見出し画像

喫茶室 ラブラド・レッセンス②はじめまして

暖簾の前に立つ。緊張。
ずっと来たいと思っていて全然来れなかったお店。
相互フォローとはいえ、お店をはじめてお店のアカウントもあるし、フォロワーさんもたくさんだし、私のことなんて、誰?みたいな反応だったらどうしよう。
私が勝手に恋焦がれている完全な片想いかもしれない。一応今週末に北海道に行くので、行けたらいいな、とはインスタのDMで送っていた。それに対してはタイミングが合えばお待ちしてるねー、と返信はあった。

どうしよう、ドキドキする。まるで推しに合う前みたいな気分だ。
彼女が、ね、入ろう?と笑顔で言う。
閉じている引き戸をそろそろと開ける。右側にはテーブル席があって男の子が一人コーヒーを飲んでいた。
左側には厨房があって彼の姿が見えた。心臓が跳ね上がる。

いらっしゃいませと彼は言ったのだろうか、緊張のあまり覚えていない。
こんにちはー
恐る恐る声をかける、彼と目が合ってなんですか?みたいな表情になる。

あの…私Uくんが高校生くらいの時からインスタとかtwitterフォローしてて、DMも少しだけどやりとりしてて、ずっと来たいと思ってたんだけど全然来れなくて、Uくんが撮った写真のハガキとか何通か送ってもらったりして。あの…。
しどろもどろに一気に伝えると

え!え!誰?…あ、もしかしてfunnyさん?(インスタのアカウント名からこう呼んでる)言ってよー!!
と可愛らしい笑顔になる。

週末北海道に行くってDMした。
そう伝えると。
うん、来てたけどさ、最初に言ってくれたら良いのに。2階どうぞ。
と彼が2階へ上がるように促してくれた。
厨房と奥の窓から入る光が優しく店内を照らしている。厨房のカウンター越しに持ってきた豆を渡す。

これ、私の好きなカフェの豆で
Uくんの話をしてそのお店の人に選んでもらったの
北海道なら深煎りかなってリスブレンドともうひとつ。良かったら。
2種類のコーヒー豆を手渡す。

わ!ありがとう!
笑顔で受け取ってくれた。良かった。
北海道って深煎りなんだね、と彼女も言う。
あ、私は北海道なの。
そうなんだ、と彼。

そこで少し北海道話をしたのかしてないのか。記憶は曖昧。
今日は全然お客さんいないからゆっくりしてって。良い時に来たね。と彼が言う。

2階に上がる土間の所にはお客さんの靴らしきものは無かった。一人でお店を切り盛りしているので忙しい時には大変そうなストーリーが上がっていたりする。
本当に貸し切り状態で、なんてタイミングが良いんだろうと心の中で小躍りした。

階段の所の貼り紙を読みながら写真、5枚って書いてある。と言いながら上がると
好きなだけ撮ってって良いよと彼が笑って言った。
いいの?ありがとう!

お言葉に甘えてたくさん撮っていこう。もちろん自分の目でもちゃんと見てちゃんと感じていこう。
薄暗い階段を上がると古い和室のなんとも言えない懐かしいようなちょっと不思議な空間が広がっている。
あちこちに置いてある小物たちもどれもかわいらしく、本がそこここに置かれているのも無造作に見えてこのお店の雰囲気のひとつになっている。

どこに座る?
どこにしよう。何でも迷う私はすぐに決められない。
おばさんだから足に優しい椅子にしようか。と彼女が冗談とも本気ともつかない調子で言い、笑いながら奥の席まで歩いて行った。2階の奥にはその席しかなくお尻をすっぽりと包むような少し低めの椅子、背もたれには膝掛けが置いてある。

そこに座ると彼がどうぞ、と白湯を出してくれた。お水ではなくお白湯。口にするとちょうど良い温かさで体に沁みる感じがしてとてもおいしかった。お白湯、いいよね。と彼女と言い合う。

メニューを広げながら、何頼む?と2人して覗き込んんで、
ちょうどお昼だしピザトーストとか食べちゃう?
スイーツも美味しそう!
何飲もうかな。
などと迷うのもまた楽しい

メニューもメモ用紙も何から何までいつも良いなと思いながら見てたインスタのまんま。そんなの当たり前なんだけどそこに今自分がいる、しかも会いたかった友達と一緒に。しあわせすぎる。胸がいっぱいになった。

本文は飛ばしてもお店の雰囲気は見て欲しい、
今回は画像を挟まずまとめて載せます。


喫茶室 ラブラド・レッセンスはこちらから


いいなと思ったら応援しよう!