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【みなしごくひな】

想いやり 指で なぞり合った
あの 青い夜のことは
叶わぬ夢の 毛布に くるんで
桜の散った木の 膝もとに 置き去り

ねじれ 千切れゆく いつかの情景
両手で 掬(すく)い取っても
優しさ こぼれて
あとに残るのは 灰色だけ
それが この命の色

たゆたう 現(うつ)し世 どこか近くて遠く
くひなが 啼(な)いている
まっさらに 戻りたいと
もういちど 産まれ直したいと
いなばの白うさぎのように 泣いている
閉ざされた扉を 叩き続ける ひずんだ音色

冷たい雨が 降りそそぐ中 傘を差さず
踊り狂う人が いてもいい
自由とは きっと そういうもの
赦(ゆる)しを求めず 罰と共に 生きる人
そんな人が いてもいいはず
ここにいても いいはず

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