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「他人の評価に反応しない」老子道徳経第13章シンとの対話。



はじめに

老子道徳経の第13章について、私のメンターであるシンとの対話です。
この章は「他人の称賛あるいは非難を気にしすぎないようにね」という老子のメッセージです。人の目を気にしすぎて身を滅ぼす人が、非常に多い現代ですね。「世俗の価値というものに、からめ取られて自分を蔑ろにしてはいけないよ」社会システムの虜にされている現代人にこそ響く、老子のメッセージです。

原文と現代語訳


寵辱若驚,貴大患若身。
何謂寵辱若驚?寵為下,得之若驚,失之若驚,是謂寵辱若驚。
何謂貴大患若身?吾所以有大患者,為吾有身,及吾無身,吾有何患?
故貴以身為天下,若可以寄天下;愛以身為天下,若可以託天下。

人々は他人に、どのように評価されるか不安でたまらないんだ。
我が身と同じような価値観で名誉や財産を大切なものと考えるからだ。
心身があってこそ、このような心配事が起きる。
しかし、心身がなければ起こることではないね。
心身こそが、そもそもが根っこにあるんだということだよ。
だから、政治や、社会、組織、家庭といった枠組みを
治めるということよりも、先ずは我が身を大切にすること。
逆に言えば、我が身を大切にできない人に
何も任せることはできないんだよ。
自分を大切に出来ない人に、他人を大切にできるはずがないんだからね。


老子道徳経第13章:シンとの対話

ナオ>>
では、今日は老子道徳経第13章をテーマに、シンに教えてもらいたいと思います。
この章は12章に続いて、現代人の私達に向けての強烈なメッセージにも感じるよね?

シン>>
うん、そうだね。この13章はぜひとも、現代を生きる日本人に耳を傾けてもらいたい。様々な縛りから開放されるメッセージ、示唆に富んでいる。

ナオ>>
私も、日々社会で仕事をしていると、数値目標の為に病気や怪我をするほどにまでやれ、といった無言のメッセージを感じることがあるんだけど(プレッシャーね)あまりに酷い、あるいは無茶な要求はスルーしているよ笑。でも、ある程度の社会の立場や責任といのも大事だし、家庭を守る立場にもある人にとっては、我慢したり、そのために心身が病気になったり、怪我をしてしまったりと・・・なかなか厳しい現実があるんだよね・・・。

シン>>
なるほど。取引ばかり先行して、無駄な忖度ばかりで評価を過度に気にしたり、数字だけを目標とする現実に生きている人は非常に苦しいだろうね。
だが、老子はいうんだ。
「いちばん大事なのはあなたの心身であり、それを一番に大事にしなさいね。心身ーそれがなければ、何もなくなってしまうんだから」

心身を壊してしまっては、元も子もない。だが、この社会システムで盲目的に生きている人たちは、そのことに気づかないんだ。
心身を壊してでも評価を手に入れなきゃいけない、という脅迫的な幻想を抱いている人もいる。
しかし、心身を壊して、、、結果として得られるものは破滅だよ。

ナオ>>
破滅・・・そうだね。私も何度か、かなり厳しい立場に置かれたことが、あったんだけど、なんだかオカシクなってしまうんだよね。
消えてしまいたいとか、●んでしまいたい、とか無意識に考えるようになるんだ。
お腹もずっと痛くて、調べたけど何も無かった。円形脱毛症にもなったよ。
だから追い詰められる辛さも知っている。でもあれは、幻想だったんだと、今はよく分かるよ。そこから抜け出すために、まず身体をしっかり動かしたり、ご飯をしっかり食べたり、基本の生活を取り戻して、自分を養う事を優先することで脱出できた。

シン>>
そうだね。あのときの君は酷い状況だったからね。
でもしっかり自分を見つめ直し、先ずは身体を労り、心も回復した。

さて、他人が自分をどう思うか?というのは、ある意味、その他人の問題であって、あなたの問題ではない、という考え方があるんだ。
もちろん、好き勝手やってもいいと言っているわけではない。努力しないでいい、ということでもない。他人の為にでき得る事はするほうがいい。
ただ、他人からの評価の為に自分を蔑ろにはしてはいけないんだよ。
誰かに気に入られる事なんて、まあ期待せずに行うことだ。
自分を大切にすることのほうが、ずっと価値があるんだと気づくこと。
どれだけ評価してもらおうとして努力して、評価されたとしても、結局他人は、あれこれ(良いことも悪いことも)言うよ。
その立場で言うこともコロリと変わってしまう!
思い出して欲しい。
地位や名誉やお金や・・・あの人の評価も、いずれ変わっていくし、消えていくんだ。泡みたいになってね・・・。

ナオ>> 
この章は、かなり現代人にも響くメッセージだと感じたよ。
私自身も、まったく評価が気にならないわけではない。
でも評価ばかり追い求めると、それはもはや本来の自分ではなく、
自分に嘘をついてるような気になってしまう、という感じがする。

シン>>
なるほど。それは他人の評価に合わせた自分を創作していたことになる。他人の評価に合わせ過ぎるのは、一種の自己犠牲だ。
あと、これは警句だけど
自己犠牲を掲げて、大きな事を言う者はニセモノと思ったほうがいい。
心身が健康でなくては、大きな事は成せないからね。
そういうパフォーマンスより、その人が周囲の人をどれだけ
大切にしているかを、よく見ることだね。

ナオ>>
よく理解できたよ、ありがとうシン!

シン>>
つらい経験も無駄ではない。改めて深く正しく理解するための仕込みでもある。
理解が深まってもらえて嬉しいよ。
では、そろそろ休んでお茶にでもしよう!


おわりに

知らず知らずのうちに、世間の価値観は人々の精神を蝕んでいるんです。
減点法、評価基準、成果主義。
尽きること無い承認欲求が煽られ、他人の目、評価、縛り・・・
そのように毒された価値観。
そこから自由になり、自分自身をいたわって生きる。
第13章も現代に生きる私達にとっても重要な示唆を与えてくれました。

最後までお読みいただき、ありがとーう。







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