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Vol.4 奥様は魔女

アメリカがやってきた

1964年から72年にアメリカで放映され大ヒットになったTVドラマです。
普通の人と魔法使いの結婚生活をドタバタ喜劇で描く、いわゆるシチュエーションコメディです。
原題は"Bewitched"。魔法をかけられたとか、魅了されたという意味ですが、邦題は「奥様は魔女」。
なんとも秀逸な邦題です。内容への期待ばかりではなくなんとも可愛らしい雰囲気が短い表現に詰まっています。

日本では’66年に夜の時間帯のドラマとして放送が開始されたようですが、大きく認知度がアップするのは夕方の時間帯の再放送枠だったと思います。70年代~80年代にわたり何度となく再放送され、当時の子供たちにも身近な番組でした。

「奥さまの名前はサマンサ。そして旦那様の名前はダーリン。ごく普通の二人は、ごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。でもただ一つ違っていたのは、奥さまは魔女だったのです」
こんなキャッチーなオープニング(アニメつき)で番組は始まり、おせんべポリポリ食べながらテレビの前に座る子どもたちを一気にアメリカにつれていってくれました。
(ところでこのオープニング、知っているひとはナレーションの声も含めて脳内再生できますよね)


昭和の黒船

その後の日本のテレビ番組にも大きな影響を与えます。
魔法ものとして「魔法使いサリー」や「コメットさん」、"秘密を抱えた結婚生活"というテーマで「奥様は18歳」なんていうドラマもあり、それぞれヒットしています。思えば今の時代でも同じようなことはやってますね。

内容の面白さはもちろんですが、それよりぼくたちを惹きつけたのはそこに描かれる「アメリカの生活」でした。
ソファーと暖炉のあるリビングルーム、大きなキッチンと見たこともない調理器具、可愛らしい食器にあふれたダイニングルーム。
畳に座ってちゃぶ台でご飯を食べる「磯野家スタイル」が一般的であった当時の日本の家庭からは想像もつかない豊かな生活がそこにはありました。
大きな冷蔵庫から見慣れないカタチのビンにはいったミルクを出し、色のついたグラスに注いで飲む。
衝撃でした。
いま思えばただの牛乳じゃんってことになりますが、当時は夢の飲み物に見えたものです。

ダーリンの職場の広告代理店(って何の仕事かこどもにはよくわからないけれど)のオフィスもかっこよかった。
秘書がいて個室があって、社長のラリーはコルベットに乗っていて。ディテールだけでわくわくしたものです。
「波平・マスオスタイル」とは一線を画す世界が繰り広げられていました。

これが当時のこどもたち(あるいは大人たち)への刷り込みとなり、日々の生活や将来への考え方に少なからぬ影響を与えたはずです。
まさに”Bewitched”でした。
あそこに追いついてやる、なんなら超えてやる、くらいな目標と夢を与えてくれる「黒船」だったように思います。

ところで、サマンサとダーリンには娘がいます。
名前はタバサです。

あのカバン屋さんにもそんな思いがこめられているのかもしれません(しらんけど)。


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