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南のかんむり座祭り #シロクマ文芸部

 ラムネの音楽が聞こえてきます。どうやらラムネが夜空の工場で出来上がったようです。あれは笛でしょうか。少しだけ切ないけれどとてもまろやかなメロディが、風に乗って森を取り巻いていきます。

 ことりもリスもうさぎたちも、みんなずっと待っていました。ラムネは「南のかんむり座まつり」に合わせて作られます。作っているのは夏の間、天の川を守っているケンタウルスです。出来上がると、天の川にそっとこぼして、森にお裾分けしてくれます。このメロディが聞こえてきたら、次の新月の夜にお祭りがあるという合図です。

 森の動物たちは8歳になると初めて「南のかんむり座まつり」に参加できます。みんな青い花だけで編んだ花冠を頭に乗せてお祭りに行くのです。南のかんむり座が天の川のほとりに現れる頃、ラムネがポロリポロリンと森に届きます。花かんむりの上に自然に溢れてくるのです。誰もがとても楽しみにしています。

 今夜は新月です。今年ようやく8歳になったリッスはウッサと一緒にお祭りのために花冠を作っています。ウッサは手先が器用ですから上手に花を編んでいきますが、リッスは不器用でなかなかうまくいきません。みかねた小鳥のグリンが小さなクチバシで手伝ってくれます。リッスはまだ小さな三つ子の妹たちのためにいっぱい集めてお土産に持って帰りたいのです。今夜のお祭りに間に合わせなくてはなりません。

 天壇青てんだんせいの色をした空に星が瞬き始めました。少し不格好ですがなんとかでき上がった花冠をかぶったリッスはウッサと手を繋いで森の奥にある池のほとりに向かっています。世の中にはこんなふうに天の川とつながった美しい池があるのです。大抵は森の奥深くにひっそりと。

 ケンタウルスが今夜は大活躍してくれることでしょう。

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小牧部長、今週もよろしくお願いします。この物語は、子供の頃から大好きだったクッピーラムネの絵を見ながら思いつきました。

南の冠座というとても可愛らしい星座が夏の天の川には現れます。もちろんわたしの作った架空のお話ですが、もしかしたらこのお祭りは本当にあるかもしれません。世の中にはこんなふうに天の川とつながった美しい池があるのです。大抵は森の奥深くにひっそりと。

このパッケージに何個ラムネが隠れているか
子どもの頃、いつも数えていましたとさ。

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