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本棚日記「ひそやかな花園」とイギリス朝ごはん
イギリスにやってきて素敵なことは、
読書がじっくりできることです。
トラオさんとカフェでする読書の時間は
格別なのです。
こちらにきて1週間、
2冊も読み終わったのですよ。
今日読み終わったほかほかの一冊はこちら。
思わず涙をこぼした一冊です。
○
「ひそやかな花園」角田光代
幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。
輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。
しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。
「あの集まりはいったい何だったのか?」
別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。
大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める――。
親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける
最初は一体どんな秘密があるのかと、少しミステリアスなタッチで始まっていく物語が、どんどん広がりを見せていき、読むペースをどんどん上げながら、一方で、どんなふうに着地していくんだろう、そんな不安を抱えながら読みました。
この物語に出てくる登場人物は、7人。誰もがどこか欠けたような心を抱いて生きていました。その理由が、この秘密のせいなのか、そうそれぞれ手探りしている7人でしたが、本当は人間誰しも心の小さな傷や落としたかけらを探しているような気がします。
主軸にいる樹里が8歳の時に生き別れた父親と会った時に父の姿をなぞっていく描写に、思わず涙がこぼれました。そしてその後、樹里が自分の迷走から抜け出して名前の通りみずみずしさを取り戻していったことにも。
この作品は何を伝えたかったのだろうと考えてみると、混沌とした7人の人生からそれぞれが抜け出していく姿と、決めたら進めるんだ、人は自分でしか進めないんだという強い芯のようなものだったのかな、そのメッセージに私は呼応したのかなと思っています。
人って不幸に弱い。不幸にずぶずぶとはまっていきやすいのですよね。そうして、何もかも人のせいにしたくなる。でも。そんな作品でした。
この中でこんな文章がありました。
おれはさ、ライター時代に思い知ったことがあるんだ。だれかを傷つけるために言葉を使っちゃ、ぜったいにいけないんだ。だれかを傷つけるために刃物を使っちゃいけないのと、それはまったくおんなじにさ。
本当ですよね。言葉ってすごい力を持っているんだもの。
○
角田光代さんの本を初めて読んだのはほんの1年ちょっと前です。イギリスに来るのにKindleを手にしたのが発端で、さらにいうならば、Kindle Unlimitedを利用したのが始まりでした。最初に読んだのは「笹の船で海をわたる」でした。
この本に心震えたのは、私自身が母との関係にしこりを持っていたから。そして、角田さんが母側の視点の一端を教えてくれたような気がしました。角田さんは私よりも少し年上、同世代の方なのですが、それも私の心に触れてくる理由の一つではないかと思っています。
さあ次はどんな本を読もうかな。
○
今朝は朝のんびりだったので、
Costaで優雅に朝ご飯と読書でした♪
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いやそうでもなかった(笑)
マーマレード共食いしました。