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バタイユゼミにて、哲学徒と盃を酌み交わす
哲学を学んでいた時のアネクドート(逸話)は、記事が好評を博したので、また書きます。いわば、総集編です。
もともと、ぼくは、法政大学経済学部の、フーコーを読むゼミにいたわけだが、ゼミの後藤先生が、二年間の海外研修へゆかれ、その後、同じく経済学部で受講していた、ドゥルーズ研究者であり、哲学者であられる、財津先生も研修で、後藤先生のいらっしゃるパリへ向かわれた。財津先生の代講の齋藤範(さいとう先生の名前には、ドゥルーズ「差異と反復」の「さいと」が含まれる)先生の、鶴の一声で、ぼくは文哲の門戸を叩いたのだった。勿論、ベルクソン研究者であり、ドゥルーズ翻訳者であれる、「差異と」う先生の、哲学と倫理学も聴講&受講していた。ちなみに、哲学の講義内容は、哲学史だった。
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ゼミ論において、後藤先生から、アンリ・ベルクソンの「創造的進化」を読んでまとめるようにいわれていたが、何が書いているのかは、読んでもよくわからなかった。生成については、プラトンの「饗宴」を夏休みを費やして読んだ。「大学生のうちに、フジロックいかなきゃ」といって就活中にゆくひとは、控えめに言って、このnoteを読まないでほしいですね。フジロックへは、ぼくもいつか、行って見たいです。
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財津先生からは、ドゥルーズの「差異と反復」について教わったが、そのドゥルーズが研究し、影響を受けたベルクソンにまで先祖返りし、教えを請おうと僕は、ベルクソンの世界的権威である、安孫子信先生のベルクソンゼミへと、押しかけたのだった。その時、映画サークルで共に活動してきた、進士さんとゆう方がぼくの事情を聴き、ご自分のいらっしゃるゼミへと導いてくれたのだった。そのゼミが、フランスの思想家、ジョルジュ・バタイユの研究者としても名高い、酒井健先生の美学ゼミであった。酒井先生は、ぼくが経済学部と知ると、ちょっと吃驚されたご様子だったが、ゼミ生に向かって、「マルクスやヘーゲルも実は美学的だったんだ。」と仰った。バタイユに関しては、前述の哲学者、フーコーが、ガリマール社(フランスの岩波書店のようなもん)から出た、「バタイユ全集」に「今世紀の最も重要な書き手の一人」との序言を寄せている。たしか、バタイユの出していた雑誌、「ドキュマン」は、五百部くらいしか売れなかった、と記憶しているが、その読者のうちの一人が、フーコーであった。だから、ぼくの中で、ドゥルーズ=ベルクソンのラインに対して、フーコー=バタイユの、「もう一つの」ラインもあったとゆうことになる。バタイユ=フーコーのラインは、西洋理性を批判する。ちなみに、ドゥルーズとフーコーは友人同士であり、バタイユは、老年のベルクソンと会って、その慎重さに深く失望したとゆう。
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この年には、酒井先生と江澤健一郎先生による、バタイユセミナーも開かれた。進士さんも参加されていて、いつものゼミ帰りと同じように、二人で飯くって、ビール飲んで、進士さんの講釈を聴いていた。とりわけ、江澤先生の仰ることがよくわからなかったので、解説していただいた。飯屋から飯田橋駅へ向かう途中、後に進士さんと上映企画を実行した後輩、イトケンくんと出会った。そのまま、三人で高田馬場駅までゆき、進士さんは、駅前のドンキへ行ったので、イトケンくんと二人、早稲田松竹の原田芳雄追悼特殊じゃなかった、特集上映を観たのである。
バタイユゼミからの帰り道、新宿駅西口の古本市で、バタイユの「内的体験」を買ったこともあった。進士さんも「いい買い物をしましたね」と言ってくださった。
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この本は、自らの「体験」の最中に読んだものだった。美学とゆうことでいえば、大杉栄のゆうが如く、「美は乱調に有」るのである。
ジョルジュ・バタイユとゆう思想家が、いつしかぼくのなかに住み込むようになったのだ。