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【感想】すずめの戸締まりはいいぞ
こんばんは、たすけ亭です。
昨日、友達とすずめの戸締まりを観ました。
僕は新海誠作品は一応全て視聴済み(内容はあんまり憶えてないけど)ですし、天気の子の背景画集を買うほど好きではあります。
今回はそんな僕の好きな監督の新作を観た感想を書いていきます。
文章を書くのは得意ではないので、過度なご期待はせずに読んでいただけると幸いです。
①本作のテーマは一体なんだったのか?
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まずは本作のテーマについて考えてみようと思います。
結論から言いますと、本作のテーマは人との繋がりだと僕は感じました。
そう感じた理由は以下の二つです。
①-1 すずめが過去の自分に伝えたかったこと
本作の物語の構造としては、主人公が様々な出会いと別れを繰り返しながら旅をする、いわゆる「ロードムービー」というものになります。
その旅の中で、すずめは自分がずっと抱えていた問題と向き合うための糧を得ていきます。
「抱えていた問題」というのは「亡くなった母への未練」です。
(あれ、パパは...?)
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すずめは亡くなった母への未練を捨てきれないまま成長していきました。
映画の冒頭で幼い頃のすずめが、綺麗な夜空の下で母を探し求めていたのが印象的でした。
あのシーンは、すずめにとって母が一番重要な人物であることを示していると思います。
母が亡くなったのはすずめがまだ4歳の頃だったはずです。
4歳というと、まだ親以外の人との関わりが少ない頃であり、母親だけが世界の全てだと思っている時期でもあります。
そんな中、いきなり母親がいなくなったのですから、現実を受け入れられないのは当然でしょう。
すずめちゃんにとっては世界の全てだと思っていたものが無くなったわけですから。
すずめちゃんはいなくなった母を探し求めて常世に迷い込んでしまいます。
ですが母には会えず、現世に戻り、常世への扉を閉ざし、叔母と共に暮らすことになっていきます。
ここでの「常世への扉を閉ざす」ことは、「母への未練を断ち切れぬまま、心の奥深くに閉じ込めておくこと」だと僕は解釈しました。
そして12年経って、旅をして様々な出会いをして大人になったすずめは、再びその扉を開きます。
つまり、自分の心の奥底に閉じ込めていた母への未練との対峙をしようとしたのです。
常世には幼い頃の自分がいました。
その自分を抱きしめながらすずめは語りました。
正確なセリフまでは憶えていませんが、すずめは、これからたくさんの人と出会い、いろんなことを経験する、といった旨を幼い頃の自分に語りかけました。
そこには、自分が宮崎の家を出て、岩手の実家があった場所に来るまでの様々な出会いと別れの経験が根拠となっています。
すずめは過去の自分に「人との繋がり」がこれからも自分の未来で待っていることを伝えることで、すずめは心の奥底に閉じ込めていた母への未練を断ち切ることができたのです。
まさに「すずめの戸締まり」ですね。
このシーンでは、思わず僕はうるっとなってしまいました。
僕自身も、この歳になって「人との繋がり」の重要性に気づき始めていました。
僕にとって、タイムリーなテーマの映画になりました。
①-2 「扉」が示すもの
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本作では「扉」がキーワードとして、至る所で出てきていましたよね。
この「扉」が何を示しているのかを自分なりに紐解くと、それも「人との繋がり」になりました。
扉って、「いってきます」と「ただいま」が交差する場所なんですよね。
これは実際に本作で描写があったと記憶してます(確か最後らへんのすずめが常世にいたシーンだったと思う)。
つまり、出会いと別れが交差する場所ということです。
人は扉を介して、出会いと別れを繰り返す。
その中で何かを得て、成長していく。
そんなメッセージを、新海監督は扉に込めたのかなと僕は考えました。
②過去作との比較
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次に、新海誠作品の過去作との比較をしてみたいと思います。
本作は、僕が思っていた「新海誠作品」とは一風変わった作品として作られたと感じました。
そもそも僕は、新海誠作品は「印象的な作品」として観て楽しんでいました。
例えば、僕は天気の子が好きなのですが、主に青を基調とした背景が大好きなんです。
また、全体を通して感じる雨の雰囲気や、少年と少女が空から逆さまになって落ちてくるといった演出が好きです。
言の葉の庭も同じように、緑を基調とした背景や、雨の雰囲気と綺麗な背景が組み合わさって感じられる心地よい感じがとても好きです。
ストーリーよりも、演出や色彩といった、印象的なものを僕は新海誠作品で好んで観ていました。
ですが本作はどうでしょうか?
本作は特にこれといって基調としている色もありませんし、少年が銃を持つとか、少女の手に「すきだ」と書かれていたなどといった演出は控えめだった印象があります。
何を言いたいかというと、本作はストーリーを主軸に置いて作られたものだということです。
本作は人物の心情や成長に重きを置き、丁寧に描かれていました。
天気の子では、主人公が家出をした理由は曖昧でしたが、本作では明確に示されていました。
また、主人公のすずめが好きな人のためなら死んでもいいと思えているのとかも、過去に親の死を経験していて、命の価値基準が他の人とか異なるという説明で納得がいきます。
このように、なぜ人物がそのような行動に出るのかというのが、本作では他作品に比べてしっかりと描かれていると感じました。
本作はもしかしたら、今まで「新海の作品はストーリーがダメ!w」とか言われてきて腹が立った新海さんが「これでもくらえ!」と言って出した作品なのかもしれませんね。
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また本作では、天気の子との対比もなされていたように感じました。
すずめが東京でみみずと対峙した時は、「100万人の命をとるか、愛する人(草太)の命をとるか」の究極の選択を迫られていました。
天気の子でもそういうのありましたよね。
「東京の天気をとるか、愛する人(陽菜)の命をとるか」といった選択。
天気の子では、陽菜の命をとりましたよね。
「世界なんて狂ったままでもいいんだ」というメッセージを込めて。
ですが本作では、主人公は100万人の命をとりました。
まあ、さすがに重みが違いますからね。
天気の子の場合は天気が荒れるだけですが、本作では直接的に命が関わっていますからね。
最終的に、本作は多くの人の命も守って、同時に愛する人の命も救うエンドになりました。
前作と比べたら、かなりマシな終わり方になりましたよね。
もしかしたらここにも何らかのメッセージが込められているのかもしれませんが、僕には分かりませんでした。
ただ、天気の子ではその前作の君の名は。の人物が登場したりと、新海誠作品にはそういった自作品との関連を出して観てる側を楽しませてくれるので、本作もそういった楽しみを提供してくれたのかなと僕は思います。
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③ 性 癖
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本作も新海誠の特殊性癖が爆発していましたね。
椅子となった男の上に女の子が座る。
または、靴下で上に乗る。
どうやったらこんなの思いつくんだよ。
君の名は。の口噛み酒もとんでもなかったけど、本作のそれも中々とんでもないの出してきやがりましたね。
まったく、新海。あんたってやつは…
最高だぜ。
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④全体を通して
全体を通して、すずめの戸締まりはとてもおもしろかったです。
序盤は急展開が重なって、観ているこっちが置いてけぼりにされている感がありました。
ですが、すずめが愛媛県に降り立った辺りから、セリフと映像描写によって人間関係が上手く表現されていて、物語に引き込まれていきました。
クスッとなる部分もあって、非常に楽しめました。
一つ気になるところがあるとすれば..…
芹沢のスポーツカーがどうなったかということですかね。
あれ、もう修復不可能だろ。
南無阿弥南無阿弥...…。
ということで、すずめの戸締まりを観た感想を書いてみました。
感想というより、考察に近いのかもしれませんね。
感想を文字に起こして書いてみると、考えがまとまって良いですね。
また、観にいきたくなりました。
機会があればぜひ、また観てみたいですね。
それでは、また。