クリティカル・シンキング②
第2回は枠組みを考える、初期仮説を立てる
について書いていきたいと思います。
■クリティカル・シンキングの全体像
①課題の特定・解決 (ロジックツリー)
②コミュニケーション(ピラミッドストラクチャー)
■課題の特定・解決のステップ(おさらい)
①イシュー(課題)を特定する。
そもそも何を論じるべきなのかを特定する。
②枠組みを考える
イシューに答えるために必要な枠組みを考える。
③初期仮説を考える
枠組みに対して仮の答えを立てる。
④仮説を検証し、進化させる。
情報を収集・解析し、仮説が正しいか検証を行う。
⑤結論づける
枠組みに対する答えを出し、各枠組みの答えからイシューに対する答えを結論づける。
■ステップ②枠組みを考える
■枠組みを考えるとは何か?
枠組みを考えるとはイシューに答えるために必要な論点のセットを考えることである。
言い換えると、イシューをより具体的に分解すること。
そうすることで、より多角的にイシューを捉えることができる。
■枠組みを考えるポイント
◆MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)を意識する
MECEとは、「モレなくダブりなく」という意味。
◆MECEのポイント
1.全体を把握する。
2.切り口を統一する。
3.曖昧な表現を使わない。
◆MECEの例
コンビニの顧客
①MECE:男性客、女性客
②MECE:10歳未満、10代、20代、30代、40代、50代、60才以上
③MECEでない:学生、独身、二人夫婦、子持ち家族、シニア夫婦
①はMECEになっているが、大きな括りなので、イシューに答える枠組みとして正しいかどうか考える必要がある。
②はMECEになっていて、問題ない。だが、60才以上でよのかは議論が必要である。イシューによっては60代、70代、80才以上と分ける必要があるかもしれない。
③は一見良さそうだが、MECEになっていない。独身と学生は違う切り口である。ほとんどの学生は独身。子持ちでシニア層もいるのでダブっており、さらに言うと、シニア夫婦は定量的でないためMECEの判断ができない。
◆分解のパターン
①層別分解(足し算型)
②変数分解(掛け算型)
◆イシューに関係性の強い枠組みを考える
MECEでモレなくダブりなく考えてもイシューとの関係性が薄ければ、その枠組みでは説得力に欠ける枠組みになってしまう。
◆悪い例
イシュー:商品の売上シェアを70%以上にするには?
枠組み:4P=Product 商品、Price価格、Place流通、Promotion販売促進
4Pというフレームワークを使うと、商品をいかに販売し、売上をアップするかが掴める。しかし、シェアを70%以上にするためには、市場の全体を把握しなければならないし、競合との比較をしなければならない。
◆枠組みには階層がある、枠組みはイシューから決まる
4Pというフレームワークは3Cというフレームワークの自社分析の一部であり、売上シェアに対する枠組みとしては階層(範囲)が狭い。
もしイシューが、「商品の売上アップの社内施策はなにか?」であれば、社内の課題に対するイシューなので、枠組みも社内に対する枠組みで良い。
枠組みの階層(範囲)を定義するためにはイシューを正確に捉える必要がある。
◆イシューの背景、前提を考える
例えば、「既存商品の売上シェアを70%以上にするためには? 」という場合と「新商品の売上シェアを70 %以上にするためには? 」という場合では考えるべき枠組みも変わってくる。
なぜ売上シェアを70%以上にしなければならないのか、これまでの実績はどうなっていたのかを考えなければ、そもそものイシューの範囲が間違っていたり、イシューがズレていたりすることがある。
■ステップ③初期仮説を立てる
■初期仮説とは何か?
問いに対する最初の仮の答え。
初期仮説が正しいかどうかを検証することで、イシューに対する答えを導き出すのが仮説思考である。
◆仮説思考のメリットと留意点
①スピード
仮説に関する情報に絞って情報を集めればよいので、スピードが上がる。
②網羅性と他の可能性
漏れていたり、偏ってしまうとイシューに的確に答えられない。
逆に言うと、ビジネスにおいてはイシューに的確に十分に答えられれば、完全に網羅していなくても網羅しているとして進められる。
③確からしさ(正しさ、妥当性、信頼性)
仮説を検証することでその答えの確からしさをあげることができる。仮説思考でない一般的な思考では最初に最終的な答えを出して、確からしさを検証できていない。
◆初期仮説を立てる時のポイント
①手元の情報や類似の状況から考える
そのイシューに対して経験のない領域であれば、まずは手元の情報やデータ、これまでの類似経験を元に仮説を立てる。
②初期仮説は複数洗い出す
仮説は立てる時に自分の思い込みや短絡的な考えで初期仮説を立ててしまいがちである。可能性がある仮説を複数洗い出して、検証することで確からしさをあげることができる。