10年経って改めて考える、復興は終わったのか
「復興って何?」
2012年、福島県内で復興支援のNPO法人を経営していた頃に湧き上がった疑問です。面白いことに僕だけでなく、他のプレイヤーも同時多発的にシンクロニシティしているかのように同じ疑問にぶち当たっていました。
「福島に住めるようにすることが復興だ」とある人は言います。一方で、「避難して暮らせるようになることが復興だ」と言う人もいます。2人とも間違っていないのに、意見をかわすとケンカになる。僕が所属していた団体内でもありました。そこで復興って何?となるわけです。
当時、僕らが出した答えは「心の復興」でした。人それぞれ復興の定義は違う。福島に住めるようにすることも、避難することも復興。復興の定義は自分で決めたらいい。
僕の定義した復興は「ある女性が幸せになること」でした。それが福島の復興につながると本気で考えていました。その人と結婚をして北海道に移住し、子どもも2人生まれました。仕事よりも家庭に全力を注ぎ込みました。経済的にはかなり苦しいこともありましたが、それが必要な時期だったのだと思います。
僕の心の復興はテーマがテーマだっただけに、一生かかるものだと思い込んでいました。それはまるで自分で自分にかけた呪いのようなものでした。
結婚から6年経った2019年、彼女に「私はもう十分幸せになった。あなたはあなたの人生を生きて」と言われ、僕は人生の目標を見失いました。しかし、よく考えてみれば自分の復興に区切りがついたということです。僕は解き放たれたのです。僕は少しだけわがままになりました。
福島のことは僕の人生において欠かすことのできないストーリーです。これまで、家族の幸せだけを考えていたのですが、自分の経験を生かしてもっと社会に貢献したいと思うようになりました。次の世代にどのような社会を繋いでいきたいのか考えるようになりました。
そして今、国会議員の秘書となり生きやすい社会を作るために前に進んでいます。