数値化することで失われるもの
行動を進めるためには数値化が大切と言われます。
例えば集客○○人、例えば期限●月●日。
目標達成のために行動をおこせ、
行動のためには漠然とがんばるぞ!という言葉だけではだめだ。
数値を達成してこそ評価につながる。
それが組織の中の評価です。
この時期になると来年度に向けて、今年の目標の達成度、来年の数値を提出させる病院も多いと思います。
特に大きな病院ではそれこそが公平な評価とされています。
私もそういう組織で、A,B,C評価を部下にしていました。
文化人学者磯野真穂さんの『ダイエット幻想』を読みました。
ダイエットこそ、数値が適しています。
160㎝45㎏、シンデレラ体重BMI18とか
目指す数値はたくさんある。
やせたいの中にある愛されたい、評価されたいという女の子の気持ち(社会的に学んでいくとされる)は数値化されて、〇㎏になったら愛されるに変換していくのです。
それは数値化によって世界の色どりを失った世界であると本の中で書かれています。
だって、食べることは日常です。
おいしいと思って食べる、楽しいと思って食べることを見失って、このカロリーだから食べる、体にいいから食べるでは美味しく感じないでしょう。
私自身は2歳上の姉がスマートなたちで、いつもコンプレックスを感じていました。同じワンピースを着てもなんか違う、体重のせいにしていたと思います。
また、私が中学校1年生くらい、ダイエットコーラが発売されて、カロリー無いならこっちを選ぶと言ったとき
『なんかおいしくないのよね、人工甘味料』と答えた、ぽっちゃり系の友人がいました。おっとりしたその返事に豊かさを感じたことを思い出します。おいしいものに目がなかった彼女は確かに感性が豊かでした。
さて、毎日目標を立ててそれを達成するのが良しとされます。
その目標の先にもともと何があったのか。
上司だったら、部下が生き生き働けること。
医療だったら患者さんの幸せか、笑顔。
それはどうなっていますか?
数値化できないところに色どりがある。
『ダイエット幻想』はダイエットだけの本ではなく生き方を問う本です。
今日は音声配信『志保の本棚』とのコラボ企画
こちらでもお話ししています。
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