見出し画像

靴下が風に吹かれて

今年作った詩の中で
1番のお気に入りです。

🧦

「靴下が風に吹かれて」

ゆらゆら ゆらゆらん
木と木の間にかかった洗濯ロープには
どうやら家族全員分の靴下が並んで
風に吹かれている

ありふれて
何気ないのに

ふっと心が温もる

あの子が赤ちゃんだった頃に
洗濯物を干しながら
並んだ産着の小ささが愛おしくて
なんだか涙が溢れそうだった

そんな記憶が
シナの木から落ちてくる
実のように

くるくると
風に踊るように
舞い降りて
微かな音を立てる

 いくつもの幸せが通り過ぎていった
 ほんの些細なものや
 ずいぶんと質量のあるものも
 時のまにまに

 いいえ
 いくつもの美しい記憶が
 幾重にも折り重なっていった
 そうしてずいぶんと分厚くなった
 幸せの辞書が
 この胸の真ん中に
 ちょこんと置かれていて

 何箇所にも付箋が貼られていたり
 少し色褪せた四葉のクローバーや
 アヒルの足のような黄色い葉っぱが
 挟まっている

 ふと読み耽ることもある
 小さな風が吹いて
 ぱらぱらと開いた場所を

 きちんと保管されている
 もうどこにもないと思っていた
 記憶はこうして

 あなたのすぐ近くに 


洗濯ロープでお庭に干されている
くつ下を見たら
ふとこんなことを感じたので
書き留めました。

日常の光景の中に
私の描きたい詩の世界は
いつもあります♪

もうすぐです♪
みなさんどしどし、お待ちしてます♡

この記事が参加している募集