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初回授業の極意


世界史講師のいとうびんです。

今回は世界史に限らない授業実践の話題を。

この記事を書いている日にちがが3月28日、そう、新年度直前です。

そこで今回は、新年度最初の初回授業について、思うところを述べていきます。とくに今まさに新年度からどんな授業にしようか苦労している初年度や教員志望者のみなさんに、読んでいただきたいです



1.初回授業の重要性

さ~て、いきなり核心から突いていきましょう!(笑)

この初回授業、ベテランの先生方であれば口をそろえて言うでしょうが、


1年間の授業のなかで最も重要な授業なんです!!!


私自身も毎年の新年度初回は、かなり気を遣うのも事実。正直、受験直前期の最後の授業と比べても段違いです。

この初回授業、ここでコケてしまうと途中から挽回しようとしてもなかなか難しいです。

逆に言えば、初回授業さえしっかりできれば、途中でいくらダレても何とでもなります。むしろ、初回で積み上げたゲージをそのまま使い切る勢いで年間を乗り切るようなものです。

したがって年間を通じて授業の成否は、この初回にすべてがかかっています!

決して過言ではありません。



2.初回授業でやってしまいがちな例

では、そこまで重要な初回授業で、いったい何をすればよいのか。

…いきなり結論でもよいのですが、まずは初回授業でありがちな例を見ていきましょう。


① 「歴史を学ぶ意義は~」みたいな話をしだす

これ自体は全く悪くないんですよね。ただ、それちゃんとわかりやすく話せてるの?って話です。「過去の過ちを犯さない~」とか「過去に倣えば~」のようなありきたりの結論しか言えないようでは、生徒は納得していないはずです。

また、自分の大学時代の専攻などを、マニアックマシマシに熱く語っても、興味のない生徒には「ほーん、で?」で終わってしまいます。

これだったら、やるだけ虚しいだけでは?


② 予防線を引きまくる

こういう書き方だと、イマイチピンと来ないかもしれませんが、教員や講師の初年度の方がついついやってしまうことです。例えば、

「自分は先生になったばかりで、まだ授業も慣れてなくて~」

「下手でわかりづらいかもしれないけど、頑張るから大目に見てください」

…謙遜なさるそのお気持ちは大事ですが、では自分が病院に行って新人の医者が注射器を持つ手を震わせて「注射がまだ慣れてないんで勘弁してください」って言われたらどう思いますか?

…残念ながら、こと授業というものは、ベテランも新人も全く同じステージで戦わねばならないという、非常に厳しい世界です。必要以上に自分を大きく見せる必要はありませんが、あまりにも弱々しいとかえって生徒に付け入る隙を与えて学級崩壊まっしぐらです。塾や予備校であれば、学級崩壊にならなくとも、担当クラスの生徒が次々と辞めていくでしょう。こっちの方がよりエグいですね。


③ 生徒一人一人に自己紹介をさせる。

まあまあよく見かけます。はっきり言ってナンセンスです。

控えめに言って何がしたいかわかりません。と言いますのも…

例えば生徒の興味関心を調べたい、という人もいるでしょうが、

そもそも集団授業となれば、1クラスの人数など少ないところでも4~5人、多ければ40~50人はいます。そんなクラスで興味関心を調べても、千差万別でどうにもなるものではありません。

また、たった1回の自己紹介で、生徒全員の顔と名前を覚えられるんですか? 彼らの関心を次回の授業までにきちんと把握できるんですか? 把握できずに何かの折に「それ自己紹介でいいましたよ」って生徒に言われたらなんて答えるのですか?

…というわけで、生徒に自己紹介をさせることは、百害とは言えなくてもかなり害になる要素がたっぷりあり、その実見返りは乏しいと言わざるを得ません

講義型だろうが、アクティブラーニングだろうが、原則として授業の主役は授業者です。まずはその前提を改めて認識する必要があります。


④ いきなり普通に授業を始める

こちらもまあまあよく見かけます。はっきり言って論外です。

そもそも初回授業では、生徒と講師は初対面。当然ですよね。

だからこそ、生徒たちはこれから受ける授業がどのような授業になるのか、皆目見当がついていないはずです。

一方で教える側の授業者にとっては、授業自体は毎年同じ内容ですから、さもいつも通りといった風に授業に入ることはできます。が、受ける側の生徒はその「いつも通り」がなんだかわかっていないんですよ。これではウォーミングアップやルール説明もなしに、いきなりマイナーなスポーツの試合をやらせるようなものです。



以上が初回授業でやってしまいがちな、なおかつ悪い例の好例です。

これらに共通することは、「初回授業に目的がない、あるいは漠然としている」ということです。


どの回の授業にも明確な目的は必要ですが、初回授業はとりわけこの点を重点的に組み立てる必要があります。

でないと、上記の4つのようにグデグデになるか白けて終わるかです。



3.初回授業の心がけ

というわけで本題。ですが、先ほどの悪い例を読まれた皆さんは、もう初回授業に何が必要か感づかれたのではないでしょうか?


初回授業に必要なものとは、明確な目的です!


まずは何を生徒に伝えたいのか。ここをはっきりさせないことには上記の悪い例の轍を踏むだけです。

とはいえここでは、具体的に何を伝えればよいのか。そのいくつかの例をご紹介します。


① 授業でのルール

自分の授業でのルールを述べます。ここでいう「ルール」は多岐にわたり、例えば、

授業で使う教材…教科書中心なのか、板書中心なのか、プリントなどオリジナル教材を使うのか

※オリジナル教材を使うのであれば、もれなく教材の使い方にも触れたいですね。

板書の色遣い…どの色が何を示すか、重要度がどう違うか、など

勉強の方法おススメの参考書の紹介、定期テストでの問い方など

こういった具合です。

自分の授業のスタイルを一通り説明するだけでも、生徒は授業を受けやすくなるはずです。

実際に私が初回授業で配布するプリントを ↓ に添付しますので、ご参照ください。

最終的には、「自分の授業を受けるとこんなメリットがあるぞ」ということがしっかりと生徒に伝わるようになれば、言うことはないでしょう。


② 授業者の自己紹介

オプションです。

これから1年間を通して授業をする授業者について、生徒にはよく知ってもらう必要があります。授業者と生徒の距離感を縮めることが目的ですが、生徒の自己紹介よりも効果的です。

高校で勤務していた時によくやっていたことですが、私は自分の自己紹介そのものは簡単に済ませます。

そのあとは質問タイムにします。「私について聞きたいことは何でいいので聞いてください」といったものです。

まじめなものから多少ふざけたものまでアリにしました笑笑

その場で手を挙げてもらってもいいですし、用紙を配布してラジオDJ風に質問にランダムに答えていくのもアリですね

質問が出ないようであれば、生徒をあてて逆指名のようにして質問を聞いてみるのも手です。

塾や予備校ではまずやりませんが…




このようなところでしょうか。

初年度の方であれば、まずは①のルール設定をしっかり組み立ててみましょう。

今年1年を左右する初回授業、明確なメッセージを生徒に伝えることを忘れずに。





いかがでしたでしょうか。

それでは今回はここまでです。ご参照いただけましたら幸いです。




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伊藤 敏《世界史講師》
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