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自分でつくる 自分につくる
すこし前に 酢橘とライムをいただいた
ひとりでは食べきれない量の柑橘類は なんでもシロップにする
ピールまでして 平らげるのが好き
そういえば梅は今年 梅酢味噌もした
焼いたパンに合います
梅酢味噌のある間だけ 家にはフランスパンがストックされていた
酢橘シロップをつくってからというもの
毎朝 飲み湯を沸かすようになった
祖母から譲り受けた鉄瓶
手入れが面倒で放っていたけれど
やっと習慣になった
鉄瓶で沸かすときの音は薬罐とも違って好きだと知った
糖漬けになった酢橘とそのシロップを湯呑みにすこし
うえから湯を注ぐ
立ち昇る温かな柑橘の香りに 思わず深呼吸
ここまでできたら
今まで億劫だった朝食の支度もたのしい
お米を研いで あとは炊飯器に任せる(ありがとう人間さま)
冷蔵庫にあるもので味噌汁をつくる
味噌をといたら
これもまた祖母から譲り受けた漆器椀へうつす
ちょっと寝転がって読みかけの本を開く
ぴーぴー
あっという間に炊き上がったつやつやの米を 茶碗によそう
最近出会った 搾菜のキムチみたいな、違うかな その添え物にハマっていて
それを小鉢に乗せる
盆に乗せればじゅうぶん格好のついた朝食膳になる
つくったの、お味噌汁だけ
お布団と親友になってしまう冬に向けて
毎朝を楽しめるようになったのがうれしい
自分のためだけにつくるとき なんでもつい手抜きになるけれど
手抜きだから続けられて楽しめるのだと思う
無理しない、頑張りすぎない、楽しいを超えない
わたしにとって “頑張る” とか “きちんと” とかは強敵だと思っている
気をつけていないと ついつい欲張りになってしまって
知らぬ間に自分が苦しんでいたりするから 我流に訓練して手放した
人それぞれです、あくまでもわたしにとって、ね
小林聡美がすこし前に何かの雑誌で言っていて
「急がない、慌てない、転ばない」
わたしもそんな風に歳を重ねていたいと思う
だから
自分でつくる 自分につくる
その時間を設けているということに意味があって
ちゃんとしなくていい
自分が幸せに満たされればそれでいい
否、それがいい
それが “自分たち” になれたら誰かと料理をするのも楽しいんだと思う
家族ってそれくらいがいいなと思う
難しいことはない
簡単なものから作りはじめればいい
食べたいものを作ればいい
料理をすることは生きることだ
月桃をはじめるにあたって
いちばんに取扱いたいと決めていた『最初に読む料理本』も
この場所からたくさんの手に渡っていて
わたしがそうであったように
誰かにとって食事と料理とを考えるきっかけになっていたらうれしいな
と
今、ふいに思った
酢橘シロップが美味しいって残したいだけだったのに
書き出したら頭の中でいろいろのことと結びついてしまって
つい たくさん書いてしまった
今日は「つい」がたくさん出てくる回になった
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