマイナーなニュースなのですが、僕にとっては大事件なのです。なぜなら、僕は今この寿都町の隣、島牧村に住んでいるからです。

もっと言えば、僕の故郷は福島県南相馬市、いわゆる30km圏内に実家があります。ストーカーから逃げるために引っ越したのに、引越し先でもストーカーに遭ってしまったという感じ。この問題について僕が中心にしていきたいのは「どのような未来を望むのか」という点。

なぜなら、核ゴミは地中に埋めても安全な物質になるまでには10万年かかるので、子どもや孫、さらにそのずーっと先まで引き継がなくてはいけない課題だからです。


生まれた時からそこあったのに意識していなかった原子力発電所

僕が生まれた福島県南相馬市(当時は原町市)から車で40分ほど行くと福島第一原子力発電所があります。通称「フクイチ」「F1」などと呼ばれているのですが、僕が生まれるずっと前から双葉町と富岡町にありました。

双葉町も富岡町も部活の大会などで何度も足を運んでいたのですが、原発について別段意識することはありませんでした。南相馬市にも、その北の新地町にも火力発電所が建っており、山にはダムもあるため、同じ「発電所」というくくりでしか考えていませんでした。

「Jビレッジには日本代表も来るんだってさ」とか
「双葉町の施設はキレイでいいな」とか

そんな程度しか思っていなかったのです。親も学校の先生も、地域の大人も、誰も何も原発については教えてくれることはありませんでした。そう、あの日あの爆発が起こるまでは。


311で初めて知った核の問題

爆発が起こった直後は

「故郷がなくなる!」
「あの時遊んだあの公園も、あのお店ももう行くことはできないんだ」

と絶望的な気持ちになりました。と同時に自分の無知に気付かされたのもこの時でした。

実家の近くに原子力発電所が建っていたのに、原発のこと何も知らなかった、と。ニュースではシーベルトだのベクレルだの言っていましたが、当時がその数字が高いのか低いのか、人体にどのような影響があるのかさえ全く知りませんでした。

当然、地元の高校はおろか、大学でさえ教えてもらったことはありません。もう少し地元でも教えてくれてもよかったのでは?と思ったのですが、311以前は「核は絶対安全」という神話があったので、誰も興味すらなかったのでしょう。僕もそういう1人でした。

わからないことだらけだったので、原爆投下につながった核開発や戦後どのようにして原子力が日本に入ってきたのか歴史から勉強をはじめました。中性子やら放射線やら半減期やら、化学方面の資料を読むのには専門的すぎて少々つらかったけど。

でもおかげで、日本にどのくらい原発があるのか、世界はどうなのか、中間貯蔵施設とは何か、など深い深い問題が残っていることがわかりました。


子どもたちにどのようにバトンを渡すか

原発はよく「トイレのないマンション」だと言われます。まさしくそのとおりで、核廃棄物処理方法を確定していないのに、とりあえず原発を建ててしまって運転を始めたのが日本政府でした。

原発を輸入した当初は、そもそもエネルギー資源がないことで敗戦国になった反省もあり、中東戦争も勃発していたりと再生可能エネルギーについての緊急性が高かったという背景がありました。緊急時で急いでいたために、トイレを後回しにして建設を進めてきたということは百歩譲って理解できますが、流石に後回しにしすぎでしょ。そして後回しにして54基は建てすぎでしょ。

そして本題の高レベル放射性廃棄物ですが、冒頭にも述べたように安全な物質になるまでには10万年かかります。原発を導入したのは僕らの世代ではないし、自分たちに直接的な責任はないとは言え、作られてしまっている以上処分方法について目をつぶったままではいられないわけです。

上の世代から押し付けられた核ゴミ問題をまた下の世代に先送りして良いものでしょうか。完全なる解決はできなかったとしても、少しでも道ならしをしてからバトンを渡したいと、親の1人として思うのです。


子どもたちも核ゴミ問題に参加を

「子どもの権利条約」にもあるように、子どもたちは生まれながらにして人権を持っています。生まれながらに意思表示はしますし、成長するにつれてより細かな表現が可能になります。

僕も勉強したのでわかります。核の本質も超難しいですが、核エネルギーにまつわる問題についても複雑だし難しい。正直、僕もちょっと深い話になるとちんぷんかんぷんです。だからって、頭のいい人たちだけで決めていいの?って思いませんか?

最終処分場を作る場所の周辺に住んでいる人がみんな核問題を理解できる頭の良い人ってわけじゃないんです。そして、何も知らない、知らされていない子どもたちがその後を引き継いでいかなくちゃいけない。10万年後の人類を今の協議に参加させることはどだい無理な話ですが、今、生を受けてその地に住んでいる子どもたちは当事者になるのですから、話し合いに参加する権利があります。必要だと考えている人たちはむしろ子どもたちにも理解できる話をして説得を試みてほしい。

「興味がないから勝手に作られても仕方ない」じゃない!

作る側には興味がない人にも興味関心を持たせる責務があるし、納得いく説明をする義務がある。子どもたちが理解するレベルまで落とし込んで話してくれたなら、住民全てに届くはずです。

もちろん、僕らも子どもたちと手を携えていく方法を模索していく必要があります。
そして、いつまでも考え続けていきたいし、子どもたちにも考え続けていくことを伝えたい。

なぜ、
10万年にわたって自分の子どもたちがリスクにさらされなければいけないのか、
を。

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コウスケ@7色のキャリア
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