はやかわ/Li-1970s店主

1970年代の生活や文化を象徴するモノを集めたECセレクトショップ"Li-1…

はやかわ/Li-1970s店主

1970年代の生活や文化を象徴するモノを集めたECセレクトショップ"Li-1970s"の店主です。 このユニークで愛すべき時代のことを伝えられたらいいなと思っています。

最近の記事

Vol.42 マカロニほうれん荘

1977年から79年までの2年間、週刊少年チャンピオンで連載されていたギャグ漫画です。 当時かなりのヒット作品だったにもかかわらずアニメ化などの展開もなかったため、今となっては知る人ぞ知る伝説の漫画となっています。 日常の出来事を独特な登場者で描くいわゆるスラップスティックコメディですが、当時としてはかなり異色の作品でした。 スピード感や突拍子のない展開という基本スタイルは先行してヒットしていた「がきデカ」に通じるものもありましたが、ハチャメチャなストーリーの中にマニアック

    • Vol.41 こち亀

      1976年から2016年の40年間の連載。 単一のコンテンツが長期にわたって人気を維持するには、それぞれの時代に合わせながらもコアとなるテーマなりテイストに強い独自性があることが重要です。ローリング・ストーンズにも通じるものがあるように思います。 より広く知られるようになったアニメ版や実写版では主人公両津勘吉のダイナミックな破天荒さが作品の軸になっていますが、オリジナルの漫画版にはもう一つの側面がありました。 それは(それぞれの時代での)カルチャーへのマニアックで深い関心で

      • Vol.40 ドラえもん

        日本の現代文化を世界に輸出できる「産業」にまで押し上げた功労者といえる作品だと思います。 70年代から80年代に日本は自動車や電化製品の輸出ばかりで世界から”エコノミックアニマル”と蔑まれていたのですが、戦後初めてその文化作品を世界に発信することができたというのは大きな意味があります。 まさにどこでもドア的に日本の魅力を世界に紹介したわけです。 1970年連載開始 実はドラえもんという作品は70年代になかなかユニークな展開をしています。 そもそもの原作である漫画版は小学館の

        • Vol.39 宇宙戦艦ヤマト

          74年に第1作がテレビ放映開始されて以降、現在に至るまで多様な形でメディアに現れる作品です。 1970年代に始まる日本カルチャーの黎明期における重要な意味をもつ作品です。"Cool Japan"といういまの日本が誇れる数少ない「産業」もこの作品がなければ別の形になっていたかもしれません。 「アニメ」の始まり この作品が初めて「アニメ」という言葉を公に使ったと言われています。 それまでの「テレビまんが」ではない新しい作品ジャンルを表すべく生まれた言葉であり、そこには子供向けで

        Vol.42 マカロニほうれん荘

          Vol.38 カラオケ

          世界共通語になる日本語はあまり多くありませんが、"KARAOKE"はそんな中で最も世界中に知られた日本語一般名詞の一つだと思います。 マンガやアニメに先立って発信された日本文化と言っても良いのかもしれません。 江戸時代の浮世絵以降の100年間、世界に日本文化が広まることはほぼ途絶えていましたので、これもまた70年代以降の日本の変化(あるいは成長)の一つの印と捉えることもできます。 そもそもカラオケという言葉は放送・音楽業界の用語であって、手間のかかる生のオーケストラやバンド

          Vol.37 西城秀樹

          72年デビュー、昭和歌謡界のトップをかけ抜けたスーパースターです。 2018年に68歳の若さで残念ながら亡くなってしまいました。 いまや彼を知らない世代も増えてきていると思いますが、ぼくらの世代からみればそんなことが信じられないほど日本中の誰もが知っている存在でした。「ヒデキ」という言葉だけで彼の顔や声、その存在がはっきりと浮かび上がってきます。 この頃のスターは雲の上の存在であると同時に生活の一部とも言えるとても身近な存在でもあったのです。 ちびまる子ちゃんのお姉ちゃんが

          Vol.36 ピンク・レディー

          70年代の後半に活躍した二人組のダンスアイドルです。 ヒットなどというレベルではなくほぼ社会現象といえる人気で、シングルレコードは出せばミリオン、ヒットチャートも常に一位をキープしていました。 今のようにいくつかのアイドルグループとその系列でヒットチャートが埋まってしまうような時代ではなく、当時は多くのアイドルや本格派歌手がひしめき合い、新人も次々と現れるような厳しいチャート競争がありましたが、そんななかでも頭一つ飛び抜けていたように思います。 そんな絶頂期の78年、紅白歌合

          Vol.36 ピンク・レディー

          Vol.35 山口百恵

          73年に14歳でデビュー、ほぼ7年半の活動で21歳で引退。 シングル盤1630万枚、LPは434万枚を売上げ、映画やドラマでも多くの記録を作ったまさに70年代(あるいは昭和後期)を駆け抜けたスーパースターでした。 武道館での引退コンサートで最後の曲「さよならの向う側」でステージにマイクを置いて舞台裏に下がったというエピソードは、当時を知らない世代でもご存知の方も多いかもしれません。 「中3トリオ」とよばれた初期の活動では、幼さを残す端正なルックスながら大胆で際どい歌詞を歌

          Vol.34 松田聖子

          アイドルという産業1980年に「裸足の季節」でデビュー、80年代以降の女性アイドルのあり方のフォーマットになった人物です。彼女の登場はまさに70年代の終焉を意味するものでした。 60年代から70年代にもアイドル歌手という市場は大きなものでした。 豊かな時代を迎えエンターテインメントがテレビやラジオというマスメディアを主体にしはじめた時代、アメリカのショービジネス手法に影響を受けた仕掛け人たち(ジャニー喜多川などが代表例)が素材を見つけて育て、プロデュース・プロモートする手法

          Vol.33 The Beatles(後編)

          ふたりの天才2019年にビートルズを題材にしたある映画がありました。 もし誰ひとりビートルズを知らない世界でたったひとりのミュージシャンがビートルズ(の曲)を知っていたらどうなるか、というテーマでした。 ビートルズの作品は時代を超えて(現代のヒットメイカーであるエド・シーランですらかなわないほど)素晴らしいということを描いたものです。 なかなかおもしろい題材ですし、ビートルズの曲が魔法のように人々の心を掴んでいく様子は痛快とすら言えるものでした。 ジョン・レノンとポール・マ

          Vol.33 The Beatles(後編)

          Vol.32 The Beatles(前編)

          ビートルズとはなんだったのかビートルズをリアルタイムで聴いていた世代はいまや60代から70代。 にも関わらずその作品は世界中で愛され続け、御年78歳のポール・マッカートニーはいまだにスタジアムを何万人もの聴衆で埋め尽くしています。 現役当時を知らない世代が「むかしの音楽」であるビートルズに魅せられてつづけているわけです。 一方ビートルズって結局何なの?なにがスゴイの?思っている方は少なくないと思います。 でもいまさら尋ねるのも恥ずかしいし、ちょっと調べたくらいではなにがなん

          Vol.32 The Beatles(前編)

          Vol.31 The Rolling Stones(後編)

          カリスマであることストーンズの曲はいつの時代でもあくまで歌が主役であって当然トップフロントはボーカルのミック・ジャガーです。 にも関わらず多くのファンにとってギタリストのキース・リチャーズはストーンズのアイコンであり続けています。 ギタリストがバンドの中心になるのは70年代ロックではよくあることで、特にハードロックではギタリストのテクニックが歌よりも重要であることは珍しいことではありません。 ただキースの場合はちょっと違っています。速弾きもしませんしエンドレスにアドリブソロ

          Vol.31 The Rolling Stones(後編)

          Vol.30 The Rolling Stones(前編)

          存在の大きさローリングストーンズに関して文章を書くのはある種の暴挙です。 半世紀を超える彼らの足あとをクロニクルとして描くならば本一冊でも足らないし(そんなのできないし)、さらっと概略として彼らの歴史や功績あるいは魅力をまとめるというのも個人的な思い入れや思い出が邪魔してうまくいきそうにありません。 いままで70年代ロックバンドについていくつか書いてきましたが、ストーンズとなると事情が変わってきます。 つまりそういうバンドです。 存在の重みも時間的ボリュームも他と比べようが

          Vol.30 The Rolling Stones(前編)

          Vol.29 The Who

          ビートルズ、ローリング・ストーンズと並ぶイギリスの3大ロックバンドとして世界中で知られていますが、日本での知名度は他の2者に比べるとやや寂しい感じであることは否めません。 音楽性や後の世代への影響度などは決して引けを取るものではないのですが、70年代当時に日本であまりプロモーションがされなかった(来日もしていない)のが大きな原因のようです。 ただモッズカルチャー好きであったりプレイヤー志向であったりするコアな傾向のファンが多く、それが逆に人気の根強さにもなっているようにも感じ

          Vol.28 Sex Pistols

          70年代をぶっ壊せ77年にたった1枚のアルバムを出しただけで解散してしまったにも関わらずパンクロックの代名詞あるいは始祖として知られているバンドです。 70年代はハードロックやプログレッシブ・ロックなどテクニカルで重厚なサウンドが主流で、かつてのようなティーンエージャー向けのロックンロールは下火になりつつありました。 そんな中ニューヨークとロンドンでほぼ同時にパンクロックが生まれます。 ややこしいアレンジや技巧性をとことん排除、スピード感のあるビートにキャッチーかつメッセージ

          Vol.27 RAMONES

          パンクロックの導火線 70年代後半のパンクロック・ムーブメントはロックシーンの分水嶺でした。 50年代のエルビス・プレスリーによるロックンロールの創生、60年代ビートルズによるバンド革命、69年のウッドストックフェスティバルを経て70年代にはロックは多様化と複雑化の道を進んでいました。 そして77年セックス・ピストルズとクラッシュがデビュー、「ロンドン・パンク」が世界中のロックシーンに革命をもたらすことになります。 40年以上経った現代でもパンクは形を変えながらも続いていま