織り込む旋律で普遍性を描くバロック
音楽について語りたいです。
クラシックのバロック音楽がたまらないです。
あの中世の香りを感じさせる楽器で、普遍的な神を意識した音楽がイイです。
チェンバロで神の声を洗練して組み上げていくバッハ。
バッハのフーガ対位法についての解説をみてると、精密に構成されながら調和を生み出す人智を超えた技法でありながら、そんな技法の存在さえも気づかない素人でも聴いたら感動を与えます。自律神経が織り合う神の数式のような宇宙の秩序まで描いているよう。
ヘンデルなど、荘厳だけど人心を奮わす、悲哀さえも美に昇華する娯楽感もむしろ普遍性があります。
王族や貴族のための音楽で、支配者側の趣向音楽だと批判する陰謀論的見解は無視します。
むしろ、王族や貴族も、この曲で神の意識を感じるならば、集合意識の趣向は同じで、立場が違えど内的な神意識は同じなのではないかと感じます。
奴隷の心情を描く黒人ブルースも、貴族が聞いたって、いい曲はいいんだと思います。
貴族が「その気持ちわかるわ〜」と言うのは不謹慎だけど、支配側も何かに支配されているわけだから、その悲哀は同感するのかもしれません。
話を戻し、むしろ古典派ロマン派は、個人的な感情すぎて私にはあまりピンときません。
ベートーヴェンやショパンの個人的な苦悩と葛藤は、こっちも重苦しくなります。
まあ好みです。
普遍的な意識を表現する曲が好みなんです。
だから現代音楽でもいいモノはいい。
だけど、寂しさを慰め合うような個別事情の音楽は好みじゃないです。抑揚がありすぎます。
現代音楽といえば、バロック音楽の良さは、実は現代のミニマルミュージックに通じるものがあります。
抑揚を抑え、削ぎ落とした要素を構成する現代アートです。
ミニマルミュージックは、音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽です。ズレたりフレーズを織り込んでいく心地良さがトランス感あります。バロック音楽に重なると個人的に思うのです。
実は能楽の能も、先鋭された現代アートだと思います。
小鼓のビートでトランス変性意識にし、感情を面(おもて)で抑揚を抑えながら繊細な表現をし、舞台を抽象概念で表すミニマル・アートです。
謡の協奏でクライマックスに感情が爆発しますが、内的演出で過剰に押し付けません。
バロック音楽も先鋭化した現代アートにも感じます。
こうなってくると、細かい講釈や時代背景なんて関係なくなりますね。
古典芸術も、未来サイバー空間の普遍性を描いているのかもしれませんよ。