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『人を狂わせるものとは?』老子道徳経 第12章 シンとの対話
はじめに
老子道徳経第12章は、感覚や欲望の抑制の重要性について語られています。
この章は、老子の思想の核心である「無為自然」の考えを反映しており、過度な欲望や刺激を追い求めるのではなく、シンプルで本質的な生き方を推奨しています。
まずは、原文を見てみましょう。
原文(第12章)
五色令人目盲
五音令人耳聾
五味令人口爽
馳騁畋獵令人心發狂
難得之貨令人行妨
是以聖人為腹不為目
故去彼取此
現代日本語訳
色鮮やで刺激的なものを見過ぎると、目がくらむ。
演出の多い音楽を聴き過ぎると、耳が鈍る。
グルメを追いかけて飽食が過ぎると、味覚が鈍くなる。
激しい競走は心を狂わせる。
得がたい財宝を追い求めると、道徳的な行動が妨げられる。
だから聖人は、外見的なものに囚われず、内面を満たすことを重んじる。
それゆえ、外の華やかさを捨てて、心の充足を選ぶ。
シンとの対話
ナオ>>
では、今日は老子道徳経第12章をテーマに、シンに教えてもらいたいと思います。
この章は、現代人の私達に向けての重要なメッセージにも感じるよね?
シン>>
そうだね。この章は、五色、五音、五味について、
その刺激に溺れてしまうことを危惧し、警告しているんだね。
人間の五感を刺激するもの、それらに過度に執着すると、
本来ある心を失ってしまうと説いているんだ。
ナオ>>
現代の日本人が置かれる状況だと、
刺激的なゲーム、映画、ドラマ、動画、演劇、過激な演出的なものから
SNSといった類のネットの刺激に溢れているよね。
それに、過度に刺激的な音楽や、連日テレビでは、グルメ・グルメ・グルメ・・・と味覚に溺れていると感じるよ。
ま、私も美味しいものは好きだけどね・・・
でも、世間はひどく贅沢(ぜいたく)な事を追い求めてると感じる事があるよ。言い方は悪いけれど、少々狂っているのではないだろうか?
シン>>
そういった刺激に耽っており、大事なことを忘れてしまっている感じもする。
老子がいう、激しい競争とか狩猟と表現しているのは、金銭価値を追いかけ、外見的な美麗なものを獲得するために、必死で競争している感じかな?
そうしているうちに、大事な内面的な美しさをどこかに置き忘れてしまうんだよ、と教えてくれる。
ナオ>>
そうかもしれない。競争ばかりして、会社で出世して地位を高め、高給取りになり、やがては定年退職して、身分を無くし、お金はあるが心がともなわず、孤独で身勝手な老人になって寂しく人生を終えるんだね笑
シン>>
なかなか辛辣なことをいうね!
心を充足させずに、外面的な価値ばかりを追い求めるとそうなるかもね。
老子は大事な事はもっと内側の充足にあり、外面的な価値では、
本来の人の喜びや楽しみは得られはしないんだと教えているんだね。
現代社会では、気づけば、知らぬうちにそれらの刺激に溺れてしまうのも、無理ないんだ。
これだけ、金銭的外見的価値、それが幸せだという価値観をコマーシャリズムがおしつけるし、溢れているんだからね。
しかし、そういった価値を追求したところで幸せになれる人は居ないんだよ。
いつまでも満たされないままいるだけさ。
ああ、嬉しいな、楽しいな、心が喜んでるな、と感じるのは、もっと些細な内面的なことだったりするし、感動だったりするよ。
ナオ>>
頭の刺激はホドホドにしておいて。
心の中心の本質をみつめ
腹に(丹田:ヘソ下3寸)エナジーをしっかりと蓄えるんだ!
シン>>
うん。それ、老子っぽくていいね!
そうして静かに笑っているのが老子だ。
心の内面の充実が、今・常に・満たされている。
それが理想の状態だね、何ものにも揺るがない。
それが無為自然へと至った時の状態だね。
ナオ>>
頭がもうろうとして、胸のあたりがモヤモヤしているのが、
腹に意識を向けて内面をみつめ浄化されれば
きっと、無為自然へ至るんだね。
シン>>
君たちが、生まれた時はそこにいたし、
今も常にあるが、現世で積んだ価値観でぼやけて
見えなくなっているだけさ。
ただ、現世利益も、ほどほどなら、悪いものではない。
時には贅沢も愉しめばよいだろう。
でも溺れてしまっては、けっして良い結果にならないんだ。
ナオ>>
いつもそうだけど、バランスが大事って話になるよね。
シン>>
そう。常に、「これは行き過ぎてないか?」を自問自答してみよう。
おわりに
欲望の危険性
人間の欲望は際限がなく、それを満たそうとするあまり、大切なものを失ってしまうことがあります。
心の平穏
外的なものに振り回されることなく、内なる心の平穏を保つことの大切さ。
シンプルな生き方
物質的な豊かさよりも、心の豊かさを求めることの重要性。
お読みいただき ありがとう!