
梅雨
夏の日照りが続いていたここ数日
やっと梅雨がきた
止む予感のしない雨を眺めながら
地を打つ雨音を聞きながら
夏の雨の匂いを吸いこみながら
今日の本を選ぶ
頁を捲る
言葉に身を預ける
雨の日は図書室へ
雨の日の月桃は贅沢です
今日のお客さまは
小雨の中自転車できて
ひとしきり本を読み、雨音に包まれ、風に吹かれて
そして少し強くなった雨を浴びながら
自転車で帰っていかれました
そのつもりで来たんだろうなという身なり
そんな姿がうれしくて
わたしも帰り道は雨に見惚れたりして
そうして余所見ばかりしていたら
大きな水たまりに勢いよくびしゃんと浸かった
何かから解き放たれた気がして
帰り着いたらすぐにビーサンを出して
雨の中散歩に出かけた
わたしにも雨の日に行きたくなる店というのがある
雨が降ると特別な感じがする場所
月桃も
誰かにとってそんな場所であることが
わたしはとても嬉しい
夏のあいだ続くであろう雨の月桃が楽しみで仕方がない
0621