
春のはなし
春の雨が降って
春の光が届いて
そうして
春の花がひらいて
町ゆく大人も子どもも みんなが
何となく 自身に新しさを期待している
そわそわする季節
毎年春はやってくるというのに
今年こそはと何かを期待している、毎年の私たち
そんな人間らしい様子が愛おしい
こんなにも時代は情報化し 合理化し 時短化して 時間に追われているというのに
私たちは令和になってからもずっと
誰かと信じ合えるときはうれしいし それでもやっぱり淋しいし
体温は恋しいし 居場所を確認できるとよろこんでしまう
人間は人間をやめられないのだな、と
春になると人びとの非効率的な心にふれて安心する
そんな季節
そうしてそんなことを言っているとあっという間に時は過ぎる。
また夏が来て
穏やかさを失っていく世界に腹を立て
秋が来て
慌ただしい人びとにつられて日々を焦り
冬が来て
あっという間に過ぎたいちねんとやがて迎える新たないちねんとに心を鎮め
次の春が来る頃にはまたひとつ
人間という生きものをを好きになっているのかもしれない
日本には
もうすぐ3.11がやってくる
近づくと意識せずにはいられないあの日
出来ることなら忘れてしまいたいけれど どうしたって忘れられないあの日
わたしは確かに被災者ではない
だから大きな声でトラウマだなんて言えない
でも、やっぱりわたしはあの日を生きていたと思う
そして、日本中が、
あの日と共にあらゆる時間を重ねてきた
福岡は
また近いうちに選挙があるらしい
月桃の出番ですね
選挙の重要度に大きいも小さいもありません
小さなものが大きくなっていくのです
わたしの世界は。
近ごろ卒業式の話でいっぱいです
みんなが少しだけ泣いて
それから新しい衣装に身を包み 新しい世界を歩き出す
2025年のわたしはどんな春を過ごすだろうか
わたしが生きるすべての時間を
こぼしてしまわないように
ひとつひとつ粒にして 宝箱にしまえるように
そんなように暮らしていたい
そういえば
梅の花が散りはじめたので梅茶にしようかと思っていたら
ちょうど1年前の今日の私も同じことをしていたようで
なんだかひとり勝手に
壮大なものに包まれている感じがしている今朝
なんて、何も書くことがなくて近ごろのお客さまたちとの話から
今のわたしの頭の中をつらつら記したけれど
なんにせよそんな全部ぜんぶをこの世界は包み込んでいて
ただひたすらに、今という時間が流れてゆくのだと そう思います
何のためにここまで書いたのか、春のせいです
0303