平成の神ライヴ5選+1|宇多田ヒカル・電気グルーヴ・X JAPAN・MAD・Bjork+JAZZ非常階段
こんにちは、こんばんは。note5周年おめでとう。
「#平成をかざるプレイリスト」というお題目を期に、過去に行ったライヴの数々を思い出してみた。その中でいくつか、今でも鮮明に覚えているものがある。ライヴでしか味わえない心が震える体験。生きる活力を貰える体験。興奮して眠れなくなる体験。
「いつまでもあると思うな親とバンド」
思い起こせば、好きなバンドの解散に何度も涙し、あのときなんでライヴに行かなかったのだ!と後悔の日々。ただそんな僕でも運良く、いくつも素晴らしいライヴに居合わせることができた。このライヴを観たから、あの場にいたから今がある、と言えるような。
心の中に大事に閉まっていたあの日の思い出を紹介させてほしい。
電気グルーヴ
@FUJI ROCK FESTIVAL '06
平成18年7月29日
要領が悪く、苗場行きの深夜バスに搭乗する直前まで仕事の電話をしていた。到着した当日は不安定な天候で、雨も降っていて本当に寒かったことを覚えている。電気グルーヴはトリ前で、そのときにはもう宿に戻ろうとかと思うほど体力の限界だった。ただ、フジロックは昼と夜で顔が全く変わって、夜になると非現実的な世界に覆われて、気分が高揚してくる。
空も真っ暗になったときに、いよいよメインのグリーンステージに登場した電気グルーヴ。最初の数分間、聴き慣れないBGMで何の曲が始まるのかやきもきしていたのだが、そこに「N.O.」の歌詞が乗ってきてそのまま曲が始まると、会場は良い意味で期待を裏切られて大盛り上がり。僕も寒さも疲れも忘れて、踊り狂った。
最近残念なことがあったピエール瀧だが、当日はステージングが冴えまくっていました。石野卓球とピエール瀧の二人が本当に楽しそうにしていたのが、会場に伝播したんだと思う。この日、電気グルーヴの後のレッドホットチリペッパーズも最高にかっこよく、相乗効果で忘れられない日となった。一部ではレッチリを完全に食ったとも言われているが、僕は両方とも心の中に焼き付いている。
セットリストは今観ても鼻血モノ。名曲・迷曲のオンパレード。
N.O.
Shangri-La
VOLCANIC DRUMBEATS
かっこいいジャンパー
スマイルレス スマイル
新幹線
あすなろサンシャイン
レアクティオーン
富士山
虹
あんなに疲れていたのに電気グルーヴ、レッチリと終わった後に興奮冷めやらず、キャンプファイヤーの横でまだ踊っていた。お陰で翌日寝坊した。
フジロックの常連であった電気グルーヴ。早期復活、そして再びフジロックで見れる日を楽しみにしている。
Bjork
@FUJI ROCK FESTIVAL '03
平成15年7月26日
続けてフジロック。Bjorkのフェアリーで完成された世界観と、フジロックの相性は良すぎる。Bjorkは日本武道館でも観たことがあるが、正直ぜんぜん違う。
当時にしてかなり完成度の高い映像と同期したパフォーマンス。闇夜に浮かび上がる幻想的なステージ。今でもあの青い妖精のようなBjorkの印象が心に深く刺さっている。とにかく美しかった。
そのままフジロックの夜の闇に、本当に消えて無くなりそうな透明な存在感を放っていた。いくら天下のフジロックとは言え、ここまでファンタジックな体験はなかなか無い。
THE MAD CAPSULE MARKETS
@渋谷クラブクアトロ
平成13年6月30日
1997年(平成9年)の第一回フジロックに登場し、その後夏フェスの代名詞ともなったモンスターバンド、MAD。フジロックもさることながら、思い出深いのは当時8年ぶりの東名阪ツアー。いつも彼らが演るハコのキャパの半分ほどしかない会場でのプレミアライヴであった。
このライヴはアルバムのリリースの直前の、彼らにしては珍しいタイミングだった。日本のミクスチャーロックの礎を築いたバンドではあるが、ある意味この日のライヴをもって、彼らは次のステージに行くと宣言をされたような、そんな印象を持つライヴだった。
彼らのスケールからすると小さなハコで、レーザービームが四方八方飛び交う近未来的な演出と、それとシンクロする大迫力の演奏が会場のキッズの五感を刺激しまくった。特別感のあるライヴだったこともあり、未だにこの日に買ったツアーTシャツを着ている。
当日のセットリスト。
INTRODUCTION 010
TRIBE
CHAOS STEP
GAGA LIFE.
SYSTEMATIC.
MULTIPLIES
GOOD GIRL
OUT/DEFINITION
JAM!
RESTART!
NO FOOD, DRINK, OR SMOKING
ISLAND
SUNNY BEACH
MIDI SURF
-ENCORE-
PULSE
神歌
MADがいなければ、今現存しないバンドはたくさんあると思う。ミュージシャン・オブ・ミュージシャンズとも言える、挑戦的な姿勢がかっこいいグローバル・スタンダードなバンドだった。
死ぬまでにもう一回観たい。フジロックか、クラブクアトロで。
X JAPAN
@Summer Sonic 2011
平成23年8月14日
X JAPANのライヴは何回か観ているが、この日の演奏が特別に印象に残っている。フェスということもありX Japanを初見の人も多かったと思うが、あの会場の一体感から実感するに、多くの新たなファンを獲得するきっかけにもなったのではないだろうか。
X JAPANは、単なる紅白でお馴染みのお茶の間バンドではない。楽曲、パフォーマンスともに超圧倒的。特に、というかやはり「紅」が凄まじかった。YOSHIKIのドラミングがいつも以上に神がかっていた。フェスの魔力が発動する時間帯の出演でもなかったにも関わらず、全部持っていくような、中発的で攻撃的なライヴだった。
震災の年でもあり、YOSHIKIの被災地にかける思いも重なっていたように思う。
当日のセットリスト。短いながらもX JAPANの集大成とも言える選曲。
JADE
Rusty Nail
紅
ENDLESS RAIN
Born to be free
I.V.
X
宇多田ヒカル
Laughter in the Dark
@幕張メッセ国際展示場
平成30年12月8日
この宇多田ヒカルの12年ぶりのツアー、本当に本当に一生モノの神ライヴであった。選曲、パフォーマンス、途中の小ネタ、ファンへの心遣い、全てが超一流。
同世代ということもあり、宇多田ヒカルの音楽と、数々の思い出はいつもリンクする。一時期の活動休止は寂しく、その間にぽっと出た「桜流し」は何回も聴いた。それこそ昔で言う擦り切れるほど。
自分と重ねるのは烏滸がましいが、20年前に初めて「Automatic」のMVを観たあの日から今日までがフラッシュバックするような、それこそ人生を駆け抜けるような、密度の濃いパフォーマンスで、胸がいっぱいになった。
入場は顔認証があり、ステージのVJも圧巻であった。常に最新テクノロジーと同期し、自身を、楽曲をアップデートし続ける彼女の姿勢は素晴らしい。
あなた
道
traveling
COLORS
Prisoner Of Love
kiss & cry (can you keep a secret)
SAKURAドロップス
光
ともだち
too proud
誓い
真夏の通り雨
花束を君に
forevermore
First Love
初恋
play a love song
-ENCORE-
俺の彼女
Automatic
Goodbye Happiness
~地下音楽編~
Jazz非常階段
@新宿PIT INN
平成24年4月9日
1970年代から活動を続ける日本のノイズ音楽の至宝「非常階段」と日本屈指のジャズサックス奏者「坂田明」、そして過去にも非常階段と競演のあるジャズドラマー「豊住芳三郎」のコラボレーションで、フリージャズとノイズの邂逅という、実験色の強いライヴ。
結論から言うと、これもまたとても素晴らしく刺激的な内容だった。座席のある会場だったが、最後はスタンディングオベーション状態で、ハードコアのライヴに近い熱気と歓声の内に終了したことを鮮明に覚えている。
特に還暦を超えた坂田明氏、豊住氏の気迫は忘れられない。重戦車の突進のようなスネアとタムの連打が、観客の興奮を煽り、静かだった会場を一気に導火した。中央で目をつむり一心にSAXを吹き続ける坂田氏は、途中SAXをマイクに持ち替え、絶叫する一幕も。父よりも年齢が上の方々の一心不乱な演奏スタイルに、私も思わず立ち上がって両手を振り上げた。なんと挑戦的、なんとエネルギッシュ!
挑戦に年齢は関係ないと気持ちを新たにさせられた。「非常階段」はその後初音ミクや、アイドルグループとのコラボレーションなど、超異色な挑戦を続けている。
アンダーグラウンド音楽と言えば、こちらの記事のGAUZEも見逃せない。非常階段もGAUZEも、昭和~平成そして令和と活動を続ける、エネルギーの塊のような日本音楽の宝。
余談ではあるが、GAUZEを知ったきっかけは、ランキングで有名な「オリコン」であった。今は廃刊になってしまったが、当時オリコンの週刊誌があった。メジャー誌にも関わらず挑戦的な雑誌で、当時デビュー間もない広末涼子が表紙のときもあれば、そのすぐあとにまだ無名に近いHi-STANDARDが表紙になったりと、振れ幅の大きい雑誌であった。その誌面の中に、いわゆるオリコンのランキングに加えて、自主制作盤のランキングがあった。1997年(平成9年)、GAUZEの「面を洗って出直して来い」がリリースされた直後で、誌面の中で恐る恐る触れられていて、「彼らの音楽を聴くと背筋が伸びる」と書いてあり、これほどまでに敬意を表されるバンドはなんだろう、と思春期の少年は不思議に思ったのだった。
オリコンのお陰で、テレビに出ていないかっこいいアーティストをたくさん知ることができた。今、こういう魔界への道を切り開いてくれる、気概のある雑誌やメディアはあるのだろうか。
どんなに心が擦れていても、ライヴに行くと潤う。
コンピュータが中心の世界にあっても、人のチカラを実感する瞬間だ。
有名・無名に関わらず素晴らしいライヴはきっと山程ある。
そんなライヴにまた出会えると考えるだけでワクワクする。
平成はどんな時代だっただろうか。
太平洋戦争があり、高度成長期があり、バブルがあり、激動だった昭和。
バブル崩壊の足音と共に始まった平成は、常に昭和の「あの頃は良かった」に取り憑かれていたような気がする。
僕も失われた10年と言われた時代に青春を過ごし、就職氷河期を経験した身であるから、映画「私をスキーに連れてって」なんかを見るとまるで異世界で、こんな時代を少しでも経験してみたかったと思うこともある。
しかしそれが羨ましいかというと、そうでもない。
なぜならこんなかっこいい音楽にたくさん出会えて、リアルタイムで見れたことが自負だからだ。
音楽と、心を揺さぶるライヴのお陰で心に水を与えてもらっている。
「いつまでもあると思うな親とバンド」
肝に銘じて今年のライヴの予定を立てる。
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