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Vol.7 ヒッピー

豊かだから可能だった豊かさへの反発。

1960年代後半にアメリカで発生した文化ムーブメントです。
経済的に成長し続ける社会への反発・解放を旗印として若者たちが「自由に生きる」ことを目指しました。

自給自足、自然回帰、反戦。
当時多くの人々が感じていたもろもろの問題が、「キャッチー」なテーマとして具現化されました。
明確な発祥の定義もありませんし、ビジネス的プロモーションもありません。にも関わらずあっという間に世界中に広がりました。
まさに時代が生んだ「社会の要求=神の見えざる手」だったわけです。

ただ、実は推進力となった欧米の若者たちは比較的豊かな家庭に生まれた学生達でした。
日々の生活に困窮する本来の貧困層(経済成長の被害者)が望む「革命」のようなものではありません。
70年代中盤、ベトナム戦争終結などを節目にそのムーブメントはどんどん色あせていき、これまたあっという間に収束に向かいます。


文化への貢献

つまり、社会改革という視点からみればそれほど大きな成果を出してはいません(多少なりの影響をもたらしたことは否定しませんが)。
それよりも文化的な部分での成果物のほうがユニークであり、それはいまの時代にも脈々と引き継がれているものです。

ナチュラリズム志向がフォーク・アコースティック音楽を育み、それはオーガニックライフのための必須要素のひとつにもなりました。
解放・自由主義は(ドラッグ依存も含め)、サイケデリックアートやハードロックの起爆剤になったはずです。
定住への反発から生まれた遊牧民的な旅のスタイルは、今にも残るバックパッカー文化を生んでいます。

またこれらのカルチャーそれぞれが生んだ独特なファッションスタイル(ネイティブアメリカンやボヘミアンスタイルなど)は、幾度となくリバイバルブームを起こしています。

仕掛け人もいない、SNSもない。
でも人々に本当に求めらているものは自然発生的に大きな社会ムーブメントや新しい文化を生み、かつ後々まで残るものになる、という例です。

こんなパワフルなムーブメントがまた起きると面白いのだけれど。


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