先輩の口癖
20代のころ、とても厳しい先輩がいた。
その先輩の口癖が「福元、言ってもらえるうちが花だよ。」
だった。
それをモデルのような笑顔でにこやかに言ってくるので
愛があるとわかっていても
ダメ出しの傷口はさらに深くえぐられ
「わー聞こえない!わーわー!」とか言いながら耳をふさぎたくなるような
そんな人だったんだけど(笑)大好きな先輩だった。
当時の私はまだ「花」だったんだけど、
季節は廻り、もう花の季節は終わっている。
ひとつの仕事、同じフィールドでキャリアを重ね続けていくことの
いちばんのデメリットはダメ出しをされなくなること。
ダメ出し、でなくてもアドバイスでも辛口の感想でも批評でも
何なら批判でもいいのだけど、
ことに面と向かって言われることが少なくなる。
かといって「言ってくださいよ!」「どんな指摘でもありがたいです」と言ったところで
相手との関係性ができていなければ
やはりそんなにズバッとは言ってはもらえない。
ただ、仕事の場合、言わなくてもジャッジはされます。
「次の仕事につながらない」
というとてもシンプルなジャッジ。
「仕事はご縁」という考え方もあると思う一方で、
ご縁という言葉に逃げたくない自分もいる。
仕事そのものはなくても、
その準備をしながら得たものは私のものになる。
どう仕事をするのか、
どれだけ準備をするのか、
だけにつながっている。
…いろんな意味で考えてみたけど、
やっぱいいな、花って(笑)。