マーケティング・経営戦略基礎③
■経営戦略の全体像
今回は経営戦略の全体像の中の全社戦略について
■全社戦略
経営理念・ビジョンを実現すべく、どうやって現状とそのギャップを埋めるのか?という全社的戦略である。
事業ドメイン(領域)と資源配分について主に考える。
■事業ドメイン(コアコンピタンスはなにか?)
事業ドメインとは事業を展開する領域である。
そして、コアコンピタンスとは「自社の強みの核」のことである。コアコンピタンスを明確にして、どこの事業ドメインでコアコンピタンスを最大化できるのかを考えて事業ドメインを決定する。
■事業ポートフォリオと資源配分
複数の事業を展開する企業では、限りある資源をどの事業にどれくらい配分するかを適切に判断する必要がある。
資源配分するための基礎的な概念として、「事業ライフサイクル」と「PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)」がある。
■事業ライフサイクル
商品や事業や市場は、成長期、導入期、成熟期、衰退期という流れを持っている。
◆導入期
売上高・利益ともに低い。事業拡大のために積極投資を行い、成長軌道に乗せるような戦略をとる。
◆成長期
売上高・利益が上昇するが、競合との競争も激化する。優位性を見出すために引き続き積極投資を行う。
◆成熟期
売上高の伸びは鈍化し、利益も低下する。成熟期では①製品構成の合理化と価格政策、②製造工程と設計の革新によるコスト競争、③既存顧客への品揃えを充実し、購買幅の拡大である。成長期の成功体験に引きずられることなく、戦略の転換を図る必要がある。
◆衰退期
売上高は低下、利益も減少する。競合も同様の状況なため、リーダー企業は利益を出すことができる。それ以外の企業は撤退のメリットとデメリットを比較し、撤退の判断を行う。
■PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)
競争優位性と事業魅力度と競争優位性を単純化したフレームワークである。資金を生み出す事業と投資が必要な事業を区別し、資源配分の最適化を図るためのものである。
■事業拡大と事業ポートフォリオ
事業ポートフォリオは様々な事業機会と自社の経営資源のバランスをとりながら、事業の選択や組み合わせを考えること。
事業拡大を行う場合、広い視点で事業拡大を考えることも重要である。アンゾフの事業拡大マトリクスを使って拡大すべき戦略を探索する。
①事業の魅力度
市場規模、成長性、収益性から儲かるか、ということ。
②競争優位性
顧客に対して他社に負けない価値を持っているか、ということ。
③事業間のシナジー
企業が複数の事業をもつことで、単独で事業を行うよりも大きな効果を得られること。
この3つの視点で考える。
■アンゾフの事業拡大マトリクス
縦軸に「市場」、横軸に「商品」を取り、それぞれ「既存」「新規」に分けて、企業の成長戦略を分析するためのフレームワーク
■事業間のシナジー
事業間で経営資源を共有することによるシナジー効果
◆生産シナジー
生産設備や生産方法、原材料の共有化
◆管理シナジー
管理方法・システムの共有化
◆人材シナジー
人材・ノウハウの共有化
◆技術シナジー
生産・設計ノウハウ技術の共有化
◆販売・流通シナジー
流通、販路、販売、販促方法の共有化
■経営資源の補完
不足している経営資源は、社内育成をするよりもM&Aやアライアンスによって外部資源を活用した方がメリットが大きいことがある。また、外部委託するアウトソーシングによって補完することも可能である。